ツバサを持った少年

逢いたい 荒野の真ん中で 空を眺めてる少年
怪我して 飛べない鳥を手に 小さな姿に泪ぐむ
優しい心の持ち主は 生きるために頬張るけど
彼を狙ってるハゲタカが 『次はお前』だと付いてくる

それでも足の皮膚が擦(す)れすぎて硬くなっても
彼はまだ生きることを辞めない
力無き身体でもキリッと睨みつけて
其のハゲタカを他所(よそ)に遠ざけた

彼は荒野にただ一人 生まれた罰を受けた彷徨う
だけど彼の身体が弱ろうと 其の意思は強く生き続けて
灼熱に喉が渇き 見える蜃気楼 本物はけして無くても

信じることへの愚かさに 手を叩き嘲笑(わら)われても
何を気付くかの此の罰に けして悲鳴などあげたくない
健気に信じる此の罰のゴールは何処にも無いけど
彼を狙ってたハゲタカが 彼の肩を取り空を飛ぶ

「俺はとうとう喰われるのか」としな垂れた瞬間に
『生きろ』 そうハゲタカが云ったよに
彼の耳は疑うこと無き 頷いては
気付いたら彼だけが飛んでいた

ツバサを持った少年は 薄っすら見える水辺に向かった
例え其処に実態が無くても 彼の意思はけして淡くない
信じる力を信じ 見える蜃気楼 本当にする日は近い

ツバサを持った少年は 太陽に近付き風を覚えて
強くなることの意味を受け止めて
優しさを恥らわずに撒いて
荒野を砂漠にせずに 心を育み ハゲタカの愛を感じて
彼はゆく 果てしなく続く人の中にある荒野を…

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