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ママチャリに詳しい人

ママチャリを停めようとしていたところ、突然ベビーカーを押している女性に話しかけられた。

「あの、すみません。自転車のことお聞きしていいですか。」

一瞬、びっくりしたが、「はい、なんでしょう」と返すと、
そろそろ、子ども乗せ自転車を買おうとお店でいろいろ見ているのだが、どんなものを買えばよいのか迷っている、とのこと。

そうか、なるほど。
でもすごいな。急に初対面の人にこんな風に聞けるとは。
わたしは、道を聞かれたり、何らかの勧誘を受けたり、そういうのはよくあるタイプだが、自転車のことを聞かれるのは初めてだった。

ベビーカーには2歳くらいの男の子が甚平を着て前のめりで乗っていた。

幼稚園のそばで声をかけられたので、幼稚園の誰かのお母さんなのかもしれないが、それはよくわからなかった。

「お店で見るとタイヤが小さなものが多くって。でもタイヤが大きいほうがたくさん進んで遠くまでいくには便利なのかなとか、でも、タイヤが大きいと困ることはありますか」 と。
かなり真剣にママチャリのタイヤサイズについて考えているようだ。

なるほど、わたしの乗っているママチャリは今多く出ている子ども乗せ自転車に比べタイヤが大きい。26インチだ。
前後に子ども乗せがついている。
26インチのママチャリに乗っていて、話しかけてもよさそうな人、それがちょうどわたしだったのだ。

自分が声をかけられた理由が分かったところで、聞かれてもいないママチャリの進化の歴史を少したどりながら説明した。

・5年生の長男が2歳になる前くらいに買ったものだから、10年近く前になるが、その頃は子ども乗せ自転車はだいたいこんなかんじだったこと。
・その頃は電動自転車が少なくて、カゴの部分が子ども乗せになっている形のものが出始めた頃だったこと。
・最近は20インチくらいのタイヤの電動自転車をよく見ていて、上り坂では普通に漕ぐだけでスイスイとあっという間にずいぶん先に進んでいくこと。
・一方わたしの26インチタイヤの人力自転車は、息子にがんばれがんばれと応援されながらなんとか坂をのぼること。
・向かい風の日には坂道をのぼれず、強い横風の日の信号待ちは両足でぐっと踏ん張らないと倒れそうになることもあること。
・タイヤはそんなに太いわけではないので、ちょくちょくパンクもすること。
・子ども乗せに16kgの息子を乗せるのに、彼のジャンプ力にも手伝ってもらいながら持ち上げ、それでも「よいしょーっ!」と気合の声は必須だということ。

途中、この人、後悔してないかなー
やばい人に聞いてしまったとおもってないかなーと、心配にはなったが、
メモをとるまではいかないものの、ふむふむと真剣に聞いてくれるので若干不安になるほどだった。

わたしの話した内容は、完全に小さめタイヤをおすすめするようなかんじになってしまっていたので、一応乗り比べてみるのが一番いいと思う、と言うことを伝えた。
といいながらも、その方の身長がわたしよりも10cmは小さい小柄な方であったことと、
ベビーカーに乗っている男の子がなかなか活発そうな男の子であったことから、小さめタイヤの方がもしかしたら乗りやすいかもしれないですね、とついやっぱり小さめタイヤをおすすめはしてしまった。

ちょっとした、ママチャリに詳しい人だ。
いや、26インチ人力子ども乗せ自転車について詳しい人、だ。
あの女性が、ぜひとも20インチ電動子ども乗せ自転車について詳しい人、にも声をかけてリサーチしてくれることを祈ろう。

会話の終わりはなんだったか忘れてしまったが、
「突然すみませんでした。ありがとうございました!」と去っていく姿は、選挙の出口調査の人のようで、あ、もうすぐ選挙もあるな、ということをわたしに思い出させた。

いやしかし、困ることばかりを言ってしまいちょっとばかりマイ自転車に申し訳ない気持ちになった。
いろいろ不便もあるけれど、あなたとわたしは共に3人の息子たちと過ごしているよき相棒だ。
あと3年くらいかな。
上り坂も、向かい風も、めげずにいっしょにがんばろう。

最後はなぜか、自転車に対する感謝を添えたメッセージ。

はっ!このパターン!
あの女性、
もしかすると、自転車の精だったのかもしれない、、、。

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ありがとうございます!
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サミダレ

たわいない日常の中にある、くすっとすることや、ちょっといい話が好き。 書くことも好きだったような気がして、noteを書いてみています。
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