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前代未聞!!アルバム2作同時解説(ユグドラシル&シフクノオト編)

さーて、また意味のわからない企画を思い付いてしまいました。Mr.Childrenのアルバム「シフクノオト」とBUMP OF CHICKENのアルバム「ユグドラシル」を同時にレビューします。同時というのは、曲順を対応させて、なんか上手くそれっぽくまとめて、終わりです。そんなわけで、百聞は一見に如かずです。僕もどうなるか分かりません。

始める前になぜユグドラシルとシフクノオトを選んだかだけ少しだけ語ります。どちらもそれぞれのアーティストで一番好きなアルバムです。そしてなんとなく雰囲気が似てる気がします。あとどちらもカタカナ6文字です。リリースされた年代も近いです。これだけ理由があっても「同時にレビューしよう!」とはならんよね。普通ね。


始める前にひとつだけ。ユグドラシルにはアルバムの最初と最後にインスト曲が入っています(asgard、midgard)。ユグドラシルというひとつの作品を纏める表紙と裏表紙の役割を果たしている大事な曲ですが、今回は曲順には含めずにやっていこうと思います。そうすることで丁度どちらもが12曲ずつになってキリがいいので。しかも12曲ってキリいいね。12ヶ月みたいな。それではいってみよー。


01. 言わせてみてぇもんだ オンリーロンリーグローリー

基本的に二曲同時に見ていきます。なので個々の曲の解説というよりは曲の順番を見てそこから見えるアルバム全体像を紐解く、って感じですかね。やっと方向性見えてきた。

さて本編一曲目です。アルバムの頭といえばそのアルバムの名刺代わりにもなる大事な曲です。大体、一番新しいシングル曲か、その直前にアルバムリード曲が来るかのどちらかですが、シフクノオトはアルバム初出曲、ユグドラシルはシングル曲です。言わせてみてぇもんだはアク強いくせ者。オンリーロンリーグローリーは爽快感マックスのアルバムリード曲。あれ、早速食い違ってるやん



02. PADDLE 乗車権

食い違ってると思ったんですが、2曲目できれいに帳尻が合いました。PADDLEは爽快感マックスのアルバムリード曲。乗車権はアクの強いくせ者。さっきと真逆。こう見るとなるほどと思えます。アルバムの入りは勝負曲をドドンと持ってくるのではなく、バンプ色ミスチル色の強いリード曲と、バンプ色ミスチル色がかなり濃い目に出たアルバム曲を持ってくる。ジャブですね。牽制球ですね。ここまでかなりアルバムの雰囲気似てます。



03. 掌 ギルド

さてさてここから本気の曲が立て続けに出てきますよ~最初は人生を考えさせられるような力強い曲。

掌に刻まれた 歪な曲線 (掌)
人間という仕事を 与えられてどれくらいだ (ギルド)

最初の歌いだしに、生きることの象徴を提示して、生きる辛さ、難しさを語る。二番のサビはどちらも痛烈な嘆きが入る。

夢見てるから儚くて 探すから見つからなくて 欲しがるから手に入んなくて 途方に暮れる (掌)
美しくなんかなくて 優しくも出来なくて それでも呼吸が続くことは 許されるだろうか (ギルド)

ラスサビでは、桜井和寿、藤原基央それぞれの視点で「愛」へのやるせなさを説き、ずっしりとした雰囲気で進む曲の終盤に更に厚みを加える。

キスしながら唾を吐いて 舐めるつもりが噛みついて 着せたつもりが引き裂いて また愛求める (掌)
愛されたくて吠えて 愛されることに怯えて 逃げ込んだ檻その隙間から 引きずり出してやる (ギルド)

最後の最後には救いの言葉を残すが、しっかりと余韻を漂わせて締める。名曲揃いのバンプとミスチルにおいて、この2曲は一際存在感を放っているといえるでしょう。掌とギルドがあるだけでシフクノオトとユグドラシルは神アルバム確定です。



04. くるみ embrace

さっきが痛烈なロックだとしたらこちらは胸が締め付けられるほどの繊細なバラード。ただただ「好きな人」「大切な人」への歌というラブソングの範疇をこえて、壮大なテーマに向かって書かれた珠玉のバラード。

ねぇくるみ この街の景色は君の目にどう映るの  (くるみ)
隠れてないで出てこいよ この部屋は大丈夫 (embrace)

歌いだしは誰かに問いかけるような言葉から入り、その後も歌い手から見た「あなた」への気持ちが綴られる。本アルバム屈指の超大作といえよう。掌→くるみ、ギルド→embraceという最強のリレーによりアルバムが格段に引き立った。最高のスタートダッシュを切った。


05. 花言葉 sailing day

こちらも真逆のテイストの曲が並んでしまった。花言葉はその題名から分かるようにほのぼのとしたメロディーの失恋ソング。sailing dayは知名度もかなり高いロックチューン。この位置にこの曲が来ることで、Mr.Childrenとして、BUMP OF CHICKENとしてどのような曲で勝負したいか、どんな曲が結局のところ得意なのか、みたいなものを誇示しているのだと思う。アルバム前半部分の〆であり、立て続けにボリューミーな曲が続いたあとに、アルバム全体をまた整える役割を担っている。



06. Pink~奇妙な夢 同じドアをくぐれたら

アルバム全体を整えたあとに待ち構えるは、ガッチガチの摩訶不思議ワールド。ざっくりいえば、どちらも不気味な曲。でも、僅かな光明も差し込んでいる。混沌としてるんだけど、聴いててくどく感じない。ミスチルとバンプはこういう不思議な世界観を作り上げる塩梅が本当に上手い。上手すぎる。



07. 血の管 車輪の唄

はい。またミスマッチな組み合わせ来たよ。血の管は聴いてるこっちが体調悪くなりそうなほどにダーク。国歌をイメージして作られたらしい。めっちゃダーク。対して車輪の唄はこれ以上ないキラキラ青春ソング。今までのバンプのイメージとは違いカントリー調なので一際明るいイメージが付きやすい。本アルバムの重要な核となっている。おい、本当に帳尻合うんだろうな。そもそも帳尻ってなんなのか分からなくなってきた。



08. 空風の帰り道 スノースマイル

いいバラードだよね。ほんといいバラード。うん。泣ける。空風の帰り道はもちろん、スノースマイルにも「道」という描写が出てくるのもいい。シフクノオトという道も、ユグドラシルという道も、少しずつ終わりが見えてくる頃合いかな。



09. Any レム

はい帳尻合いました。見事に合いました。ありがとうございます。Anyはミスチル史上稀に見るほどの歌詞の明るさと無責任さを持っている。本アルバムの核ですね。対してレムはめっちゃダーク。メロディーもダークなら歌詞もダーク。ミスチルのダークがひたすら殴られる感じのダークなら、バンプのダークはひたすら遅効性の毒が入った食べ物を体内に取り込んでいる感じ。グサグサ差されるかじんわり痛め付けられるか。血の管やレムといったダークダークしい曲がアルバムの中心に入ることでAnyや車輪の唄といった明るめの曲が映える。アルバムはこういう楽しみ方が出来るのがいい。



10. 天頂バス fire sign

さあああいよいよ大詰め。終盤。クライマックス。ポストシーズン。書き入れ時。今年も残り3ヶ月。この大事な曲順に待ち構えるは、シフクノオトとユグドラシルが満を持して送り出す最高のアルバムリード曲。やばいね。遂に桜井さんと藤原さんが本気出してきたよ。こりゃどの曲も勝てません。しかもこれがアルバム曲なんだから。シングルじゃないんだから。ここまでオシャレで気品のある流れだったけど、一気にまた厚みが増した。いよいよアルバムのフィナーレへと向かっていく。


11. タガタメ 太陽

セミファイナル。最後だからって大盤振る舞いです。また桜井藤原両選手が本気出してきた。どちらの曲も非常に「考えさせられる歌詞」なんですが、その考えさせられ方が全く違うんです。

子供らを被害者に 加害者にもせずに この街で暮らすため まず何をすべきだろう (タガタメ)

おい。めちゃくちゃ大事なこと言ってる。こんなん考えさせらないわけない。こんな真っ直ぐなメッセージ、ミスチルしか歌えないね。

暖かくて寒気がした (太陽)

おい。何いってんだ。こんなん考えさせられないわけない。だって何言ってるかわからんもん。日本語分かります?と藤原基央に問いただしたけどすぐに藤原基央から「おまえだろ分かってないのは、ちゃんと歌詞を読み取ってみろ」と言われました。ごめんなさい。世界観が本当に深いよね。こんなフレーズ、バンプしか歌えないね。



12. HERO ロストマン

言うまでもなく、最高傑作。これまで11曲いい曲ばかりだったけど、〆を任せられるのは結局この2人しかいないんだなと。ありがとうございます。





ほら、なんだか似てるよね?自分でもビックリした。特に後半部。構成がマジそっくり。抱きしめたいとぬくもり位そっくり。

みなさんも一度、こういうアルバムの楽しみ方をしてみてはいかがでしょうか。まてまて絶対マネしないで。こんなワケワカメな文になるから。せめて同じアーティストでやろうね。

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