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野田だな野田だな野田なのだな

放送委員会に入っている長男が、早口言葉のプリントを持って帰ってきた。

そのプリントの一つ目にはこう書かれている。
「油アルバム」×3

「アブラアルバム アブラアルバム アブラアルバム!」

、、、言えたけどっ!!

言えたけど、
“油アルバム” ってなんぞや?ということに脳みそが引っ張られるのをこらえるのにギリッギリの言葉の長さだ。

早口言葉というものは、不自然な言葉並びがとても面白い。

先生のチョイスがなかなか秀逸で、今すぐ全部噛み砕いて味わいたいほどになるが、それをやっていると夜を徹してしまいそうなので自分にキュッとブレーキをかけておく。

その早口言葉プリントには、10個の早口言葉があるが1学期の間に8個クリアしている。
惜しくもクリアできなかった2つがこちら
「野田だな野田だな野田なのだな」×3
「バナナの謎はまだ謎なのだぞ」×3
どうやら “なのだ” が苦手のようだ。
バカボン世代でもないので “なのだ” という言葉に馴染みがないことは、この早口言葉が苦手な理由と言えるかもしれない。

実際チャレンジしてもらうと、山瀬まみさんのモノマネですか、というようなかわいいグダグダ具合だ。

「野田だな野田だな野田なのだな」
あ、今、新発見した。
早口言葉は、一回書いてみると言い易くなるかも知れない。
「のだだなのだだなのだなのだな のだだなのだだなのだなのだな のだだな・・・」
ぁあーーーーーーーーー!!長いっ!!
長いゆえに、野田くんが、
小・中学校のときの同級生、野田くんがよぎりすぎる!

野田くんは、行動はおサルのように自由だったけどやさしい子だった。
当時お母さんが美容室をやっていて、わたしは野田くんのお母さんに髪を切ってもらっていた。
中学のときの野田くんは、少しやんちゃな先輩といっしょにいたり学校に来ない日もあったりしたけれど、ふいに会えばちょっと恥ずかしそうに笑いながら手を振ってくれたりした。
高校生になって電車通学をしている頃、部活帰りに駅で大きな楽器を担いでいる野田くんに会ったことがあった。
それってウッドベースってやつ?やってるの?いつから?重くない?
なんか口早に問いかけておいて答えを聞かず、野田くんが照れたように微笑んでいるのを見て、元気でよかった、と母心のような気持ちで思ったっけ。
野田くんは、あのときちょっとだけリーゼントみたいな感じだったようなきがする。高校には行っていたんだっけ。ロッケンロールをやっていたんだろうか。
わたしが一方的に知っている野田くんの印象。
ほんとうにやさしい子。
やたらとその印象が強いのは、もしかしたら、幼い頃に何か助けてもらったことがあったのかもしれない。
肝心な何かを思い出せないような気持ちになる。

「野田だな野田だな野田なのだな」
あの、やさしい照れ笑いを思い出す。
「のだだなのだだなのだなのだな のだだなのだだなのだなのだな 野田だな野田だな野田なのだな。」
3回言っているうちに、叙情的になってしまう。

ばったり野田くんに会ったら、
「野田なのだな!」 と、急に舞台の上から叫ぶように言ってしまいそうだ。
そして、野田くんに、この一連の事情を一方的に話すだろう。
それをまた、照れたように微笑んで聞いてくれるんじゃないかと勝手に思う。

早口言葉、奥深し。

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