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154夜 All ’N All / EARTH WIND & FIRE

喪中はがきで中学時代の友人の他界を知り、情報交換しようと思って同じ中学の友人に久しぶりに連絡をしたら、その彼は現在、癌の治療中とのことでした。
うーん、年をとったのだから仕方ない。いろいろ受け入れて人生を全うするのだ。

このアース・ウィンド&ファイア(以下、AW&F)の「All ’N All(太陽神)」は、連絡をした彼の家で中学時代によく聴いていました。

その頃から今まで様々なジャンルの音楽を聴いてきましたが、時々「何から何まで完璧だ」と思えるようなアルバムに出会うことがあります。
この「All ’N All(太陽神)」は、そうしたアルバムのひとつです。

バンドは絶好調で演奏も歌も最高。曲は全て名曲。ジャケットのアートワークまでコンセプト通り。世の中にも受け入れられてビジネスとしても大成功。文句の付けようがありません。

ラムゼイ・ルイスさんのバンドを離れたモーリス・ホワイトさんがAW&Fを結成したのは1970年頃でした。
この「All ’N All(太陽神)」が出るまで、ライブも含めて8枚のアルバムを出しています。(この頃のアーティストは、そういうテンポでのリリースを求められていたので、特別に多作というわけではないでしょう。)
1974年の「Open Our Eyes」あたりから彼らの良さが出始め、1975年の「That’s The Way Of The World(暗黒への挑戦)」では「ShiningStar」や「Reason」など、バンドの代表曲とも言えるヒットも生まれます。
同年に出された「Gratitude(灼熱の狂宴)」は、私がライブ・アルバムのランキングを作るとしたら必ず選出する必聴の名盤です。
1976年の「Spirit」では「Getaway」が大ヒット。
ここまででも素晴らしいのですが、まさに機は熟してきました。

翌年に発売された「All ’N All(太陽神)」は、ブラック・ミュージックの濃さが、当時、流行していたディスコ・サウンドやポップさで中和され、多くの人にとって聴きやすいものになっていました。
モーリス・ホワイトさんとフィリップ・ベイリーさんのダブル・ヴォーカルは素晴らしく、特にフィリップ・ベイリーさんの高音にはスピリチュアルなものさえ感じてしまいます。
個人的に好きなのは、アル・マッケイさんのギターで、シックのナイル・ロジャースさんに負けない素晴らしいプレイをしていると思います。

ビートの効いたファンク・ナンバーも、ヴォーカルの美しいスロー・ナンバーも、全てが名曲、名演。
今、現代の耳で聴いても最高です。

このアルバムの後も「after the love has gone」「Boogie Wonderland」「Let's Groove」とヒットを出すものの、だんだんバンドとしてのまとまったパワーは失せてしまい、楽曲で勝負という感じになっていき、私自身は(CDは継続して買うものの)興味が薄くなってしまいます。

バンドの絶頂期は、1977年の「All ’N All(太陽神)」だとしても、1975年から1981年に発売された7作はどれもが傑作です。
ベスト盤で聴くという選択肢はアリですが、できたら年代ごとに聴いてもらいたいバンドです。

それにしても、中学生の時なのか・・・。
昔を思い出しながら、友の癌克服を願う。