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休憩とおじさん

パートの後、用事を済ませてから幼稚園迎えに行こうと思ったら、用事がさくっと終わってしまい20分ほど余裕ができた。

家に帰ってるほどは時間がない。

お茶するにも時間が足りない。

返信してないメールがいくつかあることを思い出し、ママチャリに乗っていたわたしはとりあえず日陰で座れる場所を探した。

コンビニって気分じゃない。

結局、幼稚園の近くのベンチのある自販機コーナーへ向かった。

喫煙所ともなっているそこは誰も居なく、わたしの20分にちょうど良さそうだ。
ママチャリを降りベンチに座ると、木陰をそよぐ風が心地よい。

一応、自販機を利用せねば悪い気がして、缶コーヒーを買ってみた。
普段あまり飲まないので缶コーヒーの種類の多さにとまどいつつ、とりあえずブラック以外で一番甘くなさそうなのを選んだ。

さ、メールチェックだ。と、コーヒーをひとくち飲んでスマホを出したところで、おじさん二人組がやってきた。

近くで工事をしている、おそらくわたしくらいの娘がいそうな年代のおじさん二人組だ。

きっとタバコ休憩だろうと思い、灰皿付近のベンチをゆずるようになるべくスマートに場所を移動すると、二人組のひとりが「すまないね」 というように片手を “ごっつあんです” の形にしながら荷物を置いた。

せっかく貸切だったのになぁ、とは思ったが、背中を向けてすわるのもなんだかかんじが悪い気がして90度の位置関係で別のベンチに座りなおした。

登場から1,2分の会話で、ごっつあんですのおじさんは、なんだかずっとすべりっぱなしのギャグを言ってるような人懐っこそうな人で、もうひとりのおじさんはどんな人の話も適当に聞いてあげるようないい人そうな人だと感じた。

自販機の前で、ごっつあんですのおじさんが「やや!10円足りんわ~」と言った。
もうひとりのおじさんが「惜しいな!」と言いながら自分の小銭入れを確認して「5円2枚だったらあったわー」と言うので、つい顔を上げておじさんたちのほうを見てしまった。
思わず、10円ならありますよ、と言ってあげたくなってしまう二人だったのだがおじさんたちと目は合わなかったので、目線をスマホに戻すと「よかった!一千万あったわ!」とどこか秘密のポケットに千円札があったことを思い出した様子だった。

ごっつあんですが「一千万」なんていうから、老後に二千万いるという最近の時事ネタについての話題となりなんやかんやと言った後、現場監督への愚痴が始まった。
しばらく話した後に「監督、監督言ってると俺たち映画でも撮っとるみたいだわ」と、ごっつあんですのおじさんが言った。
「監督って言ったら野球やら。プロ野球選手だわ。」ともうひとりのおじさんが言って、ふたりして ケッケッケッ と笑った。

なんなんだ。
おじさんたちめ。わたしに聞こえていることを意識してのオモロトークなのか、あなたたちいつもそんなどうでもいいこと話してるのかどっちなんだ。

こんな微笑ましいおじさんが居ただろうかと耳を持っていかれてたもんだから、返信したかったメールは半分しかできなかった。

甘くなさそうなコーヒーは結構甘くて、かばんに入れてた水筒のお茶で口直しした。

わたしの方が先にタイムアップになり、おじさんたちのそばにある空き缶BOXへ向かった。缶を捨てにきただけですよーを “缶持ちごっつあんです” のポーズでさりげなくアピールしながら腰低めに缶を捨てると、ごっつあんですのおじさんが「あーい」と言ってくれた。

そういえば、おじさんたちはタバコを吸っていなかった。

何事も決め付けてはいけないな。

思わぬいい休憩となった。

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サミダレ

たわいない日常の中にある、くすっとすることや、ちょっといい話が好き。 書くことも好きだったような気がして、noteを書いてみています。
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