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毒親育ちで自死遺族になったので水商売で働いてみた話⑧ <終>

前回の記事はコチラ🔻

退院してから私は半年程、貯金を切り崩して無職をしていました。
実家に帰るという選択肢は無くて。
日々、目減りしてゆく貯金。
焦りから、私は半年の無職をしていました。
貯金を少しでも減らさない為に、当時はひたすらネットサーフィンをしていたと思います。
家賃や光熱費や食費等全て纏めて月7〜8万円におさえてました。
北海道の安い賃貸だからこそなせる技ですね。
驚くことなかれ、お風呂とトイレ別で家賃26,000円+共益費1,000円(今はもう少し家賃を上げたところに引っ越しました)。
無職期間を終えて、週2〜4日勤務(だった気がする)のコールセンターに勤務しました。
しかし、鳴らない電話に対して多過ぎるオペレーターの数。。
暇な間、別のことをしていていいわけでもなく、この何もしない時間が苦痛なのもあって、短期契約のバイトでしたがほとんど出勤出来ませんでした。
この後は、また無職になったのかな?
記憶はうろ覚えで、別の事務の会社で少しずつ長時間の出来るようになった頃、もう弟を亡くして、派遣会社とトラブって次の契約更新は無し=無職になることが確定していて、その後に就いた仕事もアルバイトで失うものってないよな、と思いガールズバーと掛け持ちをしました。
ここからがタイトルの「水商売で働いた話」になりますね。
いやー、ここまで説明するのに長かった。
派遣社員の更新が無くなった後は、別のコールセンターと掛け持ちをしますが、ここも辞めて最終的にガールズバー一本でやっていくことにします。

で。右も左も分からない水商売。
無知とは恐ろしいことで、他のガールズバー、略してガルバはカウンター越しでの接客ですが、隣に座る子もいました。
隣に座ると接客ではなく接待になるので法的にアウトなんですよね。。
しかも、後に知ったのですが他店では時給2,000円や2,500円+ドリンクバック(ドリンクをお客様からご馳走される度にいくらかバックが入る)もあるのに、うちのお店は時給1,000円な上にドリンクバックも無し。
指名料とボトルバック(ボトルを入れて貰った際に発生するバック)だけがあり、「指名料やボトルバックで皆稼ぐんだ」と思ってました。
後に、売上3位になったときに、当初「時給1,000円〜」と求人にも書いてあるのに限らず上がらない時給。
しかも、この頃には人手不足なのか求人では時給が1,100円になり、私より全然お客様を呼べてない子が私より時給が高い状態(しかも、そいつは後に私の客に手を出す)。
私は、自分から「今月、出勤した日は全部指名取れているんですけど」と伝えたら、「自分からお金の交渉をするなんて非常識だけど、今月から時給は上げようと思ってたよ?」と嫌な言い方をされ、時給は1,100円。。
100円だけ。。。
酷いときなんて、私のお客様複数組以外のお客様がいない店舗でこれだけ貢献しても、これしか時給が上がらない上に、仕事で失敗をすれば「田舎臭い」だの注意ではなくよく分からない文句を言われるパワハラ付き。
しかも、複数人のお客様から「今日、何でお会計高かったの?」と連絡が来て、私もおかしいな、と思ってたのですが、お客様からのこの連絡でお店がぼったくりをしていることまで確定。
困った指名客がいるものの、その頃の私には素敵なお客様しかいなくて、私も人間だから彼等を大事にしたいわけです。
私は感情的になって泣きながら怒って、「ぼったくりはやめてくれ」と訴えるも、「お前の勘違い」で終わり。
今思うと、ブラックな職場でしたね。
水商売なのに昼間の職業とそんなに変わらない時給、ドリンクバック無し、辞めるキッカケというかとどめとなった事件では一度ボトルバックも無し=お給料が一部未払い。
私以外にもほとんどの子が水商売が初めての子ばかりで、騙されて働いているところもありました。
例えば同伴。これも、後に知るのですがガルバで同伴をすると接客ではなく接待になるのでアウト。
しかも、お客様には黒服から「同伴料は貰っているけど、お会計に同伴料が含まれていることは言わなくていい」と。
私は、「そういうものなのかな」と思ってましたが、後から「いやいや、おかしいでしょ」と思い、お客様には謝罪しました(ぼったくられているのに気付いていたのに全然怒ってない神客様でした)。
人見知りだった私ですが、弟を亡くしたことから「失うものなんて何も無いから何喋ってもいいや」と思い、自由に好き勝手やっていたら、そこのお店では売上が三位にまでなれました。
正直、話してても気分の良くなるお客様よりイラつくムカつく鬱になる客の方が多くて、あるとき「ねーねー、将来どうするのー?w」と聞かれまくった私は面倒になって、「家族が自■してるんで、まともに生きていく気ないんですよー!(>∀<)」と明るいテンションで空気をぶち壊してうるさい客を黙らせていました。
一緒に接客してた子がフォローしてたけど、水商売の世界には爆弾といって、他の働いてる子のお客様を横取りするのは御法度なのですが、その子はまさにその爆弾をしてきたことがあったので、この子にならフォローさせてもいいや精神でした。
そこの経営者とは当然ウマが合わなくて、大抵の水商売って売上に応じて時給が上がるのですが(これも後で知った)私が好き勝手な方法でやってるように見えたらしく、例えばもっとお金を使えるお客様に対してお金の使い方をセーブさせたり(良いお客様に大金を使ってもらう理由が無かったし嫌だった)、そもそも売上に応じて時給が上がらない以上お金を使ってもらうメリットが無いわけで、それなら来店回数を増やして指名料で稼いだ方がいいという考えになり、しかし経営者は「一度で沢山使わせろ!」という考えで、「お客様とは細く長く続く方がストレスが少ないのに」と思ってました。
一度にどかんと大金を使ってもらうと、大抵長持ちせずにお客様って来店出来なくなります。
だから、私としては一度のお会計はリーズナブルにして何度も来店してもらう方が良いわけです。
大変なんですよ、新しいお客様を獲得するのって。
でも、そこが分からない奴で、客が「やっぱり約束していた日には行かない!」なんて駄々をこねればフォローして来店してもらっているのに、「勝手に来店してるんでしょ」とモチベーションが下がることを言う……。
私にとって上司って、モチベーションを上げてくれる存在なんですけど、それが出来ないのならもう上げてくれなくていいから余計なことを言わないで黙っモチベを上げなくていいから黙っててほしかったです。
そして、ストレスの原因は経営者だけでなく客にもありました。
というか、ほぼ客がメイン。
良いお客様もいれば残念な客もいて、最初から残念な客もいれば、良いお客様から残念な客に降格するパターンもありました。
最初は手土産を持ってきてくれたお客様が、告白もすっ飛ばして「同棲しませんか?笑」と言ってきたり。
この、語尾に「笑」を付けることで冗談っぽく聞こえるように保険をかけているところが凄く見苦しく見えて。
この程度は序の口で、差し入れをしてくれた客が、私とお店でしか会えないことに不満を溜めて、「あれ、奢りではないから。お金返して」と言ってきた上に、「ぺん子ちゃんは俺と一緒に過ごせて楽かもしれないけどさ」とまで言ってくる。
いやいや、貴方への接客は疲れるんですよ……。
その勘違いというか自己肯定感の高さは素晴らしかったですね。
しかも、「ここのお店ではお触り禁止だから、触りたくても触ることすらできない」と言われたときはゾッとしました(それでも実際に触る客よりはマシで、お見送りのときに他のジジイ客から股間を触られたことがあります)。
さて。最初は現金払いだったその客は、金が無くなり、クレカ決済で凌ぐことになりました。
持ってる枚数は驚きの8枚。
1枚目の上限まで達したら2枚目へ、2枚目の上限へ達したら3枚目へ、どんどんカード決済をしていきました。
3枚目のカードに手をつけてから、そこで私が駄目になりました。
日々、向けられる興味が無いどころか嫌いな客からの好意と会話、来店の約束をしていても「やっぱり行かない!」と言われそこから説得する大変さ、毎日連絡のやり取りをすること、しかもストレスの原因はこの客だけではない。
あるとき、私がよく行くお店や自宅から徒歩5分のところに現れてストーカーと化しました。
数日間、怖くてカーテンも閉め切って家から出れませんでした。
相手は何をするか分かりません。
ただの色恋沙汰ではなく金が絡んでいる。
私は、この客に「私は時間が無くてお店でしか会えません。だから、私は会いたい。なのに、会いにこないのは貴方の方ですよ」と伝えて私がフラれた形にしました。
結果、穏便にこの客を切ることが出来ました。

他にもストレスになったフリー客。
フリー客とは、特定の女の子を指名しないで来店しにくる客のことです。
三人組の客が来たときに、そのうちの一人が「ケツを叩いてほしい」と言い出し、ズボンと下着を下ろしました。頭おかしいっすね。
当然、うちはそういうお店ではないけど、黒服も経営者もその手の客から女の子を守ってくれるタイプでもなくて、他の女の子に叩くのをやらせたくなかった私は仕方無いのでメニュー表で叩きました。
すると、「素手でやって!」とブチギレ出して、「お前はSなのかMなのかどっちなんだよ」と思いました。
因みに、このケツを叩いてほしい客は、以前一人で来店してました。
(あー……。ここで頑張っても金にならんわ。どうせ指名しないタイプの客だし)
そこから私は無表情でスマホをいじりながら、たまに会話してました。
黒服に呼ばれてほかの女の子と交代して裏へ行ったのですが、裏に行った途端客共による私への悪口大会が開催されました。
私が無表情だったのが相当嫌だったらしく、「笑えよ!」と大声でキレてました。
安い会計な上に汚い飲み方をして下着まで脱ぐ、あー、恥ずかしい輩。
恐らく彼等は健常者なんでしょうけど、頭大丈夫なんですかね?
私は夜の世界にいるうちに、当たり前に身体を触ってくる馬■な客の多さと男性の性欲の強さに驚かされました。
自分の男友達もこんなことをしないにしても、同じくらいの性欲はあるのだろうか、なんて考えてしまったり。。(友達ごめん)
そして、「ストレスと入ってくる金が見合ってない」と思うようになりました。
経営者もクソなので、今いるお客様を連れて時給の高いお店に移動することになりました。
その次は、ホステスをしました。
そこのお店は時給も良く、売上に応じて時給が上がったり下がったり。
ドリンクバックは無いものの、同伴料と指名料は100%私に入るという素晴らしさ(ガルバでは、同伴しても同伴バック0円、指名料も何割か店に取られてました)。
夜の世界って、こちらの善意を無碍にされることが多くて。
あるとき、お隣に座った客の膝が私の胸にあたり、「ぶつかっちゃった」と言われ、「事故ですから気にしないで下さい」と相手の言うことを信じたのですが、事故ならそこから少し距離を置いて座り直しそうじゃないですか。
でも、それをしない。
(あー、事故のふりをして触ったんだ)
と、思いました。
で、結局ボディタッチをしてくるので、触りたくなかったけどそいつの手に私の手を重ねて、ソファに押し付けて触らせないようにしました。
でも、お酒を作るときは両手を使うわけで、そのときはまた胸を触られるのではないかとひやひやしました。
他にもずっと無言なのに、いきなり太ももを触る客。
頭にきて、「会社でもそんなことされてるんですか?」と言いました。
へこへこするだけが、接客業ではないな、と思って。
そういうの含めて仕事でしょ、と言う奴もいそうだけど、そういうのは私の仕事には含まれていないんですよ。
その上で、ここのお店で働くと契約を交わしているので。
ここで残念なことに、私がガルバのときにお世話になっていたお客様が仕事で遠くへ行くことになり来店出来なくなりました。
他にも客はいたけど細客ばかり。
そのうち、フリー客からのストレスで嘔吐と下痢を繰り返すようになりました。
店長は女の子が務めていたのですが、一位の立場を他のお店から来た女の子に奪われて周りに当たり散らすようになり、その矛先は私にも。
「病院に行く気力があるのなら、出勤だって出来るでしょ?」と、連絡が来て「あー、ここの店長もクソだったか……」とうんざりしました。
私はお店を辞めることにしました。
同時に、今度は精神科の開放病棟へ任意入院しました。
身体もだけど、精神的に参ってました。
こうして、私の水商売生活は終わりました。

#創作大賞2023 #エッセイ部門

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