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君のためなら…前編

なんで、あんな事になったんだろう…
〇〇「ひかる、逃げろ!」
ひかる「キャー!」
□□「終わりだ!」
〇〇「やめろ!」グサッ!
ひかる「〇〇、〇〇!」
〇〇「なぁ…ひかる。俺、お前の幼なじみで…恋人で…良かったなって思ってるよ…。だからさ…お前は…幸せになってくれよ。」
ひかる「嫌だ!目を開けてよ!」
〇〇「懐かしいな…昔はおめめだったのに…」
ひかる「嫌だって!目を開けてよ!〇〇!」

時は遡ること数ヶ月前。高校3年生になった俺、〇〇と幼なじみの森田ひかるは3年間ずっと同じクラスで学生生活を過ごしてきました。そんな中、俺とひかるは高校1年生の時に晴れて付き合うことになり、幼なじみから恋人になりました。そして、今までずっと恋人として過ごしてきた俺達を面白く思わない同級生の□□の嫌がらせが強さを増してきたのも3年生になってからでした。
ひかる「でも嬉しいな、こうして〇〇と3年間同じクラスの上に付き合えるなんて!」

〇〇「ああ、そうだね!」
□□「何がそうだねだよ。お前みたいなやつが森田さんと幼なじみである事がおかしいんだよ。」
〇〇「何がおかしいんだよ!」
こいつこそ俺とひかるの間を引き裂こうとする同級生の□□。この男も俺やひかると同じく3年間同じクラスだった。そして、俺は知っていた。この男もまたひかるを狙っていたということを。そして、この男がひかるを奪うために俺に凶刃を向けることを。
□□「森田さん、悪いことは言わない。幼なじみとはいえなんの取り柄もないこいつなんかと別れてさ、俺と付き合おうよ!」
〇〇「お前、いい加減にしろよ!」
ひかる「悪いけど私は〇〇を運命の人だと思ってるから!あなたなんかとは付き合いません、絶対に!」
□□「クソっ!俺は諦めないからな!必ず森田さん、あなたを奪ってみせる!」
そんなことを捨てセリフのように吐いた□□は、自分の席に戻っていくのだった。そして、季節は流れてGWが近づいてきた頃、俺とひかるは花見の予定を立てていました。
ひかる「なあ、〇〇?」
〇〇「ん?どうした、ひかる?」
ひかる「お花見、いつ行く?」
〇〇「そうだな。確か満開の予定は5月に入ってからだから後半でも良いんじゃないか?」
ひかる「OK!それならその感じで予定決めておくね!」
〇〇「ああ、頼むよ。」
そんなことを話していた俺とひかるの目の前にまたもや□□が立ちはだかるのだった。
□□「お前ばかりずるいんだよ!たまには俺にも森田さんを貸せよ!」
〇〇「ふざけんな。ひかるは物じゃない、俺の彼女だ!」
ひかる「私、前にも言いましたよね!あなたとは一緒に行動もしないしどこにもお出かけはしないって!」
〇〇「ほら、分かっただろ。ひかるだって嫌がってるんだ。お前ならきっとひかる以外の女子とも付き合えるって。だから自信持てよ!お前、カッコイイんだからさ!」
□□「分かったよ。お前がそこまで言うなら諦めるよ。森田さんもゴメンね?」
ひかる「ううん、頑張ってね!」
□□「ありがとう!」
そして、GWに突入すると俺とひかるは色んな所に出掛けました。ポケモンのグッズが欲しいからとポケモンセンターに行き、映画が見たいと言えば映画館にも行きました。そして、花見当日になるとひかるはどうしても夜桜を見たいと言ったので夜に向かうことにしました。
ひかる「桜、やっぱり夜桜の方が綺麗かもしれないよね。(**´ >ω<)゙;クシュン」
〇〇「おいおい、大丈夫かよ。」
ひかる「大丈夫、大丈夫。(**´ >ω<)゙;クシュン」
〇〇「ほら、着ろよ。上着。」
ひかる「え?それだと〇〇が寒くなっちゃうよ?」
〇〇「俺の事は良いんだよ。ひかるに風邪ひいて欲しくないからさ!」
ひかる「〇〇、ありがとう!」
そして、夜風に当たりながら俺達は夜桜を堪能しました。しかし、GWが開けた頃から□□は再びひかるを狙うようになりました。理由としてはやれテストで買ったら食事に行かせろだのやれ今度の球技大会で俺がお前より活躍したらデートさせろだのという無理難題ばかりでした。そして、テストはクラスで勉強が得意な玲ちゃんと井上の知恵を借りながらなんとか□□を上回ることが出来ました。
〇〇「本当に玲ちゃんと井上のおかげだよ、ありがとう!」
玲「どういたしまして!でも良かったね、ひかるちゃん取られなくて!エヘへ!」


〇〇「まあな。」
井上「ちょっと!私も協力したんやけど!」
〇〇「なんだよ、井上。そんなに怒るなって!」
井上「怒るに決まってるやん!なんやねん、玲ちゃんは玲ちゃんでうちは井上やねん!点数が高かったら梨名って呼ぶ約束したやん!」
ひかる「玲ちゃんと井上、ブフッ!アハハ!」
井上「ちょっとるんちゃん!笑いすぎやって!」
ひかる「ゴメンってば!アハハ!」
〇〇「しょうがないな。梨名もありがとうな!」ポンポン
井上「ちょっ!頭、ポンポンはずるいって!ドヒドヒしてしまうやん!」
ひかる「ドヒドヒ。アハハ!」
井上「るんちゃん!怒るよ!」
ひかる「ゴメンってば!」
〇〇「何やってんだ、あいつらは。」
玲「本当にね。」
そして、遂に球技大会となり俺と□□の勝負になりました。しかし、バスケットボール、バレーボールと圧勝し、最後は野球対決となるものの俺はホームラン3本、□□は4三振と圧倒的な差で球技大会は終わるのでした。
〇〇「もう、そんなにひかるにこだわるなって!お前だったらいい彼女が出来る」
□□「無理なんだよ!俺は今まで何人も付き合ってきた。その度に森田さんが脳裏をよぎるから歴代の彼女に言われるんだよ!私を見てないって!だが、もう我慢の限界だ!お前のイチャイチャを見る度に腹が立つ!今度のお祭り、覚悟しとけよ!力ずくで森田さんを奪ってやるからな!」
そして、遂にあの事件の夜が訪れたのでした。

〇〇「ひかる、楽しかったな!」
ひかる「うん、来月の祭りも楽しみだね!」
〇〇「そうだな!」
祭りが終わった帰り道、俺とひかるは手を繋いで歩いていました。すると、目の前にいきなり□□が現れたのでした。
□□「よう、〇〇。約束通り奪いに来てやったぜ!森田さんをな!」
そう叫んだ□□の手にはナイフが握られていた。
〇〇「お前、どうかしてるぞ!」
□□「どうもしてないさ。これが俺の本気だ!」
そして、ナイフを振りかざして襲いかかろうとした□□を俺は止めると共にひかるを逃がすことに集中していた。
〇〇「ひかる、逃げろ!」
ひかる「でも。」
〇〇「いいから早く!」
ひかる「分かった!」
□□「邪魔するなよ!」
〇〇「お前にひかるは渡さない!」
そして、□□を俺が止めていたもののひかるはそんなに遠くまで逃げていなかった。そして、□□を振り切ってひかるの元に行こうとした矢先、凶刃が俺を襲った。
□□「終わりだ!」
〇〇「やめろ!」グサッ!
□□「お前が悪いんだ。お前が邪魔するからだ!」
〇〇「はぁ、はぁ…クソッ。」
腹部を刺された俺は地面に片膝をついて息を整えていた。俺でも分かっていた、懐に隠し持っていたあるものが原因で傷が浅いことを。だが、痛いし血が出ていることに変わりはなかった。そして、ひかるの悲鳴にようやく気づくと俺の目の前に□□がいなかったことにも気づいた。
□□「さあ、森田さん。あいつみたいに怪我したくなかったら俺と一緒に来てもらうよ!」
俺は痛みで後ろを見れなかった。だが、あいつは不気味な笑みできっとひかるに近づいているんだろう。
ひかる「キャー!やめて、来ないで!助けて、〇〇!動いてよ!お願いだから!」
□□「黙れ!」
ひかる「キャー!〇〇!」
何やってんだ、傷が浅いんだろ!立て、立つんだ俺!早くしろ!俺の彼女が、ひかるが助けを求めてるんだぞ!あいつに奪われる前に動け!という俺の意思が体に伝わった途端、俺の体は今まででありえないくらいのスピードで□□の背後に立つと共に□□のナイフを掴んでいた。
□□「何?」
〇〇「おい、クソ野郎。俺のひかるからその汚い手を離せ!」
そして、一瞬で前に回り込んだ俺は渾身のパンチを振り抜いた。
□□「な、なんで立てるんだよ!お前に関係ないだろ!森田さんを愛するのも守り抜くのも俺なんだよ!」
〇〇「おい…はぁ、はぁ。お前にひかるを愛する権利も守る権利も…ないんだよ!」
□□「なんだと?ボロボロのくせにうるさいんだよ!」
〇〇「ひかるはな…はぁ、はぁ。俺にとって幼なじみで…大事な彼女なんだ。だから…はぁ、はぁ。ひかるを守るのは…俺の仕事なんだよ。何故か教えてやろうか?俺は…俺はな、はぁ、はぁ…。ひかるのナイト様なんだよ!だから、ひかるは俺が守る!この命に変えてもな!」
ひかる「〇〇、ダメだよ!」
□□「くたばれ!」
そして、再び振りかざしてきたナイフを俺は一瞬でかわすと共に連続パンチを繰り出すと共に□□の顔面にパンチを繰り出そうとした次の瞬間、視界の歪みと共に俺は倒れてしまった。それと同時にあいつは全力で現場から逃げ出した。
ひかる「〇〇、どうしたん?ねぇ、〇〇!」
〇〇「はぁ、はぁ。クソッ。傷が浅いと思ったんだけど動きすぎて深くなったのか。」
そして、勢い良く走ってきたひかるは俺を抱きかかえると傷口を見るのだった。
ひかる「やっぱり刺されてたの?なのになんで!」
〇〇「はぁ、はぁ。馬鹿野郎、彼女が助けを求めたら駆けつけるのが…彼氏だろ?」
ひかる「しっかりして!〇〇!救急車呼んだから!」
〇〇「ありがとう…はぁ、はぁ。なぁ…ひかる。俺、お前の幼なじみで…恋人で…良かったなと思ってるよ…。だからさ…お前は…幸せになってくれよ。」
ひかる「嫌だ!目を開けてよ!」
〇〇「懐かしいな…昔はおめめだったのに…」
ひかる「嫌だって!お願いだから!目を開けてよ!〇〇!ダメダメ、お願いだから!嫌だ、〇〇!目を開けて!」
〇〇「ひかる…」
ひかる「ダメダメ!嫌だ、嫌!お願い、目を開けて!〇〇!〇〇!〇〇!」
そんなひかるの必死の叫びから意識を失った俺は次に目を覚ますとどこか懐かしい夢のような世界に来ていた。

後編に続く


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