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マッチ売りの少女 まとめ

「マッチ売りの少女」は童話というジャンルの中で一際異彩を放つ名作です。
父親に「マッチ売って来い」と言われた少女が、マッチを擦ることで素敵な幻を見ながら凍死するというのは、児童向けらしからぬハードボイルドなストーリーだと思いません?

僕もこのストーリー内容について考察した事があります。マッチ売りのという職業は既にないにしても、虐待問題は未だに存在することを考えてみると、現代にも通用する物語といえるのではないでしょうか。

これは大事になる。メディアはこの話題を連日取り上げ、父親は糾弾され、当然逮捕となり、刑事訴追を免れない。もちろん児童相談所の担当者も叩かれる。「マッチ売りの少女」は痛ましい童話であるが、出版から170年以上経っても色褪せずに、様々なイメージや教訓を与えてくれる。
引用元・筆者のnote記事「マッチ売りの少女と現代1」

僕が「マッチ売りの少女」を今一度見直してみようと思ったのは、昨今の就職戦線のニュースを見て、自分がかつて遭遇した面接の現場を思い出したからです。
集団ディスカッションスタイルの面談で、そこで出たお題が「マッチ売りの少女にマッチを売らせるにはどうしたら良いか」というものでした。

ディスカッションが始まって、最初に出た案は「値下げ」だ。当たり前の話だか、商品の販売において価格競争は最初に出てくる発想だ。しかし価格競争が利益の低下を招くことは自明のことで、競走相手が更なる値下げを断行すれば、最終的には資本力の差において少女が太刀打ちできるものではなくなる。
(中略)
ここだ!僕は手を上げて言った。
「マッチ売りの少女にマッチ売りの少女の話をさせたらいいんじゃないですか」
引用元・筆者のnote記事「マッチ売りの少女と現代2」

そんな自分と縁のある物語なのですが、イメージの中の少女の姿は、赤いずきんを被っていて、それは別の童話。作者も違います。「赤ずきんちゃん」はグリム兄弟の作品。作品と作者の紐付けを見直してみると。

1.親指姫
2.白雪姫
3.人魚姫
4.アリとキリギリス
5.赤ずきん
6.金の斧銀の斧
7.赤い靴
8.シンデレラ
9.王様の耳はロバの耳
イソップ4.6.9、グリム2.5.8、アンデルセン1.3.7。
引用元・筆者のnote記事「マッチ売りの少女と現代4」

意外と混同してました。そういえば「アナ雪」もアンデルセン原作でした。
少女のイメージに赤いずきんがあるのは、マッチの頭が赤いからだと思われたので、その由来について調べてみると色々なことも分かりました。

マッチの頭は赤くない

イメージとして、マッチ頭は「赤」とすぐに浮かびますが、現在はパッケージデザインの相性から白いものが一般的だそうです。また頭が赤くなったのは、昔作られていた発火しにくいマッチと区別するために着色されたそうです。

マッチの頭はリンじゃない

マッチの頭の素材は、塩素酸カリウム、硫黄、膠、珪藻土などで、リンが使われているのは、むしろ側面のザラザラした部分で、そのに使われているのが赤リンです。どうも赤リンのイメージが、赤い頭と繋がって、頭がリンと勘違いしているみたい。
引用元・筆者のnote記事「マッチ売りの少女と現代5」

寄り道しましたが、ここで、物語が書かれた時代をしらべてみると、初版の1848年が、ヨーロッパに革命の嵐が吹き荒れた年で、その前にも飢饉があったり、暗い時代だったようです。

デンマークでは貧しい人々が見捨てられ、その中で社会批判として生まれた童話が「マッチ売りの少女」なのです。
引用元・筆者のnote記事「マッチ売りの少女と現代3」

さて、作者であるアンデルセンですが、なかなか変わった人だったらしいです。
まず極度の心配性で出掛ける時はすぐに窓からでも出られるようにロープも持ち歩いていたとか。
それに、恋愛下手で、自分の自伝風ラブレターを長々と書いて送っていたとか。しかもそのラブレターが死後に見つかったり。

貧しい家庭に生まれた事や自身の容姿にかなりコンプレックスがあったと言われています。アンデルセン童話は世界中で読まれ、葬儀では国を挙げて喪に服した偉人なのに、生涯独身でした。
それにしても、死後にこんなラブレターが発見されるって、辱めの極みです。
「おひとりさま」というライフスタイルを一世紀半前にやってのけた人が、マッチ売りの少女という物語を書いていたというわけです。
引用元・筆者のnote記事「マッチ売りの少女と現代6」

「マッチ売りの少女」には少女が売春婦だった説などもあるんですが、アンデルセンがこういう人ですから、それはないない。
当時、隣国スウェーデンはマッチ生産大国で、内職として子どもやご婦人方が、マッチを作っていたそうです。アンデルセンのいたデンマークでもマッチは身近な存在だったんだと思います。

さて、そんな「マッチ売りの少女」ですが、これ童話ってレベルのお話じゃないですよね。
「アナ雪」はアニメ映画化されたけど、こちらはどうでしょ。
もしあるとしたら「アナ雪」が「となりのトトロ」で「マッチ売りの少女」は「火垂るの墓」という関係?

今後も面白い事を考察していきたいと思います。

「黄金を運ぶ者たち」も宜しく御願いします。

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