さらぬわかれ 76

栄子には妖刀【櫻葉さくらば】からもやのようなものが見えた。
それは恒太の身体にまとわりつき、恒太の中に侵入していった。

恒太は刀を握ったまま、虚ろな目で立ち尽くしていた。

栄子は胸騒ぎがした。「あれ」は恒太ではないのではないか。

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