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136夜  To See the Next Part of the Dream / Parannoul

詳しいことは知らないのですが、どうやら韓国のアーティストらしいです。
韓国と言ってもいわゆるK-POPではなく、シューゲイザー系のロックで、初めて耳にした瞬間から虜になりました。

「何聴いてるの?」「リリィ・シュシュ・・・」というあの映画のサンプリングで幕を開ける1曲目の「Beautiful World」は、マイブラ以来の衝撃でした。

シューゲイザーという音楽ジャンルは、そのインパクトの強さに対して、得られた果実が少ないように思えていました。
コクトー・ツィンズのような幻想的なサイケに、ジーザズ&メリーチェインのような激しさを加え、そこに暴力的とも取れる狂気を織り込んでゆくことで生まれた、シルエットを持たない爆音。マイ・ブラディ・バレンタインの「LOVELESS」で確立された、このサウンドにやられてしまった人は山ほどいるでしょうし、影響を受けたアーティストも多くいたことでしょう。
同時期に活動していたライドなど、魅力的なバンドがいなかったわけではありません。
しかし、この音楽が生まれるや否や、マイブラが「Loveless」で完成形を示してしまい、彼ら自身でさえそれを超えることができないまま、ジャンルとしての発展が得られなかったように思うのです。
(もちろん全てのシューゲイザー系バンドを聴いているわけではありませんが・・・。)

でも、それはそれでいいのです。
マイブラの「Loveless」が名盤であることは疑いようがなく、あのローリング・ストーン誌が選ぶ歴代最高アルバムのランキングにも入るほどの評価を得ているのですから。
今年、過去作品の新装版が出たりしてニュースにもなっていましたし、正直なところ「もう、シューゲイザーはこれだけを聴いていればいいんだ」と思っていました。

そんな時に偶然耳にしたのがこのParannoulでした。
こんなに素晴らしいバンド(?)が韓国にいたなんて!なんと嬉しい驚きでしょう。(韓国語だと 파란노을 と書くそうです。)

激しいサウンドの中には、胸がしめつけられるような切ないメロディが隠されていて、逆に感情を抑えたヴォーカルからは、深く内へと向かわざるを得なかった複雑な思いが感じられます。

1曲目から中盤のタイトル曲まで緊張感が切れることなく展開し、6曲目の「Age of Fluctuation」では抑えていた感情が爆発します。
後半はバラエティに富んだ曲が並び、ポップな面も垣間見せてくれます。
前半のシリアスさが後半では軽減されることもあって、聴き終えた後の印象が現代的でポップな感じなのも悪くありません。
(個人的には前半が好みですが、、、。)

これは素晴らしい出会いでした。
他のアルバムも聴いてみようと思います。

今年の新譜らしいですが、これもイイ!