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やっぱり気になる人口推計


地域別将来推計人口(2023)発表

国立社会保障・人口問題研究所の最新の人口推計が発表された。
人口推計とは、国の解説だと、

「将来人口推計の概要日本の将来推計人口とは、出生、死亡、国際人口移動について、実績値の動向をもとに仮定を設け、 日本全域の将来の人口規模、男女・年齢構成の推移について推計を行ったものです (対象は外国人を含む日本に3か月以上にわたって住んでいる、または住むことになっている総人口)。 複数の仮定に基づく複数の推計によって、将来の人口推移について一定幅の見通しを与えています。」

という事のよう。
今回の令和5年(2023)年推計となっているけど、予測のもとになるデータは、2020年の国勢調査。
5年ごとに行われるので、前回が平成30年(2018)年推計で、基データは、2015年の国勢調査だ。

こちらが、ひとつ前の、2018年推計

国全体の予測は、4月の時点で出ていたけど、やっぱり気になるのは、市町村別。消滅可能性自治体で暮らして、地方創生だデジタル田園都市国家構想だに絡む仕事をしていると、国なんかよりド・ローカルな情報が、断然気になるのである。
将来人口推計なので、その土地の行く末を占うパーツの一つな訳だが、5年前の予測とどう変わったか比較できるので、ある種の通信簿みたいなものでもある。

プレスリリースの見出しを見ると「 ~2050 年の 65 歳以上人口が 2020 年を下回る市区町村が全体の約 70%に~」
ん~。よくわからんが、高齢者が今より減る。というのは、わかる。少子高齢化が問題!と言われて久しいが、高齢者が減るならいいんじゃないの?と一瞬思うかもしれないが、否。もう少し、プレスリリースを読んでみる。
【推計結果のポイント】
■ 都道府県別の将来推計人口
1.11 県では 2020 年と比較して 2050 年の総人口が 30%以上減少する。2.25 道県では 2050 年に 65 歳以上人口割合が 40%を超える。
■ 市区町村別の将来推計人口
1.2050 年の総人口が 2020 年の半数未満となる市区町村は約 20%に達する。
2.2050 年には、65 歳以上人口が総人口の半数以上を占める市区町村が 30%を超える一方で、 2050 年の 65 歳以上人口が 2020 年を下回る市区町村は約 70%に達する。
3.2050 年の0~14 歳人口は 99%の市区町村で 2020 年を下回る。

何となくわかってきた。
要するに、
人口は減り続ける。30年で人口が半分になるまちが2割!!(ちなみに、あとで分かるが、わが町もこの中。)高齢者が半数以上のまちが3割!子供の人数は、ほぼすべてのまちで減る。
とまあ、子供はおろか、年寄りの数も減るけど、年寄りの割合は増えるという事。

高梁川流域連携中枢都市?

肝心の地元はどうか?高梁だけ見ててもイメージがつかみにくいので、もう少し広範囲に、高梁川という一級河川の流域で見てみよう。
なぜ、高梁川流域かというと、全国の都道府県の中で、人口はじめ、各種統計を見ても中庸な岡山県にあって、高梁川流域は、江戸以前の備中国とほぼ同じエリア。さらに中核市の中でも比較的大きい倉敷市が最下流にあって、中上流には、典型的中山間地域である新見市や高梁市や、瀬戸内の島々を抱える笠岡市や、このご時世で、人口があまり減らず、ともすると増えてる、総社市や早島町、里庄町など実にバラエティーに富んだまちが10自治体揃っているからだ。
加えて、国が進める【連携中枢都市圏】も早くから形成しているので、まとめてデータが取りやすい面もある。
因みに、連携中枢都市とは、総務省の解説によると


「人口減少・少子高齢社会にあっても、地域を活性化し経済を持続可能なものとし、国民が安心して快適な暮らしを営んでいけるようにするために、地域において、相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が近隣の市町村と連携し、~中略~ 人口減少・少子高齢社会においても一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点を形成する政策です。

ということで、経済的に繋がりのあるまち同士で協力しながら政策を進めましょう。というもので、これに関連する事業には、国からの交付税措置がある。お金の面でも、美味しい仕組みなのだ。

5年でどう変わった?

気になる5年間の変化だが、今回の推計は5年区切りで2050年まで行われているけど、前回の推計は2045年までということで、2045年で比べてみる。

2045年推計人口の比較(総人口)

赤字は、前回推計より予測が下振れしているまち。
一番下の行は、2023年推計の2020年国勢調査時を100%としたときの2045年の人口数の割合

何れも減少しているが、減少が1割弱のまちもあれば、5割近く減っているまちもある。って、地元な訳だが。。。。
そして、前回推計との差をみると、倉敷市、笠岡市、井原市、高梁市、里庄町は、2015年推計より減る一方、総社市、新見市、浅口市、早島町、矢掛町は増えている(といっても人口自体は減っている)。丁度、5市町づつ。行政的に見れば、この間、増えたところは、人口に関連する政策が上手くいき、減ったところは…
と、単純にはいかない。もちろん、政策の影響はあるだろうが、国勢調査のあった2020年10月は、そう、既にコロナ禍。さらに、最大の被害が発生した倉敷市真備町ほか、高梁川流域の市町でも被害の大きかった平成30年7月豪雨災害の影響も無視できない。
因みに、ひと足早く4月に出た日本全国の推計値では、前回推計に比べ 上振れしているが これは子供の出生率が増えたわけではなく、高齢者の寿命が延びたことと、海外からの移住者が増えたことに起因している。
そこで、もう少し細かく見てみる。

2045年推計人口の比較(0~14歳人口)
2045年推計人口の比較(15~64歳人口)
2045年推計人口の比較(65歳以上人口)

子ども(0~14歳)で見ると、何れのまちも、2020年との比率は、総人口の比率に比べ減少傾向が強くなっている。総社市は、総人口の推計値については、前回推計より2045年の総人口が上振れしていたが、子どもの数については下振れしている。
一方で、高梁市の様に40%を割り込むまちも発生。
また、いわゆる生産年齢人口(15~64歳)も、2020年との比率は、総人口の比率に比べ減少傾向が強くなっている。
一方、高齢者(65歳以上)は、前回推計より上振れしているところが多く、倉敷市、総社市、早島町については、人数自体も2020年より多くなっている。

比較的人口が安定していて、近年でも増加する年もあった総社市、早島町、里庄町。
総社市、早島町が、隣接する政令市の岡山市、中核市の倉敷市のベッドタウン。
里庄町は、隣接する笠岡市、近隣の中核市である福山市のベッドタウンとしてのイメージが従来からあった。
一方で、前回推計より改善傾向が見られる新見市、浅口市、矢掛町。
浅口市については、都市政策の変更で、一部で宅地開発が進んだ影響が大きいと思うが、新見市、矢掛町については、失礼ながら以外だと感じた。
新見市は、新見公立大学の学科改変などで学生数が増えているようなので、その影響かもしれない。逆に減少に歯止めのかからない高梁市は、市内の吉備国際大学の学生数の減少や、留学生や技能実習生により、県内で最も比率の高い外国人が、コロナ禍で来日できなかった影響なども出ているのかもしれない。
もう少し分析してみる必要がありそうだ。

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