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君のためなら…後編

〇〇「あれ…?俺はどうなったんだっけ?確か、ひかるを守るために□□に刺されてあいつからひかるを守るために戦ったんだよな…?あれ?それからどうなった?俺は倒れて…ひかるに看取られてしまったのか?だとしたら…辛いな。あいつと俺は結婚するんだ!って約束したのによ…。それからあのクソ野郎はどうなった?俺にぶっ飛ばされて警察に捕まったんだろうか?もしも…逃げてたとしたらひかるにまた危機が迫ったらどうするよ?まあ、そうなったら化けて出てやるか…って俺は馬鹿かよ。まだ死んだわけじゃないのによ。それにしてもあの光はなんだ?」
何もない真っ白な世界で目を覚ました俺は事の顛末を考えていた。ひかるの心配やあのクソ野郎がどうなったかなどを考えながら真っ白な世界を歩いていた。そんな中、俺は急に眩しく輝く謎の光を発見すると何故だかその方向に歩みを進めたのだった。一方、その頃病院ではひかるが泣きながら俺の両親とひかるの両親が来るのを待っていた。

ひかる「グスッ、グスッ。〇〇、目を覚ましてよ。お願いします…神様。〇〇を助けてよ! 」
ひかる父「ひかる!〇〇君は?」
ひかる「お父さん、お母さん!まだ、まだ手術中なの!」
ひかるは一向に消えない手術中のランプを指さしながら大粒の涙を流していたのだった。
ひかる母「大丈夫、大丈夫よひかる!〇〇君はきっとひかるの元に帰ってくるわよ!」
ひかる「うん。ありがとう、お母さん。」
そして、病院に〇〇の両親もようやく到着すると共にひかるに優しく声をかけたのだった。
〇〇父「ひかるちゃん!ごめんな、大変な事に巻き込んじゃって!」
ひかる「いえ、私は大丈夫です。〇〇は私を庇って犯人に…グスッ、ウワーン!😭 」
〇〇父「ひかるちゃん。」
〇〇母「大丈夫よ、ひかるちゃん。あの子はあんな事でひかるちゃんを1人にはしないわ!」
ひかる「本当に?」
〇〇母「ええ、本当よ!だってあの子は強いんだから!だからあの子を信じてあげて!」
ひかる「はい!」
そんな事を話している内に手術中のランプが消えると共に主治医が姿を現したのだった。
ひかる「先生、〇〇は?」
主治医「安心して下さい。手術は無事に成功しましたよ。」
ひかる「良かった!ありがとうございます!」
ひかる父「良かったな、ひかる!」
ひかる母「だから言ったでしょ?帰ってくるって!」
〇〇父「本当にあのバカは。無茶しやがって!」
〇〇母「でも、無事で何よりじゃない。ねぇ、お父さん?」
〇〇父「ま、まあな。」
一同大喜びの中、主治医は状況を報告しようと手に持っていた謎の紙を掲げて全員に質問したのだった。
主治医「この紙のお陰で〇〇さんは助かったんですが、この中に!この中にひぃという方はいらっしゃいますか?」
その主治医の呼びかけに対して〇〇の両親とひかるの両親は一斉にひかるの方を振り向くのだった。
ひかる「は、はい。ひぃは私ですけども。」
主治医「でも、あなたの名前は森田ひかるさんですよね?」
ひかる「はい、そうなんですけども。あだ名がひぃって言うだけなんですけども。」
主治医「あ、そうだったんですね!それでひかるさんはこの手紙に身に覚えはありますか?」
ひかる「あ、これ。はい!覚えています!」
そして、主治医から渡された手紙には小さい頃のひかるの文字で「〇〇へひぃは〇〇のおよめさんにぜったいになります!だからいつまでもいっしょだよ!〇〇、だいすき!ひぃより」と書かれていた。そして、その手紙を後ろからそっと見ていたお互いの両親から冷やかしのような声をかけられたのだった。
ひかる父「懐かしいな、ひかるが〇〇くんに初めて書いた手紙か。」
〇〇父「あいつ、そういえば言ってたな。これはひかるから貰った宝物だって。」
ひかる母「良かったわね、ひかる!」
〇〇母「ヒュー、ヒュー!2人とも熱いわね!青春よ、青春!」
ひかる「もう!みんなして冷やかさないでよ!この手紙は本当に恥ずかしいんだからね!もう、なんでこんなのあいつが持ってるのよ!」
そんな事を1人で叫びながらひかるは心の中でこんな事を思っていたのだった。
ひかる(なんだ、まだちゃんと持ってたんじゃん!しかも宝物なんて恥ずかしすぎるんですけど!でも、ありがとうね!〇〇!だから早く目を覚ましてよね!)
一方、俺は謎の光を抜けると見た事のある光景に遭遇していたのだった。

〇〇「あれ…ここの公園って確か…俺がひかるから手紙を貰った場所じゃないか?」
そんな事を呟いていると俺の真横を小学校1年生くらいの小さな子供が2人手を繋いで走っていくのだった。
〇〇「あの男の子…俺だよな?じゃあ、隣の小さい子がひかるか。」
そして、目の前では俺が覚えていた通りの出来事が始まったのだった。
ひかる(少女)「はい、〇〇!おてがみあげる!」
〇〇(少年)「ありがとう!ひかる、だいじにするね!」
ひかる(少女)「へへ!だってひぃは〇〇のおよめさんになるんだもん!」
〇〇(少年)「うれしいな!おっきくなってからがたのしみだね!」 
ひかる(少女)「うん!」
そんな姿を後ろからそっと眺めていた〇〇は、ある事を思い出したのだった。
〇〇「あれ…そういえばこの後俺、木の上で降りられなくなった猫を助けるためにとんでもない無茶をしたはずだよな…」
そんなことを〇〇が思い出していると、木の上で猫が怯えながら鳴き声をあげたのだった。
猫「ニャーン!!ニャーン!!」
ひかる(少女)「あ、ねこちゃんだ!」
〇〇(少年)「おりれなくなったんだな。よし、たすけにいってくる!」
ひかる(少女)「〇〇、あぶないよ!」
〇〇(少年)「だいじょうぶだよ!」
そう告げた小さい頃の俺は木の上で怯えている猫を助けるためにゆっくりと木の上に登るのだった。
〇〇「大丈夫なわけが無い。あの後、あの木は折れて俺は猫を抱きかかえたまま地面に落下して俺は背中を強打したんだ。」
そして、〇〇の予想通り小さい頃の俺が上がった木の幹は既に限界を迎えているかの如くミシミシと音を立てていたのだった。
〇〇(少年)「だいじょうぶだよ、こっちにおいで!」
猫「ニャーン。」
〇〇(少年)「ほら、ひかる!たすけれたよ、ねこ!」
ひかる(少女)「よかった!」
ミシミシ!ボキッ!
〇〇(少年)「うわーっ!」
そして、小さい頃の俺は猫を抱きかかえたまま自身が地面に背中を強打したまま動かなくなった。
ひかる(少女)「〇〇、〇〇!」
〇〇(少年)「ひかる…ねこは?」
ひかる(少女)「だいじょうぶ!ねこならたすかったよ!」
〇〇(少年)「よかった…でも、ごめん…ひかる、ぼく…ダメみたい。」
ひかる(少女)「いやだ、そんなのいやだよ!お願い、〇〇!おめめあけてよ!」
その光景を見て俺は思い出した。全てはひかるに心配してもらいたいがための芝居であるということを。だから、俺はたまらず小さい頃の俺の元に向かって声をかけたのだった。
〇〇「そうやってひかるに心配してもらいたいからって下手な芝居すんなよな、俺!」
ひかる(少女)「え?おじさん、だれ?へんなひと?」
〇〇「おいおい、変な人ってそれはあんまりだろ。」
〇〇(少年)「チェッ、バレてたか。って、え!おにいさんだれ?」
〇〇「お!いい反応だな、昔の俺!ひかるにもお兄さんって言って欲しかったのにな。」
ひかる(少女)「〇〇、あのひとこわい。」
〇〇(少年)「だいじょうぶだよ。むかしのぼくをしってるってことはおにいさんはみらいのぼく?」
〇〇「おっ、賢いな!まだひかると同じ年長さんなのにもうタイムスリップというかなんというかこの現状を理解できるのか?」
〇〇(少年)「うん!わかるよ!」
ひかる(少女)「どういうこと?〇〇?」
〇〇(少年)「うーん。かんたんにいえばこのおにいさんがみらいのぼくできっとみらいでなにかがあってここにいるぼくにあいにきたかんじかな?どう、あってる?」
満面の笑みで俺に尋ねてきた小さい頃の俺は良く考えると創造力が豊かだったんだなと改めて思い知らされたのだった。
〇〇「ああ、合ってるよ。大正解だ!」
〇〇(少年)「それで、なにがあったの?」
今度は年長さんなりにひかるを背中に隠しながら真剣に聞いてきた幼い頃の俺を適当に扱ってはいけないと考えた俺は、真実を明かすことにした。
〇〇「実はな、俺刺されたんだよ。高校の同じクラスのやつに。」
〇〇(少年)「え?うそでしょ?」
ひかる(少女)「大丈夫なの?もしかして…」
〇〇「いや、そんな最悪な結末を迎えるつもりは無いよ。何故なら今、昔の俺がひかるからもらった手紙を懐に忍ばせておいたから傷はそんなに深くないと思うんだよね。」
〇〇(少年)「そっか。それだったらだいじょうぶなきがするよ!」
そんな話をしていると、背後で目をウルウルさせながらひかるが〇〇にこう尋ねるのだった。
ひかる(少女)「おにいちゃんとひぃはみらい?でもなかよしなん?」
〇〇「ああ、そうだよ!仲良しって言うよりもその手紙通りに事は進んでるかな?」
〇〇(少年)「それってひかるはぼくのおよめさんってこと?」
〇〇「いや、俺達まだ高校生だからさ、結婚とかはあれだけど付き合ってはいるよ!」
〇〇(少年)「本当に?」
〇〇「ああ、本当だよ!」
〇〇(少年)「やったな、ひかる!」
ひかる(少女)「うん!」
そんなことを俺と小さい頃の俺とひかるが話していると、遠くにある白い光からひかるの声が聞こえてきたのだった。
ひかる「〇〇、お願い!起きてよ、助けて!お願いだから!」
〇〇「ひかる?」
〇〇(少年)「どうしたの?」
ひかる(少女)「ひぃはここにいるよ?」
〇〇「いや、あの遠くにある白い光からひかるの声が聞こえたんだよな、助けてってな。」
〇〇(少年)「そっか!だったらおわかれかもしれないね!みらいのぼく、あっちにかえってもひかるをたすけてね!」
〇〇「ああ、分かった!」
〇〇(少女)「けんかしてでもなにしてでもいいからみらい?のひぃとずっとなかよしでいてね!」
〇〇「ありがとう!約束は必ず守るよ!じゃあ、行くね!」
〇〇(少年)「うん、バイバイ!」
ひかる(少女)「バイバーイ!」
そして、俺は小さい頃の俺とひかるに見送られながら白い光に包まれるのだった。一方、ひかるが俺に助けを求めた理由は今から数分前に遡るのだった。


ひかる「何やってんのよ、〇〇。手術も成功して後はあんたが目を覚ませば終わりなのに何をそんなに楽しい夢を見てるの?〇〇。早く会いたいよ。」
そんなことを呟いたひかるしかいない俺の病室をノックもせずに開ける人物がいたのだった。
□□「やっと見つけたよ、森田さん!僕と一緒に新たな未来を歩もうよ、そんなやつはほっといてさ!」
ひかる「嫌だ!私は、私は〇〇のお嫁さんになるって約束したの!あなたみたいなおかしい人の彼女になんてならない!」
俺とひかるにとって因縁の敵である□□が現れたもののひかるは俺を庇うかのように強気に□□に対して発言したのだった。しかし、その反撃としてまたもや凶刃がひかるに迫るのだった。
□□「また、またそうやって君は!僕の事を避けるのか!もういい、だったら〇〇の目の前で森田さん、君を消して絶望させてあげるよ!」
そう叫びながらひかるに向かってナイフを振り上げた□□の攻撃を交わしながらひかるは必死に俺に助けを求めたのだった。その先に奇跡が巻き起こることなど予想もせずに。
ひかる「〇〇、お願い!助けて!起きてよ、助けて!お願いだから!〇〇、ひぃを守ってよ!ナイト様なんでしょ!」
□□「無駄だ!こいつは目を覚まさない!永遠にな!」
ひかる「〇〇!」
そして、ひかるに□□の凶刃が振り下ろされようとした次の瞬間、凶刃はひかるの目の前で止まるのだった。
ひかる「え?」
□□「そ、そんな!バカな!」
〇〇「よう、クソ野郎!ひかるにその物騒なものを向けるのはやめてもらおうか!」
そう叫んだ俺の復活一発目の蹴りを食らった□□は、遠くまで吹き飛ばされたのだった。
ひかる「〇〇!」
〇〇「悪い、待たせたなひかる!もう大丈夫だ!」
そして、点滴を外しながらひかるの元にしゃがみ込んだ俺はひかるの頭を撫でたのだった。
ひかる「〇〇、後ろ!」
そのひかるの声に振り返るとこちらに向かって走ってきた□□に対して俺は握り拳を作ると共に反撃を狙っていたのだった。
□□「〇〇!」
〇〇「黙れ、クソ野郎!」
そう叫んだ俺は□□のナイフをかわすと共に顔面に渾身のストレートを放つと病室に人が押し寄せてきたのだった。
〇〇父「〇〇、大丈夫なのか?」
〇〇母「〇〇!良かった!」
ひかる父「〇〇君!」
ひかる母「やっと目を覚ましてくれたのね、〇〇君!」
〇〇「父さん、母さんは警察に連絡を!ヒカルのお父さんとお母さんは先生と警備員を呼んでください!」
〇〇父「お前はどうするんだ?」
〇〇「どうもこうもない!こいつをぶっ潰す!」
〇〇母「分かったわ!気を付けてね!」
〇〇「ああ!」
ひかる父「俺達も行こう、母さん!」
ひかる母「うん!」
□□「貴様!」
〇〇「さあ、邪魔者は誰もいなくなった。決着をつけようか!」
□□「望む所だ!」
そして、再び振り下ろされた□□のナイフをかわしてキックとパンチを連続で叩き込んだ俺は、ナイフを地面に落とすことに成功した。
〇〇「どうした、お前の武器はどこにもないぜ?」
□□「なめやがって!」
そう叫んでフラフラになりながらも俺に殴りかかってきた□□を俺は渾身の一撃で吹き飛ばすことにしたのだった。
□□「俺が森田さんのナイト様だ!」
〇〇「お前は絶対にナイト様にはなれない!何故か分かるか、俺は夢で昔の俺とひかるに約束したんだよ。未来でもひかるを助けてくれ、仲良しでいてくれってな!」
ひかる「〇〇…。」
〇〇「だからお前は絶対にひかるのナイト様になんかなれないんだよ!俺の怒りを思い知れ!」
そう叫んで□□の拳を受け止めた俺は渾身の一撃で□□を吹き飛ばすと共に馬乗りになり、□□にナイフを見せつけたのだった。
□□「な、何する気だ!」
〇〇「何する気だって?お前なら分かるだろ?お前が俺にした事を逆にしてやるんだよ!」
□□「や、やれるもんならやってみろ!」
〇〇「言ったな?だったらお前を地獄に送ってやる!俺はな、ひかるのためだったらなんだってするんだよ!こんな事だってな!」
そう俺が叫んで□□にナイフを振りおろそうとした次の瞬間、背後からひかるが俺を抱きしめたのだった。
ひかる「お願い…。〇〇、もうやめて!」
〇〇「離せよ。俺の復讐は終わってないんだよ!」
ひかる「お願いやから復讐なんてしないで!元の優しい〇〇に戻ってよ、お願いだから!」
そう叫んだひかるに抱きしめられた俺は自分が何をしようとしていたのかを我に返って思い出すと共にナイフを投げ捨て、ひかるの手にそっと自分の手を重ねたのだった。
〇〇「ごめんな、ひかる。本当にごめん!」
ひかる「もういいよ、もういいから謝らないで!〇〇が目を覚ましてくれただけで嬉しいからさ。」
〇〇「そっか、そうだよな。ただいま、ひかる!」
ひかる「おかえり、〇〇!」

それから数日後、□□は夏休み明けに学校を退学扱いになった。まあ、あんなことをしたら当然ではあるんだが。そして、2学期になって俺の周りにはひかるだけではなく天や保乃、有美子、里奈、いのり、玲、麗奈、夏鈴などといった女子チームが俺を心配して毎日のように話をしに来てくれた。そして、その光景を見て最初は嫉妬していたひかるも最近は話の輪の中に入っているのを見ると俺は嬉しかった。ただ、俺はこの時知らなかった。この2学期から卒業式までの間、とんでもない事件に巻き込まれるということを。
?「どうします、ボス?□□が失敗したせいで森田ひかるは彼の元にいますが?」
?「構わない。今の段階ではな。しかし、あいつを追い込むためにはあいつから全ての女子生徒を奪い去る必要がある。次の段階に移るぞ、我々卒業生で結成したダークパニッシャーの次の狙いは…田村保乃だ!」
次回に続く(かも?)











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