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涙のROCK断捨離 33.Soft_Machine「Six」

ソフト・マシーン「シックス」/Soft Machine「Six」
1973年

まいったなー。これも傑作じゃないですか。
モンティ・パイソンを思い出させるようなジャケットのデザインが好きではないので(モンティパイソンは大好きです)、印象が良くなかったのですが、改めて聴いてしまったら、これは素晴らしい。
他のどのバンドにも似ていない、これぞソフト・マシーンと言えるのは、この「Six」かもしれません。

サイケデリックで、フリージャズで、ミニマル・ミュージックで、全であって、どれでもない。
これが本当のカンタベリー派というやつなのでしょうか?
私はキャラバンの力の抜けたポップさや ロバート・ワイアットの歌心みたいなものをカンタベリー・ロックと言うのだと思っていましたが、この音楽にも何かカテゴリー名を付けてやりたくなりました。

「4」「5」のフリー・ジャズの方向性を進めながら、ロックの躍動感も感じられる前半(2枚組では1枚目)は、なんとライブ録音です。
「5」は馴染まなかったという人も聴きやすいのではないかと思います。
そして後半はスタジオ録音で、反復するメロディが安静と高揚を誘う、ソフトマシーン式ミニマル・ミュージックです。これが良いのです。
この時期、フィリップ・グラスはまだ出てきていませんが、スティーブ・ライヒテリー・ライリーは、すでにいくつかの作品を発表していましたので、技法としての”繰り返し”は知られていたのだとは思います。ただ、鳴っている音が現代音楽畑のものとは少し違っていて、バンド・アンサンブルになっているのです。おそらく、ソフト・マシーンのミニマル・ロックは、この後の現代音楽の作家にも影響を与えたのではないかと思えます。

同じバンドとは思えないほど、短期間に多くのメンバーチェンジを行い、音楽的な変化を果たしてきたソフト・マシーンが、また新たな変態を果たした、独自の世界が展開される特殊なアルバムです。

Spotifyでも聴けます。
https://open.spotify.com/album/4n1ftHtFkKv9eqPjyG7pSe?si=2wwwYxg8TUiK-hVEE3QyTw


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Photo by Tim Chow on Unsplash