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教習所ラブは本当にあった。恋のギアチェンジ編

白井サモエドです。

前回の投稿『教習所ラブは本当にあった。出会い編』を投稿したら周囲の人からなんか憐れまれたりしてるけど、人の幸福を喜べない人生の方が憐れでないだろうか?「ありがとう」「おめでとう」という心の機微を素直に表に出せる人生の方が実りある豊かなものになると僕は思う。

仮免許まで二ヶ月近くかかっていたのに、第二段階に入ってからはスイスイと進み、残すは「複数教習」3回と「単独教習」2回、そして卒業検定のみになった。
受付の職員から「白井さん毎日来てますね。ウケルw」と笑われるくらいには熱心だったと思う。早く卒業したいんだよ。

膝叩きの君(ひざたたきのきみ)との出会いは僕の教習所人生を変えた。
不細工なプリウスは僕にニッコリと微笑むし、偏屈で嫌なジジイだと思ってた上田教官も、コッチがちゃんと基本を守った運転をすると褒めてくれる。世界はこんなにも美しい。

次の科目は「危険予測のシュミレーター」とその座学。シュミレーターはゲームセンターのレースゲームの筐体みたいなモノで、CGを通じて運転しながら、運転中に潜む危険を予知し体験できる。CGなので、名作クレイジータクシーみたいにワザと事故っても飛び出した老人を轢いてもお咎めなし。教習は真面目に受けるがゲームみたいで好き。中学生の時、駒林と一緒に遊んだことを思い出す。

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その日は昼過ぎから雨が降るというので、少し早く教習所に行った。フロアの椅子に座り、ipad(¥112,100)を無造作に鞄から引き抜く。やるのはご存知アイドルマスターシャイニーカラーズ。出来る大人の男はipad(¥112,100)で遊ぶ。貧乏な若者達の羨望の眼差しを感じる。

「危険予測の人~」と教官に呼ばれ、画面の月岡恋鐘に別れを告げて教官の元に歩みよる。愛してるよ。
既に生徒2名(♀)が集まっていた。一人は茶髪の女の子。もう一人、あの後姿は…。

膝叩きの君だ。

「複数教習」は教習所が予定を組むので、当日まで誰と一緒に受けるのか解らない。だが恋する乙女の意識は事象を捻じ曲げるのだろう。彼女と僕はまた相まみえた。

膝叩きは僕を見つけるとニコリと微笑んで手を振る。

「今日も一緒ですね」

ずっと一緒に居たいんだろ?

そんな言葉が漏れ出そうになるが、僕の上の口は堅い。まぁお腹をよく壊して下の口は緩いんだけどね。…この情報いる?

堅い僕の口は「ぁ、よ、よろしく(^^)」という言葉だけ紡いだ。

非モテ特有の反応wwwと笑う君は解っていない。
言葉は発した数に比例してその重さを失うのだ。モテる男は多くを語らず、必要な時に必要なことを言う。浴びるほどモテたかった高校時代に読んだ『CHOKiCHOKi』にもそんなこと書いてたし。

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話は戻り、膝叩き・茶髪ちゃん・僕の3人はカルガモの子供の様に教官の後に付いてシュミレーター室へ入った。乗る順番をジャンケンで決めると膝→茶髪→僕という順に。

膝の運転は散々だった。
「ヤバイヤバイ」と言いながら老人を轢いたり、「こわい~!」と言いながら加速しながらカーブに入ったりしていた。この子免許取ってイイのか…?
教官も「ダイナミックな運転ですね」と笑っている。ええのんか?

運転後、録画を見ながら全員で運転中に潜む危険を話し合い、ソレが終わったら次の人へ。茶髪ちゃんは無難にこなしたので割愛。ふ〜ん、結構カワイイじゃん?

最後は僕の番。ギアをD(ドライブ)に入れて発進。前の2人の結果を見ていたのもあるが、なんだろう、この感覚…。これから起こることが解る、未来が見える様な不可思議な感触…。

ワイの見聞色の覇気が覚醒したのか?
ビックマム編のルフィ、船長としての格を感じるカッコよさがバリバリ出てて最高だったね。特に対カタクリ戦。

まぁ10年前にやったからなんだけどね。

事前に潜む危険を予測し、安全な運転をする。速度やルールを守り、歩行者を保護した運転。山も谷もない無難な、傍から見るとつまらない運転だろう。
だが僕は、後ろに座って僕の運転を見ている膝叩きの恋のギアがグングンあがっているのを感じた。ギア2…、ギア3…、ギア4…!!(ドンッ)

10代の女の子は、異性にスリルを求める。不良や少しアウトローな男子がモテるのはコレだ。車の運転もスピードぶいぶい、ハンドルぐるぐる、排気ガスもりもりキノコというスリリングなモノを好むだろう。

しかし、20代ともなるとスリリングな男性から安心感のある男性へと、女性の異性への思考はシフトチェンジするのだ。僕の完璧な安全運転に彼女の理性のブレーキはアチアチフェード現象。こうなるとブレーキは利かなくなる。

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運転を終え授業も残り少なくなり、教官が生徒に質問する。

教「気分の悪くなった人はいますか?」
膝「ちょっと酔っちゃいました」

膝「ちょっと酔っちゃいました」

膝「(白井さんの人となりが出ている安全運転に)(私の心が)ちょっと酔っちゃいました」

参ったねコリャ。また僕…やっちゃいましたか?

そのままのメンバーで連続して座学を受け、その日の教習は全て終了した。次はとうとう「高速道路教習」だ。僕は翌日の9時に予約を入れているが、外の雨脚は強い。出来れば晴れて欲しい。

階段の踊り場で外の天気を見ていると、後ろから降りてくる膝叩きが話しかけてきた。

膝「明日、高速教習なんですか?」
僕「そうですよー。晴れて欲しいね」
膝「私も明日だから多分一緒ですね!がんばりましょうね♡」

こいつワイとチューしたいのかな?

通常の教習は50分だが、高速教習は行き帰りの時間も合わせると2時間はかかる。混んでいたらソレ以上だ。
勿論生徒は3人かもしれないが、2人かもしれない。少なくとも僕と膝が同じ車に乗ることはもう確定しているのだ。車の中で男女が2人きり…

つまりそういうことなのだ。

追伸。
また前回と同じ様にこのことをtwitterで呟いたら「どうせ何もねぇよ」「非モテの妄想」と心ない批判を受けた。羨ましいなら素直に羨ましいと言えばいいのに。

ギアの話したけど、ATだからD(ドライブ)だけでギア2~4とか無かったわ。まぁMT車は全国で3%しかないみたいだしええやろ!!
この愛の物語にR(リバース)はないのだ。

終。

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