今回も夏コミ合わせでフェアリーヘアリーシチュエーションの新譜を作りました。但し、今回は今までと違ってかなり実験的意味合いの強いものになっています。

今までシングルは1,000円前後というのが常識でしたが、大人の事情が複雑に絡むメジャーでもあるまいし、インディーズはもっと自由に値付けしてもいいのではないか？とかねがね思っていました。それがインディーズならではの醍醐味ではないか、と。そこで幾ら位が適正かを考えていたのですが、業種は違いますが飲食店などで「原価率は30%に抑えるのがよい」という話をよく聞くので、それを基準に価格設定を考えてみました。

ちなみに今回の制作費ですが、
・レコーディング代…14万円
・マスタリング代…4万5千円
・デザイン代…3万円
・プレス代…6万円
・雑費…1万円
の計28万5千円となります。

この金額が多いか少ないかは意見が分かれると思いますが、ドラムを生で録ってミックスまでしてもらい、マスタリングをコロムビアのチーフマスタリングエンジニアにお願いしていることを考慮すると、かなりリーズナブルな金額だと思います。同業者のみなさんには分かってもらえると思いますが。

この金額にはもちろん自分も含めてメンバーへのギャラは一切含まれていません。純粋に必要な経費、いわゆる直接費だけです。これにさらにコミケやM3の参加費、運搬費などが発生するため、製造原価を約30万円として計算すると目標売上は100万円となります。
今までの売上枚数が1タイトルあたり平均100枚前後であることから100枚限定生産とすると、頒布価格は1万円となります。

ただ、そのままいつものCDのパッケージで1万円というのも何か申し訳ない気がしたので、今回初のエムカードを導入して96k/24bitのハイレゾ音源での提供を思いつきました。もともとfhsはレコーディングもミックスも96k/24bitでやっていて、マスタリングで44.1k/16bitにダウンコンバートしているので、むしろマスタリングまで96k/24bitで行ってしまうのは自然な流れかなと思います。
エムカードはテレカと同じサイズのカードでCDよりもありがたみは薄いのですが、近年絶滅の危機にあるディスクドライブが必要なく、わざわざPCを使ってリッピングしなくてもスマホなどで直接ダウンロードできるというメリットがあります。

路線的にもスペシャル感を出すために今までの暗めな路線を一時的に中断して、ボーカルの北澤さんのイメージを全面に押し出したアイドル歌謡系ニューウェーブにしてみました。ずばり夏向きのアイドルソングです！遊び心満載ではありますが、ちゃんとfhsサウンドになっているのでご安心ください。
BGM、テクノデリックの後に聖子ちゃんの「天国のキッス」を作ってしまった細野さんみたいな感じです。アイドルソングということで久々に自分で作詞もしてみました。一部のコアなファンに向けて（笑）。

相場の10倍という一見ぼったくりみたいな値段ですが、ある意味クラウドファンディングを仲介会社を通さずにやっているようなものとして理解してもらえば幸いです。今まで二度ほどクラウドファンディングに挑戦して成功はしましたが、会社に手数料を20%取られ、リターンを考えたり、諸々準備する手間と費用が結構かかり、正直そんなにメリットを感じられませんでした。
具体的に言うと50万円のクラウドファンディングに成功しても手元に残る制作費は20万円強といったところで、それなら本業を頑張って制作費を捻出した方が…なんて気持ちになったので、その打開策として考え出したのが今回の無謀とも言える価格設定でした。

今回はあくまでもテストですので、もしかしたら今後こういうリリースの形を継続していくかもしれませんし、今回限りでやめてしまうかもしれません。あるいは何かネタを思いついた時にまた突発的にやるかもしれません。本当は今までと同じような路線、内容とパッケージで価格だけ変えた方が実験としては正しいのですが、そこまでの勇気はなかったので、散々悩んだ挙句企画物としてのリリースという形に落ち着きました。
なお、便乗値上げはしませんので、今までリリースしたCDは今まで通りの価格で頒布を継続します。

ちなみに今回のリリースの特殊性を鑑みて店舗での全国流通は行わず、全て即売会やライブでの手売りだけの頒布にしたいと思います。枚数も完全に100枚限定です。配信も追加プレスも行いません。もしかしたらYouTubeでサビのクロスフェード程度の宣伝動画を流すことはあるかもしれませんが、今までのようにフルサイズで聴けるような動画は作りません。興味のある方はぜひコミケ、M3、音けっとなどに足を運んでお求めください。

でも、きっとそんなに売れないでしょうね…。

追記：せっかくなんで最後にフェアリーヘアリーシチュエーションのYouTubeの再生リストへのリンクを貼っておきます。今回の新曲の映像はありませんが、普段はこんな感じの音楽をやっています。自分で言うのもなんですが、ライブは打ち込み系にありがちなCDそのままではなく、ちゃんとライッブ向けにアレンジした上に生で演奏もしていて結構いいと思います。