見出し画像

曲におけるサビの役割 ~早めに宿題を終わらすいきもの、夏休み途中から本気出すBUMP

いきなりどんなヘンテコな題名ぶら下げてんだ。てなわけで、今回は「曲の盛り上がり」と「サビの重要性」について、例によってBUMP OF CHICKENといきものがかりを取り上げながらそれぞれの良さを見ていこうと思います。


皆さんは学生時代、夏休みの宿題は早めに終わらせるタイプだったでしょうか。中盤から終盤にかけて終わらせるタイプだったでしょうか。はたまた最終日に絶望して悟りを拓くタイプでしょうか。
ちなみに僕は終盤にかけてやりぬくタイプでした。本当は早く済ませたかったけど。


で、何が言いたいのかというと、
「夏休み」を、ひとつの「曲」と捉え、夏休み最大の行事である「宿題」を曲で一番盛り上がる「サビ」に置き換えると、
いきものがかりとBUMP OF CHICKENがそれぞれ夏休みの宿題をどのように終わらせるか、要するに「サビ」を曲のどこに持ってくるのか、ということがわかる。
そして、早めにサビを済ませると最後までサビを取っておくのと、どっちが良いのか悪いのかも見えてくるのだ。


まずは早速いきものがかりの曲を見てみましょう。


公式音源から。笑顔の聖恵ちゃんマジでかわいいね。
それはさておき、どれも、曲の一番最初にサビがある。ゆったりとしたテンポで始まったりしてはいますが、どれもサビのメロディからスタートしている。
挙げた曲以外にも、「SAKURA」「ありがとう」「夏空グラフィティ」「花は桜 君は美し」など、サビ始まりの曲がいきものがかりの有名曲でもかなり多くある。
元々いきものがかりは、路上ライブから活動をスタートさせたグループ。リーダーの水野良樹さんが、このようなことを語っていました。

通行人の注目を引かせるには、曲の歌い出し、要するにボーカル吉岡聖恵が初めて声を出す瞬間が大事です。そこにサビを持ってくることによって、客を引き寄せる。そして今までいた客を掴んで離さない。

所々違うところはありますが、ニュアンスとしてはこんなとこ。
特に「花は桜 君は美し」はその路上ライブ時代から存在する曲。結成当初の曲から、今年の曲「WE DO」まで、そのいきものがかりイズムがずっと伝わっている。稀代のJポップメーカー・水野良樹の並々ならぬ工夫と努力により、いきものがかりの曲は路上のお客さんを、そしてテレビやイヤホンを通して聴くリスナー達の心を掴んで離さない。

しかし、この曲の作り方には一方で欠点も見えてくる。いきなりサビから始まることでスタートダッシュは完璧だが、そこでエネルギーを使う分、中盤にかけてだれてくることがある。
特に、2番が終わるときには、サビのメロディだけで3回も聴くことになる。聴いてる側としては既に腹八分目だ。その後のCメロ、ラスサビの構成如何では胃もたれを起こしてしまいかねない。
ファンとして聴いていても、いきものがかりには、こういった事から序盤の勢いとは裏腹に徐々に尻すぼみになっていく曲がいくらか見受けられる。
夏休みで例えるなら、「初日から一週間もかからないうちに全ての宿題を終わらせたが、夏休み終盤には全く勉強をしていなかったので休み明けのテストでは残念な結果になってしまう」タイプ。Jポップ界の優等生であるいきものがかりだからこそ陥りがちなサイクルだ。
もちろん、宿題を早く済ませているという点を見れば凄いことだし、いきものがかりとしてもその強みだけしっかり押し出しているので何ら問題はない。てか上から目線過ぎるな。いきものがかりの皆さんすいません。


対してBUMP OF CHICKENはどうだろう。

https://youtu.be/MVVQynaCOYg

例によって最近の曲多め。あと魔法の料理の動画が開けないのは何でだろう。各自で是非聞いてください。めっちゃ良い曲だから

さてBUMP OF CHICKENのサビはどこにあるだろう。一見すると普通だ。前奏の有無はあれど、AメロBメロがあってサビがあって、二番があって、、と、何の変哲もない曲たち。セオリー通りの位置にサビがある。

しかし、一番のサビの"盛り上がり"に注目してほしい。ゆったりとした雰囲気で始まり、その流れのままサビへ。ボーカル藤原基央の声と奏でるアコースティックギター以外に音がない。あったとしてもドラムやストリングスが藤原を引き立てる程度の、最低限の音。
要するに、上に挙げた曲で一番盛り上がるのは「サビ」ではない、「二番」。言うなれば「二番のサビ」だ。
一番は、曲全体の物語として見たときにただの序章に過ぎない。本当に注目してほしいのは二番から。そして二番のサビで藤原以外の楽器も本気を出してくる。その新鮮な勢いのままCメロや大サビになだれ込んでいく。
このような構成の曲は他にも、「ロストマン」「花の名」「スノースマイル」などたくさんある。そしてどれもBUMP OF CHICKENを代表する曲。


要するに、いきものがかりの曲たちとは真逆の構成なのだ。
頭にサビが来ないことでスタートダッシュという面では上手くいっていない。何なら一番のサビだけでは盛り上がりに欠けているのでこの段階では全く腹は満たされない。もし路上ライブでこれらを演奏していたらみんな飽きて帰ってしまう。
しかし二番から徐々にボルテージが高まっていき、曲が終わる頃には、十分な満足感を得ることができる。

早めに宿題を終わらせたのがいきものがかりだとしたら、BUMP OF CHICKENは宿題をギリギリまで取っておくタイプ。それも、ダラダラ過ごした挙げ句焦って取り掛かっているのではない。あえて宿題を残している。そして夏休みが終わるまでにキッチリ終わらせてみせる。そういったある意味でのズル賢さがBUMPにはあるのだ。



皆さんは、夏休みの宿題は早めに終わらせるタイプだったでしょうか。中盤から終盤にかけて終わらせるタイプだったでしょうか。

そのどちらにもそれぞれの良さがあります。いきものがかりのように早く済ませるのが好きな人もいれば、BUMP OF CHICKENのようにギリギリまで取っておいた方が逆に燃える人がいます。サビについても、大体同じことが言えるのです。
それぞれの「サビの良さ」を噛みしめながら音楽と触れあってみるのもまた一興ではないでしょうか。


でも、どちらにせよしっかり宿題は終わらせようね。僕みたいにサボり癖がつくとヘタレ根性としてずっと人生に付きまとうから。。。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?