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オンライン時代に求められる話し方⑧「会話を盛り込む」

  最近流行りのCLUBHOUSEというコミュニケーション・ツールをご存知の方も増えてきたと思います。以前はiPhoneだけだったのが、最近はAndroidでもパソコンでもできるようになってきました。

 私も現在週に3回月曜と木曜は、櫻井弘の【話し方相談室】というルーム、水曜日は【BAR874(ハナシ)】というルームを開いております。

 このCLUBHOUSEの最大の特徴は音声言語の「聴覚情報」のみのコミュニケーションということです。ルームは個人で作ったラジオ局のような感じです。

 動画が一切なく、参加者のアイコンを見ながらのコミュニケーションにはなりますが、話を聞いている間にその人のプロフィールや専門分野についての情報を見ることができるので、その情報を元に話題作りや会話のきっかけにすることもできます。初対面で話している状態よりも、相手の情報がその場である程度わかるので、その場で繋がりができたりして、効果的なコミュニケーションを図ることができます。

 さて、このようにCLUBUHOUSEをはじめ、ラジオや電話のように「聴覚情報」がメインのオンライン・コミュニケーションにおいて相手にしっかりと伝わりやすい話し方の非常に有効な手段のひとつとしてあげられるのが「会話を盛り込む」という技術なのです。

 日本人の場合「解説調に淡々と話す」というパターンがほとんどなので、話にメリハリやクライマックスやインパクトに欠ける傾向があります。こうなると、結果的に「あまり印象に残らない話」という残念な結果になってしまいます。

 聴覚情報が頼りのオンラインのコミュニケーションにおいて「会話を盛り込む」という意味合いとは、「聞き手のイメージに訴える」「話に膨らみを持たせる」という効果が期待できます。その結果として、聞き手の「イメージや視覚に訴える」ことができるのです。

 例えば、電車の中でふざけていた子供をお母さんが「電車の中でふざけたらダメって言ったでしょ!言うこと聞かないとお母さん怒るわよ!」するとその子供が「お母さんもう怒っているじゃない?!・・・」と言いました。

 子供が「僕のサッカーボール知らない?・・・」と尋ねると、母親はいきなり「勉強やったの!」と一喝。子供は「もういいよ!」と言って自分の部屋に引きこもってしまいました。

 あるマネージャーが日曜日に友人宅に行って、一人息子さんにも久しぶりに会ってお酒を酌み交わし楽しい時間を過ごしました。そして翌日の月曜日、若い部下から「おはようございます!」と挨拶され、彼の顔を見た瞬間、「昨日の友人の一人息子さんと感じが似ているな・・・」と思い、「君兄弟いたっけ?」唐突に質問しました。すると若い部下の彼は「なんで月曜の朝一番からそんな質問するのだろうか?・・・」などとちょっと不安な気持ち「いいえ、私は兄弟はいません。一人っ子です」と答えました。するとマネージャーはニコッと笑って「やっぱりな!」と一言だけ言ってその場を立ち去ってしまいました。なんだかわからないまま自席に着こうと思ったその時です。今度は別の部の部長から突然「君兄弟いたかな?」と同じ質問をされたのです。彼はドキッとして、「今日は人事考課でもあるのだろうか?」「一人っ子ではいけないのだろうか?」などとますます不安な気持ちで「いいえ、一人っ子です。・・・」と答えました。すると部長は「なるほどな、・・・」とポツンと一言言って、その場を立ち去っていったそうです。それ以来彼は、その二人の管理職に対し近付きにくくなってしまったそうです。

 最近よく聞く「パワハラ」の一言の会話の例を出します。これは20年前くらいに聞いた話です。ミスをした部下を自席に呼んだ上司は下を向いている部下に対して、「お〜君そこの窓が開いてるな・・・」と言ったそうです。

 今の時代は、「君は頭が良いから、私の言いたいことわかるね?・・・」と意味深に伝えると、部下は「課長、それってパワハラですか!」と答えたという話を聞きました。

 いかがですか?話の中に「会話を盛り込む」ということで、話に膨らみが出て、イメージが湧き、臨場感が高まり、共感が湧いてきます。その結果として、「印象に残る話」になるのです。声だけが頼りのオンライン・コミュニケーションにおいては、自分自身の「表現力」や「描写力」を磨くトレーニングの場だと思って、実況中継のように話したり、特に「落語」のように「おい、くまさん!、なんだい、はっつぁん!」会話を盛り込んで、聞き手のイメージに訴える話し方を心がけましょう。

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