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夢のお告げ

石浦神社では不思議なことが結構起きる。
元長谷寺だっただけあり、夢がやって来ることもある。

子供の頃、膝に石浦神社の砂利が入っている子がいた。そして、その子も不思議な夢を見ると行っていた。

お祭りはその頃は盛大で坂道を急いで転ぶ子供たち。
3日間くらいだったかな。
何も無かったあの頃は、お祭りとなると当然みんな毎日通った。

僕の個人的な不思議な感覚は、石浦神社本体が登場しないでヴィジョンの中で何度もその周辺が浮かんだり、夢の中に出て来たり、そこを歩いたりしていたこと。その時の感覚は奇妙で生々しい。

確かに石浦神社はもっと敷地もあり、境内も広かった。でも、その現実を超えて、あの頃僕らが見ていたのはヴィジョンの中での神社だった。坂道が何処までも続き、笛や太鼓の音が鳴り響き、人々が行き交う。
それはいつかはそうだった石浦神社の姿なのか、夢の中だけに存在している本当の姿なのか。
確かなのは、それはあったし、あるのだと言うこと。
こんなにリアルにそのビジョンが浮かぶのだから。
それにしてもそこには石浦神社本体の姿がない。
気配だけがある。
何処まで歩いても本殿には辿り着かない。

僕らは坂の下からずっとずっと歩いている。
もっともっと上にある気配を見つめながら。
上の方はもっと賑やかで、そこへ向かって歩いている。

祖母の声が聞こえてくる。
「石浦さんのお祭りやさけ、行って来まっし」

石浦大権現の見せてくれる夢。

金沢は犀川と浅野川に挟まれた子宮の中。
そこで見聞きしているものは、何処までが現実で何処までが夢なのか分からない。

金沢城本丸と石浦神社がこの街の真ん中にある。

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