本の流通という仕事
出版社の仕事は本を作り世に送り出すことですが、もちろん出版社だけで完結するわけではありません。オーソドックスな本の流通は、日販やトーハンなどの取次に本を納めて、取次から各書店へ本を納品してもらいます。
書店に並んでも、残念ながら売れなかった本は、返品という形で、今度は逆に取次を経由して出版社に戻ってきます。
弊社の場合は、発売元(流通責任出版社)の星雲社を通じて本の出品をしているので、返品された本も、星雲社の倉庫に戻ってきます。
お世話になっているのが、星雲社の倉庫であるブックセンターの皆様。
返品・出品を管理し保管するのはもちろん、返品された本を選り分けて、汚れを落とし、カバーを掛け替えて「改装」したものを、再び書店の求めに応じて出荷してもくれる、本当に有難いパートナーです。
このブックセンターの豊川社長が、先日しみじみと言われていました。コロナ禍のときも、本の流通を担う自分たちには、リモートは縁の無い世界。コロナ第○波と報じられるのに合わせて、社員の中にも感染者が増え、期日に本が納められるのか心配したこともあったけれど、結果として一日も欠かさず本を納めることができてホッとしています、と。
現代日本では、ともすると約束の時間に少し遅れただけで文句を言ってしまうことがありますが、品物が約束通り届くことは決して当たり前ではなく、その陰に様々な人がいて、努力や工夫があることに、改めて感謝しました。
出版業界に限らず、燃料費、人手不足などによる物流費の高騰は頭の痛い問題です。さらに、2024年4月から運転業務の時間外労働の上限が年間960時間に制限され、それにより輸送能力が不足するという、いわゆる「2024年問題」が懸念されています。
社会の変化に合わせて、便利さや効率絶対の視点から、荷物が届くのは有難い!ぐらいの意識の転換と心の余裕も必要かもしれない、と思う今日この頃です。