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教習所ラブは本当にあった。〜愛のアクセルベタ踏み編〜

白井サモエドです。

前々回の「出会い編」、前回の「恋の急ハンドル編」に引き続き教習所の話をしたい。これまで読んできた読者諸兄は「白井サモエドの愛の行方はどうなったんだ⁉︎」と「それ以外に話題は無いのか」と思うだろう。

正直に言おう。無い。無いのだ。
教習所以外に僕の生活には、やれ原付に鳥のフンが5つかかっていて悔しかっただの、やれ舞茸をバターで焼いたら美味しかっただのという位しかないのだ。そういう日記は元モー娘の辻ちゃんに書かせればいい。

こんな無色透明な生活に豊かな色彩をくれたのは、皆さんご存知の「膝叩きの君」だ。
彼女のお陰でガス欠寸前のモチベーションで進んでいた教習生活に愛のガソリンが注ぎ込まれた。

前回の「危機予測」の教習の日から一夜開けた木曜の朝、僕は目覚めた。前日から降り続いていた雨は止み、道路が乾き始めている。
これなら今日の「高速教習」は安心だ。仮免許の身で雨の高速道路は荷が重すぎる。

教習所に着き、フロアで時間になるまで待つ。
同じく高速に行く膝叩きは合宿生同士でテーブルを囲んで談笑していた。お前らその女はワシの女やぞ。

あいにくモテる男白井サモエドには余裕があるので、こんなことは口に出さない。心には思う。思想は自由だ、それが人間だ。

時間になり教官が「高速教習の人〜」と呼びかけた。歩みよる人影は僕を含めて2つ。

膝叩きと僕だ。
つまり教習は二人きり。

やっぱりね。

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この愛の物語にお邪魔虫は存在しない。きっと彼女の無意識か神がそれを決めたのだろう。

豊かな体をした教官が「今日は頑張りましょう」と微笑んだ。お邪魔虫いたわ。

だがコイツには高速道路まで僕たちを連れて行く役目がある。言うなればシンデレラのネズミだ。ぽっちゃりネズミ。王子様はネズミに対して何も思わない。

教習所を出て、ネズミの運転で近くのIC(インターチェンジ)に向かう。道中に気をつけること等を説明され、先に運転をすることになった膝は緊張している様子だった。

ここで彼女に気の利いた小粋なジョークを飛ばして、緊張を和らげようと思う読者のキミ。お前はモテない。

恋愛マイスターである僕はこう思った。

もっと怯えろ、と。

これから僕達が向かうのは高速道路だ。一般道の2倍以上の速さで走るので、万一事故にあった時の被害は大きくなる。もしかしたら死ぬかもしれない。非日常の世界だ。
そして自動車の内部というものは密閉された閉鎖空間だ。条件は揃った。僕は頭の中に詰め込んだ恋愛マニュアルを紐解く。免許はATだけどね(笑)

人間は閉鎖空間で長時間非日常的体験をすると、同居する人間に愛情が芽生える。

彼女が僕に持つ淡い感情は、今日この日を持って確定された愛情になるのだ。

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愛の自主経路を設定し終わると、丁度IC前に着いた。運転する順番は膝→僕

ガチガチに緊張した膝がハンドルを握り発進。後部座席に座る僕は窓の外を見ると、IC近くにはお城みたいな建物が数件並んでいた。

「帰ってくる時にはここが今日のオレの家だな」と僕はほくそ笑んだ。休憩4500円、宿泊9800円也。

加速帯に入り、膝はアクセルを強く踏み込む。車はグングン加速する。



怖い!!!!!

高速道路超怖い!!でっけートラックがビュンビュン走ってるし、景色が流れる速さが尋常じゃない!!あと左に寄りすぎだぞ!!車間距離もたくさん取れ膝ァッ!!!!

気がついたら、目的地に着いていた。教官に促され、運転を交代する。膝はホッとした様子で後部座席に乗り込んだ。

さっきは久しぶりの高速に驚いてしまったけれど、もう慣れた。
それに車は自分で運転した方が安心だ。膝には悪いが僕の方が上手く運転できるだろう。ミラーを調節して発進。



やっぱり怖い!!!!!!!!

なんだよあのトラックのタイヤのでかさ!?人間くらいあるぞ!?車体を叩く音もでかいし、何回直してもだんだん右寄りになるし、高速の運転って難しいなぁ!!!!

膝の運転が上手くないと思っていたがそんなことはなく、僕と彼女の技量はどっこいどっこいだ。さっきはごめんね。

「一般道路に戻りたいなぁ」と思っていると、横に居たネズミが僕に語りかける。

「近くを見るより遠くを見て運転した方が安定しますよ」

安定感あるのはお前の渡辺直美みたいなボディやろ。なんだお前のその体は、ハイエースか、と思ったが言われた通りに視点を若干遠くへ置く。

車体が安定した。


ネズミィ……♡

そういやぽちゃぽちゃの女の人って悪くない、というか良い、とこの間思い直したんだったわ。ぽっちゃりしてるって柔らかくて暖かくて気持ちいいよ…。ハイエースも燃費は悪いけど、荷物も人も沢山乗るいい車だよな…。

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その後は割と安心して運転できた。やっぱり教官ってすごい。僕はそう思った。

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