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チャレンジしないのはなぜか?

定期的に飲みに行く友人が、今年の春も愚痴っていました。

「3月でAさんも辞めるって。あー羨ましい。私も早く辞めて楽になりたい。」

「今は、新入職員の勉強会の準備でとにかく毎日大変。しんどいわ。」

「いつも帰りが遅くなって、仕事と家の往復だけの毎日。もう嫌だわ。」

「後継者が育たないから、なかなか仕事の引き継ぎができない。」

この友人は、春先に会うと恒例のように同じ事を言います。

私も数年前までは、友人の苦境を少しでも良い方向に改善できればと、知恵を絞りアイデアを提案したりしていたのですが、2、3年前にこの友人は、アドバイスなんて欲しがっていないと気がつきました。

むしろ、

ー アドバイスなんて聞いたら行動しないといけないじゃん・・。そんな邪魔くさいことは勘弁してほしい。ただ愚痴を聞いてくれるだけで十分。今の形を変えたくない・・・。

友人の頭の中を妄想してみました。たぶん間違いないと思います。
それからは、「大変やねー。体に気をつけて無理しないでね。」と傾聴に努めるようにしています。

辛辣なことを言えば、そんなに愚痴ばかりで嫌な職場だったら、辞めたら良いのにと思っています。何度か、転職を考えてみては?とも言ってみましたが、のらりくらりで交わされて、いつも話が元に戻ってしまいます。
この友人からは、私(ちょこちょこ転職しているので)は、マイノリティーだと言われます。新しい世界へのチャレンジには大きな壁があるのだそうです。

行動心理学の視点で考えてみた

この友人のように、人はなぜチャレンジしないのかという長年の疑問を私なりに解決したいと考え、「行動心理学」という分野で面白い法則を見つけました。Wikipediaで調べると行動主義心理学として説明がされています。多くの心理学者の多様な主張があるようですが、人間の行動を観察し心理を分析・研究していく学問のことを一般的に行動心理学と言われているようです。
その中の「損失回避の法則」が私の疑問解消につながると考え勉強してみました。

損失回避の法則とは

「得をするより損をしたくない」という心理のことを損失回避の法則と言います。この法則は、未知のものや変化を受け入れず、現状を維持することを好む心理作用である現状維持バイアスのメカニズムの要素と言われています。意図的ではなく、人間の持つ本能的なリスク回避として誰にでも備わっている心理作用であり、自己防衛本能と考えると納得できます。

損失回避性を理解する

損失回避には、想像力が大きく影響すると言われています。得よりも損することばかり考えてしまう、つまり、ネガティブ思考が影響しているのです。損得の感じ方は、心理学の実験(価値関数)ですでに定量化されており、「損をした時の悲しみ」の方が、「得をした時の喜び」の「2.25倍くらいのインパクト」があるとの結果が出ています。数字で見ると、かなり大きなインパクトで一瞬、躊躇します。それでも、チャレンジする人は、どうしてこの2.25倍のインパクトを超えようと決断するのでしょうか。

現状維持のメリット・デメリットを考える

チャレンジ精神のある人は、知らず知らずのうちにこの損失回避の法則を使い分けていると言われています。チャレンジする人の経験は、現状維持の人よりも、おそらく多いはずです。その中での失敗や成功が経験値として蓄積され、メリット・デメリットが暗黙的に使い分けという形で存在し、意思を決定していると考えられています。

思考をシンプルにする方法(プロスコンス表)

ただ、チャレンジ精神のある人も経験値を積み始める第一歩、チャレンジしてみようと決断する瞬間があったはずです。どうしたらその決断ができるのだろうかと、考えてみました。勇気ある決断をするには、自分の考えを客観的に整理する必要があります。そこで見つけたのが、プロスコンス表です。プロスコンス(Pros-Cons)表とは、頭の中をシンプルに整理するツールです。プロスコンス(Pros-Cons)とは、プロス(Pros)は賛成意見、コンス(Cons)は反対意見を意味します。

手書きで作成したプロスコンス表

ぼんやりと頭で考えていたことを、二者選択で整理していくだけです。優先度を点数にして視覚的にも自分で納得できるツールです。メリット・デメリットの項目も思いつくまま書き、10点満点中何点かを感覚でつけていきます。

今回は、賛成意見の点数が高い結果になりましたが、テーマによっては、反対意見が多い場合もあります。その際は、勇気ある撤退という決断もありということです。迷ったときに、手軽にノートや手帳で整理ができるのがとにかく便利です。
賛成であれ、反対であれ、自分の中でメリット・デメリットが認識できると、少し勇気が湧いてきます。勇気が湧く瞬間はネガティブな思考から飛び出した瞬間でもあります。

そして意思をもって行動する

チャレンジには、しっかり自分自身を見つめて、話し合うことが大切です。
何よりも、自分の違和感に自分で気がつくことから始まるように思います。
そこで、チャレンジまでの私なりのマイルールを整理してみました。
   ⇩

  1. 自分の違和感を感じる(悶々している・不満があるみたいなど)

  2. 思考を整理してみる

  3. 客観的に分析する

  4. メリット・デメリットを確認する

  5. 意思を決定する(例:やりたいorやりたくない)

  6. 行動する(例:動くor動かない)

私は、「動かない!」も行動するに入れます。しっかりと考え抜いて、動かないのはアリです。勇気ある撤退をすることは、すごい行動だと思っています。

いつも春先に愚痴っている友人は、それが違和感と感じていないんですね。
でも、それは逆に良いことなんだと思います。


参考資料

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