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2019.5.17 CIAの話・・・

皆さん、おはようございます!

今回は熱が入りすぎて、かなり長文になりました(汗)

タイトルだけ見れば、映画かアメリカドラマの話?みたいに思われてもしかたないですねw

CIAについては個人的な話がありまして、平成も終わり時効になったので、古いメモ帳を頼りに書いてみることにしました。
ただ、一昔前の話ということもあり、記憶が断片的なところもあるので、話が前後するところもありますが、そこはご容赦頂きたいです…。

2006年6月、私の携帯電話に一本の連絡が入りました。
電話の相手は、『モグラ』と呼ばれる情報提供者のN氏。
私に面白い人を紹介してやるから、昼食を一緒にしようと誘われました。

私も彼の言う面白い人に興味があったので、会うことにしました。

昼食の約束をした当日、待ち合わせをしていたお店に着くと、既にN氏と外国人が話をしていました。
私がN氏の前まで行くと、彼は外国人に英語で私の名前と携帯電話番号、そして職業と職種を伝えメモを手渡しました。
外国人が私の素性を理解したと判断したN氏は、私に外国人を紹介し、彼はCIAのスパイだと言いました。当然のことながら彼の実名は明かせないので、N氏はパトリック(以下、P氏)と読んでいました。

ちなみに、1947年に設立されたCentral Intelligence Agency(CIA)は、米国の国益・国防のため世界中から情報を収集・分析し、大統領に報告をする世界一大きなスパイ機関です。

30年ほど前には暗殺団も存在し、敵を抹殺していました。
暗殺禁止令がホワイトハウスから出されるくらいだったので、本当の話だと思います。

アメリカで同時多発テロが起こった2001年9月11日から開始されたテロリスト撲滅のために、新たに暗殺軍団が設立されました。
そしてCIAの前身は、第二次世界大戦で大活躍した米政府の実戦スパイ機関であったOSS(Office of Strategic Service)です。

OSSのスパイたちは、日本軍を攪乱させるため満州でも数々の爆破テロ作戦を実行しました。


N氏がCIAのスパイと面識を持つようになったのは、彼が元陸自出身で軍事的な学問や工学を習得しており、国家にとってスパイ機関は必要不可欠であり、CIAはアメリカが最強国であるために重要な役割を果たしていると信じていたので、元々CIAに強い興味を持っていました。

また、戦後日本におけるマッカーサーの「日本占領」について多くを学ぶため、渡米し公開が始まったばかりの米国機密文書を国立公文書館の暗い地下室で読んでいた経験も持っており、「大統領の目だけに」と注のついたOSSの最高極秘の報告書も数多く読んでいました。

たとえば、OSSは
「東條英機の自宅に石を投げている人たちがおります」
と、戦争が終わりに近づいていたことを予告していました。

OSSの工作員たちが東京からさえも、戦時日本についてリアルタイムに情報を当時のルーズベルト大統領に伝えていたことを彼に教えられ、戦後の平和教育で洗脳され、日本は「東洋の永世中立国スイスでなければ」などと夢見ていた私にとって、衝撃が走りました。

もちろん、1941年12月時点で大日本帝国が暗号化した極秘情報はアメリカに筒抜けでした。

平成の日本には、CIAのようなスパイ機関もなかったし、「スパイ罪」もありませんでした。憲法9条の御法度で「軍隊」が存在しないので、日本で「国家安全の極秘」を盗んでもアメリカのように極刑もありません。

日本では、ただの窃盗罪。

日本は国際スパイたちの天国です。

日本版CIAが必要とされないのは、日本国民が米国追従を「平和的」と錯覚し、スパイ情報機関なぞ必要ないと思っているからです。

現に今まで、日本は無知のまま、強欲な諸外国に手玉に取られ、カネと威信をむしり取られ世界中で笑いものにされました。

日本もその昔、刀を差していた頃は草や忍といった隠密で行動をしていた者が国内に組織として存在していました。そろそろ威信を取り戻すために、日本もCIAに負けない人材を養成すべきではないかと思います。

日本は経済・技術大国であり、守らなければならないモノが沢山あります。
北朝鮮のスパイに日本人を拉致されたら、本来その人たちを速やかに奪回できるだけの組織を日本国は持っていなければならないはずです。

米国民が拉致されたら、巨大な航空母艦に護られた
勇敢な海兵隊が出動して人質奪回を行います。

ちなみに、CIAの年間予算は公開された額が7兆円で、隠し予算がこの額の2倍あると思うのが常識です。

話が横道に逸れてしまいましたが、CIAの話上手なP氏との昼食は、3時間以上続きました。

彼の出身校はプリンストン大学で、長い会話の中で、強く印象に残っている事柄があります。

P「東京は安全で、ライフルの弾も飛んでこないし、とても楽しい街だ。私の仕事は人と会って、話を聞いて、情報を集めることなんだ。仏教によれば、人間は108の煩悩を持っているというけど、僕の勘定では、もっとあると思う」

N「人の欲望や煩悩をくすぐれば、Pの言う通りに人は動くからね」

P「ボクの経験では、ほとんどの人は原始的な欲望1・2・3で堕ちる。第一は、お金。第二は、女、セックス、愛人、情婦、男色。第三は、名声、名誉、勲章、プレステージ。これらを組み合わせると、皆さん喜んで私たちに協力してくれます」

私「日本にCIAの協力者は大勢いるんですか?」

P「かなりいるよ。東京は世界中からスパイが集まるところだから。事実、日本はスパイだらけ。居心地も良いし、日本の警察も公安庁も私たちを監視していないから、伸び伸びと動けるんだ。少し前にエジプトのカイロでいがみ合っていた旧ソ連のKGBのスパイと六本木でバッタリ出会ったよ。最初こそお互い驚いたけど、ここは日本だし、後で二人で大笑いしたよ」

私「映画みたいに、大使館や領事館に盗みに入るんですか?」

P「いや。本当に貴重な情報は、中に居る人が『これが重要機密です』と持ち出してきてくれるんだ」

N「でも、東京にある諸外国の大使館の職員に極秘情報を盗ませるには、人の好みや弱みを掴んで、永い月日を費やさなきゃならないんだろ?」

P「ああ。Nのような『モグラ』ではなくて10年、20年、30年かけて、内部に『モグラ』を育てるんだ。逆にアメリカも、ソ連のために動き回っていた『モグラ』の連中に、FBIやCIAの国家機密が長期にわたって盗まれたこともある。アメリカの友達イスラエルでさえ、アメリカの極秘を盗んだんだ。スパイ活動をしない国のほうが、余程賢くないと思うよ」

私「日本では、どんな人が『モグラ』ですか?」

P「それは言えない」

N「私が今『CIAに入ります』と言ったら、教えてくれるんだろう?」

P「ウーン、教える」

私「企業の大物や国会議員、有名なジャーナリストもアメリカのモグラですか?」

P「ウーン、居ないこともない」

私「国会議員で、何人くらいいるんですか?」

P「ウーン、not less than ten(10人以上だ)」

私の表情が険しくなったのを察知したのか、P氏が
「驚くほどの数じゃないよ。よその国の議会なんか半数の議員が私たちの協力者だからね」
と私を慰めようとした。

私「自民党、社民党、共産党の議員もモグラになっているんですか?」

P「私たちはモグラのイデオロギーに興味はない。お金に国境やイデオロギーの壁はないからね。だからカネのためなら何でもする人が多いんだよ」

私は話題を替えてみました。
私「アメリカでは産業スパイも養成されているんですか?」

P「アメリカと日本が技術で世界独占を競っている時、産業スパイは国家の戦略として当然の政策だからね。日本の産業スパイは、アメリカで度々お縄を頂戴しているけど、アメリカの産業スパイは日本で捕まったことがないよ」

P氏は日本人には珍しいほどの綺麗な白い歯を見せながら、声を出さずに大きく笑っていたのが今でも印象に残っています。

P「アメリカの産業スパイが日本で捕まらないのは、内部の日本人が機密を盗んで持ち出しているからなんだ。日本人がアメリカで逮捕されるのは、彼らは素人なのに自分たちで盗もうとするからなんだ。日本人は基礎ができてないよ」

彼のように理想論、倫理観、希望的観測に縛られていない者が、自国の国益のためには手段を選ばないという現実を見せつけられ、私は反論することもままならず圧倒されました。

本能と理性が戦った時、本能が勝つことをまざまざと見せつけられた瞬間でした。

P「ところでNは何に弱い?」

N「私は長い間、奨学金で貧しい学生生活をしていたから、お金が欲しい」

P氏は胸の内ポケットから一枚のリストを取り出し、テーブルに広げ

P「連邦政府の給料表だ。Nは陸自出身で工学も勉強している。いま36歳だからこのあたりだ」

と真剣な顔を作ってN氏の年棒額を指した。
P氏のハンサムな顔に、一瞬N氏の弱みを捕らえたかのような喜びが走ったように見えましたが、「カネが欲しい」と言ったのは本当か?とN氏の顔を見つめていました。

P「N、君は女は好きか」

N「もちろん、大好きだよ」

P「東京の一等地に、すばらしいオフィスを構えて、美しい秘書を二人ほど座らせて、羽振りのいいビジネスマンになったらどうだ?もちろん、運転手兼ボディーガード付きだ。N、君は何になりたいんだ?」

N「工学を学んだから大学で講師をしてみたい」

P「なぜそれを早く言わないんだ。すぐなれる。電話一本だ。日本人は教育が好きで、教授や講師は社会的地位が高いから、その方がNも動きやすいかもしれないな」

私「大学の教授にもモグラがいるんですか?」

P氏は当たり前だろう、という顔をしながらも答えませんでした。
CIAが「原始的な3大欲望」と呼んでいる「カネ」「女」「地位」がP氏の口からすらすらと出てきました。

私は侮辱されたと腹が立つどころか、彼の滑らかさに感心し、私もこれらの欲望で自分の歩みを決めてきたのかと自問しながら聞き入っていました。

私「Nさんは、カネとか女や名誉のエサでは動かない人じゃなかったんですか?」

N「全部大好きに決まってるだろ。パトリック、他に何かあるの?」

P「あるよ」

P氏は笑みを浮かべながら、私を睨んでいました。

P「Nのような男は『CIAで人生最高の冒険ができる』よ。自分の才能、能力、野心を試すことのできる冒険の場を絶えず求めているし、その冒険のためならカネも女も地位も捨てられる男だと思う。Nが今まで一番興奮し、生き甲斐を見つけたと思っていたのは、己を賭けた冒険をしていたときだろ?学問の世界に入ったのも、無限の冒険を求めていたからだろ?」

「冒険 Adventure」を連発され、Nは魔術にかかったかのように、コクリコクリと相づちを打っていました。P氏は
「Nの説得は終わった」という笑顔をしていました。

二人は互いを見つめ、これ以上は説得の必要がないと私も傍にいて感じ取りました。
私は、N氏の頭の中で新しい世界が目の前に広がっていくのを容易に感じ取り、CIAのスパイとしてアジア・太平洋の舞台で大冒険するぞ!と決心し始めたように見えました。

P氏がブリーフ・ケースから、7cmほどの厚さもある書類のようなモノを取り出して、

P「これは願書。提出して欲しい」

N氏はパラパラと書類めくりました。そこには性格、好き嫌い、N氏の一族の歴史、N氏の政治及び倫理観念について、解剖をされているような徹底した調査書類でした。

P「Nは日本国籍を捨てて、米国籍を取って欲しい。手続きは私たちがする。CIAの中に入る人は、米国籍でなければならないんだ」

N「国籍なんか替えたら、母が泣いてしまうよ」
と逃げたら、P氏は
「母には黙っていればいいではないか」

と言いました。この一言で、N氏は口説きの催眠術から目が覚めたようです。
母親に隠さねばならない職に就く…。「スパイ」という職業に対して、自分はなんと甘い考えを持っていたのか、と。

N氏が米国市民になるためには、星条旗と米国憲法と国家安全の維持に「忠誠」を誓わなければなりません。この忠誠は抽象的な儀式ではありません。
「日本」か「アメリカ」のどちらかを選べ!の瀬戸際に追いつめられた者でなければ分からない苦渋のジレンマだと思います。

日本で生活をしていて、
「日本に忠誠を誓う」とか「日本のために」
とかの選択はする必要がありません。

戦後日本ではそのような切羽詰まった機会はありませんでした。
平成日本でさえ「忠誠・愛国心」という発想もありませんでした。
そんな言葉は死後に近く、口に出す人もいません。
口に出せば「悪い右翼」または「戦争を始める」とのレッテルを貼られ、日本社会で村八分の憂き目を見ます。

N氏のアメリカにいる日本の友人たちは、退職後もアメリカに永住したいと希望し、国籍を「米国」に替えた人がいます。
彼らはビジネスマンや大学教授です。

しかし、N氏の場合は目的が違います。

日本を敵に回す可能性があるスパイ活動のために、国籍を替えるという極限の選択肢です。

P氏の一言でN氏は
「自分は日本人」
を自覚させられたと、P氏と別れた後に私に呟きました。

日本で日本人の父と母の間に生まれ、日本語で育ち、日本文化の恩恵を受け成長したN氏には、日本人を辞めて「アメリカ人」になるという発想はできませんでした。

誕生した時から、N氏の精神文化はすでに芯まで
「日本」で染まっていて、またそれを誇りとして
N氏は偉大な異国アメリカで勉強かつ生活をしていました。

36歳になって、大冒険をさせてくれるかもしれないCIAが「アメリカ人になれ」と言っても、彼は母国を捨てられませんでした。

彼と同席していた私も、彼と立場を同じにした場合、「日本の国籍」を捨てることは自分の存在を否定し、自分の思い出までも拒絶し抹殺することだと思いました。

今まで日本人としての誇りを自分の中核として生きてきた私は、「日本」をなくして何になるのだろう。日本人としての誇りを捨てた後、根無し草のように放浪をするのだろうか…。


N「日本を捨て得るのなら、アメリカをも簡単に裏切れる。信念もなく、信じきれるモノを持たない男はカネ・女・地位が欲しいために国を売り、人を売る。CIAはそんな男を雇うべきではない。」

N氏はP氏にそう話した。
P氏は優しい目にうっすらと涙を浮かべ、

P「CIAはお前のような男が一番欲しいんだ」

と呟きました。



「日本はスパイだらけ」と言ったP氏の言葉が今も永く脳裏に残っています。日本は戦後70年以上経った今も、憲法9条と国連神社の日陰で「平和」のためにお祈りをしながら、在日米将兵4万人に毎年5000億円を支払っています。

現実から遊離した平和願望を大切な国策としてきた日本国民は、強欲の牙をむき出しにしている国々がすぐ近くに存在することさえも認識していないかのような生活をしています。

全霊で信じていた「永久平和」の神話が崩れていくのを知りつつも、それを目撃しなければいけない激痛に耐えきれず、懸命に無関心を装っているだけなのだろうか。

現実からの逃避で、日本はどこへ逃げゆくのだろう…。

月日が経ち、早13年。
あれ以来、パトリックとは会ってはいません。
今、現在はどうなっているんでしょうかね?

CIAに限らず、北朝鮮や中国などのスパイが、どれだけ日本社会に根を下ろしてるんでしょうか?

もしかしたらTVや新聞に出てくる著名な人も日本ではなく別の国の国益のために動いたり、情報を流したり、なんて事をしてるのかもしれません。
実際それっぽい人はたくさんいますよね。

そういった現実を直視することこそが、今のわれわれがまずやるべき事なのかもしれません。


最後までこの長文にお付き合い頂きまして、ありがとうございました。

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