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ネコの風邪

お医者で点鼻点眼薬をもらってきた翌日。なんだか目やにも少なくていい感じ、と思っていたら、その翌日はくしゃみをしはじめたおでこ。お医者さんに聞かれた時はまだ、くしゃみなんてしてなかったのに、なんと連続で4回もくしゃみをしてる。

むむ。これは完全に猫風邪では?おでこ、風邪をひくの巻きだ。

今がちょうど生後2カ月くらい、と想定されるチビ達。お母さんからの免疫がきれるのが生まれて2カ月くらいなので、その時期ではある。お母さんの分身として守られていた自分からちょっと変化して、新しい世界に遭遇、病気にかかり始める頃だ。鼻の周りがすぐに汚れるので頻繁に掃除する。食欲はあるけれど、いまひとつ食いつきがよくない。鼻が利いていないのかも。鼻水しゅんしゅんしてるのを自分に当てはめて考えてみれば、食欲は自然と落ちるし、それは当然だ。と思っていても、そうは割り切れないのだけど。

おひげはミルクが嫌いだけど、おでこはそうでもなかったので、目先を変えてみようと濃い目に溶いたミルクをやってみたら、すごい勢いで舐め始めた。おでこはミルクが好きみたいだ。

風邪っぴきのおでこ。少ない量でも栄養を、と思い、ごはんにミルクを混ぜて与えてみたら、思ったよりもよく食べる。ペーストみたいにしたミルクだけの方がよりおいしいみたいで、いちおう、おなかは空いているらしいことは確認できた。でも口の近くまで持っていかないと自分からは食べようとしない。仕方がないなーとごはんの様子を見ていたら、なんと、さっきごはんを食べ終えたばかりのおひげが寄ってきて、同じごはんを食べ始めた。

あれ、あんた、これ食べるの?ミルク入りなのに?

おひげ、ウソみたいな勢いでおでこのお皿を舐めている。ミルクだけをスプーンでやっても舐める。2匹は一緒のごはんを食べたがるのだけど、ミルク入りだとおでこしか食べないからずっとミルクは放置だったのに、もう嫌じゃないみたい。

病気のおでこに合わせているのか、大きくなって好みが変わったのか。理由は分からないけれど、昨日まで好きだったものが嫌いになり、昨日は見向きもしなかったものを食べたがるのは、人でもよくある。これってチビッコに共通する特徴なんだな、と知る。大人ならば、ある程度の時間や経験を重ねて進んでいく好みの変化だって、子どもにはマッハの出来事なのだ。時空を越えて一気にワープ。朝令暮改こそが、成長してる彼らのリアルなんだね。

大人になった私が、マッハの朝令暮改をさらりと受け取るには、アタマの柔らかさや固執しすぎない柔軟さが必須だ。小さい頃のコロコロ変わる希望や態度はオトナのそれとは違うもの。そう感じられるかどうかが、成長過程に寄りそう時は大事なんだろうな。

まだ鼻水で鼻がカペカペなおでこ。お湯に浸した布で拭いて、点薬するのをものすごく嫌がる。心なしか、私への態度も変わった気がする。それで嫌われたくないなーとか、好かれたいなーと思っている自分を感じて、幾重にもショック。まだまだ人間が小さいな、私ww

ミルク入りならごはんも食べることは分かったけれど、でも鼻水は出てるし、少しくたっとしているように見える。ただ寝てるだけかもしれないのに『もしかして鼻が利かないのか?』と心配だし、おひげだけが起きて遊んでいると、ちゃんと息できてるかな、と思い、でも風邪ひいてるんだから、ひたすら寝て治すのは当たり前じゃん、と思い、右往左往しては挙句に家族に呆れられ。でもさー、仔猫ってほんとに小さいのよ。小さすぎてわからんのよ、どうなってるか。うっとおしいかもしれないけど、はじめての猫風邪なんだから、少しくらい右往左往させてーなーと思う。小さいって、ただそれだけでハイリスクなのは見ていてもよく分かるわけだし。

そんな中、夜になって膝の上で寝ていたおでこが、のろのろと肩まで上がってきた。いつもなら運動会の準備運動が始まる頃だ。

肩に乗っかって、べローンと伸びて寝始めたおでこ。こんなの初めてだ。これまでしたことなかった。フカフカいう鼻息が耳のそばで聞こえて、あったかくてかわいいんだけど、あまりにだらんと伸びているので、もしかして息ができなくて普通には寝られなくなってるのか、縦姿勢でないと鼻が詰まるのかも!と思いつく。

え?大丈夫?鼻がつまって息が苦しいとか、そういうことじゃないの?

肩の上にいるから自分じゃ見えないし、もう夜だし、寝る前になってまたもや右往左往するハメに。べったり張り付いて寝てるのに動かすのもかわいそうなので、通りすがった母にみてもらったのだけど、見た目はのんきな様子らしい。弱ってる感じはないよ、とのこと。眠いから寝るねーと、さっさと寝てしまった。こういう時、母は本当にあっさりしていて、自分が過保護なのかなとも思うのだけれど、彼女は鼻水にも気がついてなかったし、自分で按配を確かめながらやるしかない。

大丈夫かなあ、と思っていたら、しばらくしてムックリ起き上がり、おひげと運動会を始めた。午後はほとんど寝ていたから、半日ぶりの運動会だ。プロレスもやってるし、けっこう激しい・・・よかった、大丈夫だ。

とは言え、走りながらくしゃみをしているし、鼻水がヒゲについたりもする。間違いなく猫風邪。でも、2匹ともエンジン全開で走り回っていて、止む気配がない。熱が出ても元気に遊ぶ子はたくさんいるけれど、猫も同じ。余分なものを発散しているんだろう。動きたいうちは動けばいい。そろそろ寝たい頃だけど、もうしばらく付き合うことにする。寝て治す養生も大事だけど、辛かったら動かない。体には動きたい理由があるんだろう。

今ぐらいの状態で入院することはないけれど、もしも病院にいたら、走ったりはできないんだな、と思った。ケージの中でじっとしてるだけ。それがいいのか悪いのかは分からないけれど、たぶん、体は今とは違う手順で治すことを考えるのだろう。こんなに小さい体だもの、薬だっておいそれと飲ませたくないし、こっちが気が付くまでに不調になってることだって多々あるだろうから、病気にならないというよりは、体の感じたことをそのまま行動にできる敏感さが重要なんだろうな。

たかが風邪、されど風邪。なんとか今日もごはんを食べて、寝て遊んで排泄して元気な感じで夜になった。毎日がジェットコースター気分の、仔猫預かり15日目。

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