プロのバナナ【毎週ショートショートnote】

※これは、バナナアートに使われたバナナの気持ちになって書いてみました。
思いの外、痛々しくなってしまったので、痛いのが苦手な人は読むのをご遠慮くださいませ。



僕は海外から日本にやって来て、男性に買われた。
彼は僕をなめるように見回し、しばらく凝視していた。

彼はスケッチブックを取り出して、僕の姿を描いた。
それだけではない。
僕の体に華やかな柄も描きこんでいた。

スケッチを描き終わると、僕はテーブルの上に寝させられた。
鋭い眼光に僕は緊張した。

彼は引き出しから針を取り出した。
僕は針でめったざしにされた。

彼は無言で僕をさし続けた。
時には深く、時には浅く…。
僕は痛みに耐え続けた。

彼は満足したのか、針を置いた。
そして今度はスマホで僕をいろんな角度で撮影した。
僕の姿は、元の僕ではなくなっていた。

彼は僕をSNSにアップした。
すると、すごい勢いでアクセス数やいいねが増えていった。

「すごい!アートだ!」
「これがこんなに美しくなるなんて!」
称賛の嵐を受けた。
僕は世界で有名になった。

全てが終わった後、僕は彼に美味しく食べられた。

コメディタッチのショートショートが続いたので、シリアスな作品を書こうと思ったら、こうなりました。
読む人を選びそうなので、ヘッダーはあえて貼らないでおこうと思います。

読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。