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ボケクエ4・長文回答と名前の話

ボケクエ4というネット大喜利の大会に参加して予選最後のお題だけ普段1つしか浮かばない回答が2通り浮かんでしまい、かなり迷ったので記録しておこうと思う。どちらにしてもそこまで面白くないから自意識過剰だよという指摘はここに書くことで処理済とさせてほしい。

長文回答について

長文回答ってボケクエくらいでしか見ない気がする。

一般的に採点が面倒と言われることもあるけど自分は普通に読むし面倒ではないので話者の主観と処理できはするけど、やっぱり短文回答多いとは思う。

「ボケ」の定義は「間違っていること」と昔誰かが言っていたのがいまだに自分の中に残ってしまっている。固定観念でよくないとは思うのだが、それがある人間がどう考えているかというと

・大喜利=短文という期待を裏切れていればその時点でボケじゃないという指摘をクリア(5%)
・長い文章でしか伝えられない面白さがある、はず(10%)
・普通のやつみんなやるし勝てないしみんなも珍しいもの見たいよね(5000ポイント)
・むっちゃ潜って掴めたものを表現したらなんか長文と呼ばれるものになってしまった(本当)

他にもあるかもしれないけどこんな感じです。

実際投稿したやつ

長い これはギミックのやつ。

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一番最初に考えていた時は、みんな登場人物に何か言わせたり個々のアイテムに注目したりするけど全部の解説をするのはあまり見たことないなあとか、教室で教授がむちゃくちゃ変な解説してみんな一瞬信じそうになる、みたいな画が浮かんでいたことを思い出した。

自分はあまり何かを面白いと思うことはない人間なのだが、しれっとそれらしい嘘をつくというかむちゃくちゃ真面目かつ高度なことを馬鹿らしいことに行なっているのはちょっと面白いと思っていて、(いま考えるとこれすらも枠やシステムでしか面白を捉えていないのかもしれないが、面白に貴賎なしの気持ちで立ち向かいたい)手法は正しいのにむちゃくちゃ間違ったところに行ってるけど一見ちゃんとして見える、みたいなものも同時に詰め込んだ。BBCのアナウンサーが全く無意味に木を爆破してるところ真面目に解説してたら面白くないかと思ったが、モンティパイソンにかぶれすぎている気もする。例えば目の前で恋人が裸になっているのに部屋の温度差による鳥肌とかを観察している男性、みたいなことをやろうと思った。
下世話な例えが出てきて申し訳ないけど、このシステムの性質として極端な上+極端な下を突き詰めると下ネタはかなりわかりやすいので選択肢リストの上になってしまう。自分は普段性的なものを扱うことをあまりやってはいけないことリストに入れているので、今回使ってしまったことは少し後悔に加速度を与えている。でも頑張ったしこの回答はこれでもちろん好き。


回答で本当のこと3つ:

①ほんとに黄金比
黄金比って書いたら黄金比だった、正直どっちでも関係はない

(4/20追記: ハシリドコロさんが白い枠の話をしていて、枠入れなかったら黄金比率じゃなくなりました)

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②作者はほんとにMarina BH(Marina Braovic Hajdarovic)

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③ほんとの参考文献

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小松はソシュール研究の人、あとの2つはキリスト教表象の論文を適当に見てオマージュ

4/20追記: 文献3つにすればよかった、4つは多い

回答の嘘2.5個:

参考文献British Vogue Art Edition は嘘なのでライターはJane Smithにした。作者の国籍と恋人云々も嘘。勝手にドイツバックボーンのバイセクシュアルにしてごめんね。嘘じゃないけどsignifieは本当はsignifié、投稿すると文字化けしてしまった。

投稿しなかった長文回答

さて、自分は上記のギミックの方を選んでしまって魂を(より)込めた方を出さなかったことを少し後悔しているのだけど、こちらには「前の投稿と似ている」という難点があった。

去年は紺野パジャ美としてSF活劇の冒頭を書いた。(一番最後に載せました)これは単純に思いついたからで、後付けで小説一本乗ってたら面白かろうと思ったという言い訳を用意している。このあとこれが受けて嬉しくて途中で自分で〜すとバラした(今年もやってクソダサ)が3試合目でコピペミスして大惨事になった。ジェネラルさんにはいつでも土下座をできます。

今回2試合目はマリオが皮膚科に行く話を書いた。これはマリオ自身がおかしかったら面白かろうと思った。

そして3試合目で最初に思いついたのがこれだった。

街灯はあの初夏を、彼女が初めて自分に触れた時のぬくもり、川辺からの風、雲間から差す日差しのことを思い出していた。

彼女は土曜の朝に川辺を走るマラソングループの一員だった。
いつの頃からか彼女はそのグループに加わり、いつの頃からか元気を失っていった。そしてある朝、彼女はグループを離れ、汗ばんだ手で街灯に触れたのだった。

街灯は初めて彼女を間近で見た。上気した頬に荒い呼吸、少し乱れた髪。いつもどこか不安げな色を帯びていた瞳は、今日は一段と光を失って見えた。年齢は20代後半だろうか。軽く日焼けした胸元へ汗が伝い落ちて、濃い染みを作っていた。

構成員が1人抜けたランナー集団は、何事もなかったかのようにそのままのスピードで走り去っていった。脱落者に対する無関心をことさら強調することで自分たちの優越を確かめているようにも見え、街灯は少しの醜悪さを感じた。しかしそれはランナーに限らず犬の散歩グループや登下校など、この辺りの集団であればたまに見られるものだったので、街灯はまたか、とも思った。

息が落ち着いてきた彼女は走り去るチームメイトをちらと見やり、また下を向き、一つ呼吸をして小さな声で「やめよっかな」と言った。それはなんだかグループより大きな何かを示唆している気がして、街灯は少し驚いたと同時にほっとした。彼女はずっと、この土地の生活に合っていないように見えていたから。

あえてロゴを見づらいところに置いた、しかし一目で質の良いものとわかるウエア。流行する前のスニーカー。いつも手入れされた髪、肌、歯。気の利いた会話、相手の職業や住まいを積極的に聞かずとも推し量り、得られた推理を踏まえた適切な距離感、洗練され都会的な笑顔…ここで暮らすグループの構成員として必要なそれら全てを、彼女は最初から持っていなかった。彼女は絶望的に気が利かず、絶望的に大声で笑い、絶望的に田舎の女だった。そして街灯は彼女のそういう、道端から咲くねじれた向日葵のようなところを愛らしいと思っていた。

ぬ、と街灯に置かれた彼女の手が汗で滑った。彼女はやっと手を離し、一瞬「ここに座ったら変な風に見られないかしら?」の目をしてからその場に座った。昨日の雨のせいか少しまだ土の香りのする風が吹き込んできて、彼女は少し震えて空を見て、また川面に目を戻した。街灯も、彼女の汗がついた部分がすうっとするのを感じていた。

それだけだった。彼女は少し川を見てから立ち上がり、来た方向に戻っていき、以来姿を見せなくなった。ランナーたちは何事もなかった、むしろあるべき姿に戻ったかのようにすまして、洗練された走りを洗練された仲間たちと続けていた。

街灯はずっとずっと前、まだ人類が存在していた頃を思い出していた。
目の前には白い灰が積もっている。風が吹き灰が舞い上がると、川向こうは見渡す限り濁った水で覆われている。雲は分厚く、雨は黒い。

長い年月の中で人や、機械や、炎が街灯の目の前を過ぎていった。
人や動物は死に絶えたのか地下に潜ったのか他の星を目指したのか、いずれにせよ久しく姿を見ていなかった。

いつの頃からか、街灯は今まで見た風景を再生しては味わいを繰り返しながら、白灰の世界で佇むようになった。後にも先にも、人間の熱と水分を感じたのはあの瞬間だけだった。ぬる、とした手の感触を何度も反芻しながら、あの後彼女はどんな川べりを走ったのか、笑った顔はどんな感じなのか、老いた彼女に会ったらわかるだろうか、ととりとめもない考えを巡らせていた。彼女の子供も、あの熱くて湿った手を継いだだろうか?子供が自分を触ってくれたら、またあの風は吹くだろうか?

ある時からあたりに生物のようなものが現れ始めた。ふよふよと触れてくるそれらの触手は、いつか暖かい日に感じた綿毛を思い出させてくれ、すこしの気晴らしにはなった。

 街灯は朽ちかけていた。
たまに見える星空は唯一変わらないもので、もう何万何億回と見た星を今日も美しいと思いながら、街灯は今まで思い出すこともなかった、彼女の左腕についていたデバイスがまざまざと眼前に蘇ってくるのを感じていた。


ーーーあれ測るやつとかじゃなくて でっかい腕時計だったなーーー 


街灯は崩れ落ち、周りにいた柔らかい生物たちが悼むかのようにゆっくりと集まってきた。白い灰が全てに降り積もった。

自分はその人の考えていることやものの見方が少し垣間見られる回答が好きで、これは少しそれに近づけたかもねと思っている。あと

・共感を得られたら嬉しい要素

・最後にオチを用意できた

というのは評価できたのだが、なぜかネット大喜利は新しくなければならないという呪縛があり、前回・去年ともに「小説っぽい」という点で一緒だったから日和ってしまった。システム的には同じになっちゃうのよね〜 あと腕の黒いやつ誰かいじると思った

ただこれについてなんでこうやって騒いでいるかというと個人的に抱えている大喜利の根本的な問題も関係しているようでビェ〜〜となってるというのがある。自分はずっと何が面白いと評価されてされないかがかなりよくわかっていなくて、まあそんなんわかってる人いたら今頃その人に全て作り出されたことで面白は絶滅してるのかもしれないけど、それをまあまあ気にしている。とりあえずがんばって海中から取ってきたものをお出しして選んでいただき初めてへ〜そういう反応になるのかみたいなことを繰り返しており、過去にもポストした。2題目までは1つの回答しか出なかったからよかったけど今回は2個出てしまったため大変困り、自分では判断がつかないので相談したかったが個人登録のためチームCGIが機能していなかった。というわけで「自分が心を込めたか」の基準よりも周りの評価を気にして出してしまったのが残念ポイントだったが、まあどちらにも心を込めているので総じて良かったと思う。

あとは匿名で参加していたのだけが少し引っかかっている。

名前の話

自分は名前を変えるのは普通に好きで、Twitterの名前を毎日変えるのを3年くらいやってたことがある。これまでの大喜利でもかなり名前を変えており、今確認したら優に10は超えていた。理由は自分でもちょっとよくわからないけど、過去の所業と回答を紐付けしたくないと少し思っている節がある。今気づいたがこれ犯罪者の思考じゃん。あとこれは胆力の問題なのだが、匿名だとかなり失敗へのプレッシャーがない、ますます噛ませ犬の思考である。そうやって生きてきた人間が面白いわけないのにな。これを続けていた所、過去の自分との分断というか、自分がやってきたことが蓄積されてる感が全くなく、段々自分が透明になってきている気がずっとしていた。今回はぴよぴという名前(厳密にはこれ以前にも使っていた)で参加したが、今後はがんばりたいなという気持ち。その反面でやっぱり誰とも関わりがなく自分の事だけを考えられる楽さもかなりあるので、いろんな大喜利がありますねと思っている。


繰り返しておきたいのは今回投稿した回答を出せてとても嬉しいしがんばって作れたので満足度はほぼ同じくらい。投票してくれた人全員にありがとうと言いながら花を贈りたいしどちらがいいかは正直わからないし、きっとこっちを出しても迷っていたと思う。みんなも没ボケについてたくさん書いていて、やっぱり迷いながら決めたんだなあと思いながら見させてもらっている。あとボケクエはそもそも大規模でかなりお祭りで、2の顔ぶれを見て漫画かよって思ってたくらいなので、主催さんありがとうの気持ちがたくさんある。こんな大会他にないからすごい。次に進んだ人々頑張ってねチームメイトありがとう、そんな一つの記事を書いたという話。


予選落ちしたからすぐ5始まってくれ〜〜〜〜

◆長文回答のアーカイブ

①ボケクエ3

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①ボケクエ4 2題目

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岩岩パニック ごろごろ