さらぬわかれ 100

恒之新の怒りに呼応するように、桜の木がざわめいている。

「……後の世には、さくらは見殺しにされたと伝わったのか。己の罪を隠し通したのだな、我が一族は。」

「それは、どういうこと?真実は違うの?」
栄子は恒之新に掴み掛かろうとした。しかし、生者と死者は触れ合うことが出来ない。

「さくらは、発見された時には虫の息だったにも関わらず、村人たちにめった刺しにされたのだ。特に顔は、それが誰なのか判らない程にぐちゃぐちゃにされたのだ。」

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