むかし話

5階建ての部屋から あなたの影が見える
あの部屋にはもう誰も居ない 空っぽで 空っぽで

煙が立つ場所から 思い出が雲になる
あなたの笑顔はもう見えない 寂しくて 寂しくて

窓から揺れてた あなたの身体は
降ろされた時点で泪が乾き切ってた
新しい時代も 深呼吸できずに
歩くのも疲れて 心籠らせた生き方に
つながらない緊急電話

5階建ての角部屋 その部屋に暮らしてた
あなたの温度は今はなくて 寒いよな 寒いよな

噂が立つ場所から どよめきが文字になる
好奇心に調べる奴らが 見に来てる 見に来てる

大嫌いだったあなたのことでも
触れたとき 溢れる泪がひとりぼっちで
微笑んで見送る 虹の輪があるから
まっすぐに歩いて 今度はもう道があるように
産まれ変わって来ると云って

明日があればいいのに 確実にあると云えない
そんな人生で産まれたお前が悪いんだ、と
追い詰められて 何処行く当てもなく

大嫌いだったあなたのことでも
こんなにも寂しく感じるものなんだね、と
遺書の文字が語る 滲んだペンの跡
5階建ての部屋に暮らしてたもんだから
後ろ髪引かれて 今もまだ部屋に棲み着いてて
何度も吊るされるあなたは 私のむかし話

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