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紫陽花の季節、お迎え

「紫陽花の季節、君はいない」の番外編です。

2022年6月。
あおいさんが職場復帰し、ひなたは保育園に通い始めた。

朝は柊司やあおいさんがひなたを保育園に連れて行き、帰りは俺が迎えに行っている。

通い始めて2週間、ひなたは保育園に慣れて、特に泣くこともなく預けられているらしい。

しかし、俺には悩みがある。

今まで目立ったことのない人生を送ってきたのに、保護者の注目を集めてしまっているのだ。

「ねぇ、あなたとこの子の関係って何?」

お迎えにやって来るのは、園児の母親が多いので、(克服してきたとはいえ)女性が苦手な俺にとっては、ちょっと怖い。

父親のお迎えの人には、何故か生暖かい目で見守られている。

「親友の子です。」
と言うと、三角関係だと思われて、誤解を解くのに時間がかかってしまうので、最近は、
「家族ぐるみの付き合いです。」
と説明することにしている。

そのことを柊司に話したら、
「ハハハ、モテ期到来だな!」
と笑い飛ばされた。

俺が迎えに行くのを止めないのは、ひなたが嬉しそうに待っているからである。

「なごっ!」
最近は少しずつ言葉を話すようになってきた。

「ひなたちゃん、夏越さん迎えにきて嬉しいね。」と保育士が話し掛けると、手足をバタバタさせて笑っている。

そんな可愛いことをされたら、止めるわけにはいかないじゃないか。

【完】

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