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第3章「波と節」第1節「相場心理」第1項「未知という名の逆説」

値動きの未来を予想するってどういうことなんでしょう。予想すると一言でいっても、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析など、予想するための材料は無限にあるので、一見すると、予想する方法なんて無限にあるように思えますが、私は、分析には大きく分けて3つあると考えています。

1つは「ディスカッション型」です。ファンダメンタルズ分析をする人たちにはこのタイプの人が多いと思っているんですが、利を通して論破していく「ディスカッション型」で相場の未来を占うのは難しいでしょう。なぜなら、利が相場を動かすのではなく、利を信じる大衆が相場を動かすからです。

この意味がなかなか理解できない人が多いのだろうと思いますが、そう言う私もはっきりとわかるようになるまでには時間がかかりました。「ディスカッション型」からの脱却は相場で生き残っていく上で重要なポイントです。ここから抜けられなければ、自分の意見を押し付けるようなポジション取りを止められず自滅します。

例えば、自分が中銀のトップだったとして、量的緩和を行うことを決定したとしましょう。量的緩和というのは、1万円札や100ドル札を大量にコピーして準備銀行に保有することなので、突然理由なくお札が増えればお札の価値は下がりますが、焼酎に水を入れてアルコールを薄めるようにはいきません。どれだけ日銀がお金を刷ったとしても、日本国民や世界の投資家がその事実を知らなければ、円の下落や円安による物価上昇は期待できません。円に対して物価を押し上げるには、円を湯水のごとく市場に流すだけでなく、「とんでもない量の1万円札、コピちゃった♡」という黒田日銀総裁と、その声を聞いた大衆がいなければ円の価値を下げることはできなかったでしょう。

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