見出し画像

指す将順位戦8th自戦記 B級2組 8回戦 (vs tamunet 7級[891])

ここまで6勝1敗と上出来な結果で瞬間1位に浮上。

不戦勝がかなり利いているのが複雑ではあるが このまま昇級を目指していきたい。






【対局前】

◇対局相手の印象

三間飛車マニア
元居飛車党だが最近になって三間に振り始めた。
居→振の転向は珍しいが何か手応えを掴んだのだろうか。
元居飛車党の感覚からか、縦の将棋も嫌わず相振り飛車も嫌がらない。また美濃囲いに拘らず他の囲いを採用することも多い。

◇対戦成績

初手合
前期は同じくB級3組だったがそこでは対戦がなかった。昇級組としてここで当たれるのは嬉しい。


◇事前準備

 [▲先手番]

対三間飛車を想定。元居飛車党という懸念はあるがここで意表の居飛車というのはあまり考えていない。
先手番はへなちょこ急戦で速攻を狙う予定。
持久戦にすると3筋の位を取ってくる作戦をやられそうで、まだ対処がよくわかっていない。
本局は早めに▲3六歩を突いて対応する。

想定局面①

 [△後手番]

こちらも対三間飛車を想定。
後手番では雁木を採用……するつもりだったが、事前の対局を通してあまり上手くいっていなさそうな感触があったので後手でもへなちょこ急戦でいくことにした。
一手違うだけでなかなか難しくなるが、依然としてfloodgateでも一進一退の作戦なので相当有力ではあると思う。

想定局面②

また、こちらも3筋位取りを警戒してかなり早めに△7四歩を突く予定なので、それに伴って▲6五歩から角交換を狙ってくる指し方も対策しておく。

想定局面③
飛車を取らずに馬を作るのがポイント。
部分的には以前取り上げた最速▲4五歩戦法でも見られる手


~対局前まとめ~

先後共にへなちょこ急戦を採用。
当然似たような局面になりがちなので手筋をストックしておく。



【対局開始ッ!】

先手:* 最速キメ(850)
後手:tamunet(891)

https://shogi.io/kifus/257364




── 千日手が成立して先後を入れ換えて指し直しに。
反省点としては、組み合った形は指し手が難しいので、位を取られたときにもう少し早めに反発する手順の方が良さそう。




再度、対局開始ッ!!

先手:* 最速キメ(850)
後手:tamunet(891)


https://shogi.io/kifus/257452


(※対局時は玉の移動で手数を調節して実質的な先後入れ換えを行いましたが、振り返りをする上で符号等がややこしくなるので上記棋譜は玉の移動を省略して元から先後を入れ換えた状態で入力しています!ご了承ください。)



 ◇急所の局面(指し直し局24手目△6五歩まで)

[基本図]

仕掛けの局面だが、先手の腰掛け銀が若干珍しい。
本譜は▲6五同歩からこちらにとって望ましい展開になったが、感想戦では他の応手も複数挙がった。
それを順番に見ていくことにする。

まずは▲4五銀とこちらに迫ってくる手。
攻め合いになるとどうなるのか。

[基本図]以下 ▲4五銀 △8六歩 ▲同歩 △6六歩 ▲3四銀 △6五桂 ▲6六角 △同角 ▲同飛 △5七桂不成 ▲2六飛 △2二銀 → [結果図A]

[結果図A]

△8六歩に▲同角は△6六歩から△6七歩成→△9九角成を見せて後手良しなので▲同歩と取る。
▲3四銀と歩を取りつつ玉頭に迫る手に△6五桂から角交換をして△5七桂不成と成らずでいくのが未完成の先手陣の隙を突く一手。
▲2六飛も見た目怖いが冷静に△2二銀と受けて大丈夫。以下利きを足す▲6七角には△4九桂成の攻め合いでも右に広く有利だし△1二角と受けても後手が指せる。
攻め合いになると陣形差がモロに響くようだ。


では[基本図]から代えて▲6七銀と引くのはどうか?

[基本図]以下 ▲6七銀 △8六歩 ▲同歩 △6六歩 ▲同銀 △6五歩 ▲5五銀 △7五歩 ▲同歩 △8五桂 → [結果図B]

[結果図B]

△8六歩▲同歩△6六歩の仕掛けに▲同銀と取れるようにしたのが銀を引いた効果だが、△6五歩▲5五銀と飛車の紐を外してから△7五歩△8五桂と捨てるのが素晴らしい手順。これは実戦では発見できそうにないな……。
以下▲8五同歩には△同飛▲8六歩に△7六歩を用意しているのが△7五歩と突き捨てた効果で▲8五歩△7七歩成▲同桂△5五角の二枚替えになって後手成功。
▲8五同歩△同飛に▲8八飛は△同飛成▲同角から8筋に飛車を打ち直して▲7八金に△8八飛成▲同金△5五角でやはり二枚替え。
なのでこの桂馬を取らずに▲8八角と引くと△9七桂成と突っ込んで無理矢理飛車先突破を狙う。ひええ。
これもやはり飛車角交換から△5五角と銀を取る筋があるので先手が大変。
これは知らないと指せそうにないが、知っていればそれだけで強力な手順だ。


最後に[基本図]から▲3八銀と陣形整備を優先する指し方を見ておく。

[基本図]以下 ▲3八銀 △8六歩 ▲同歩 △6六歩 ▲5八金 △5四歩 → [結果図C]

[結果図C]

△8六歩▲同歩△6六歩の仕掛けにも陣形整備優先の方針を一貫させて▲5八金と美濃囲いを完成させる。
これには△5四歩と、▲6六飛△同角▲同角から▲5五角打と角を重ねる手などを消して画像の局面。
[結果図C]の評価値を見てもらうとわかるように、以下どれを指しても居飛車悪くない代わりにそこまで形勢が動かず手が広い局面。
後手としては相手の動きに対応していくことになりそうで、先手は腰掛け銀を選ぶならこう進めるのが良いかもしれない。
銀を素早く腰掛ける展開はあまり考えたことがなかったが意外と一筋縄ではいかないようだ。


【対局後】

◇本局の振り返り

千日手局は序盤の組み立てが良くなく、常に仕掛けを意識した駒組みを余儀なくされかなり消耗してしまった。
指し直し局もあまり知らない変化になったが作戦自体は遂行できて多少は体力を温存できたか。
とはいえ疲労感は拭いきれず、それが棋譜から読み取れるような中終盤になっていたと思う。
千日手局の内容も関係あるだろうがかなり脳ミソが溶ける展開だったので、もっと対応力を高めるのは当然として特に先手番のときの作戦はもう少ししっかり考えておきたい。

◇最後に

対局後の余韻を利用してそのまま次の日の生活に支障が出ない範囲で自戦記に加筆するというのがルーティンのようになっていますが、本局は初めて感想戦後に何も書かず眠りました。
この何倍もの時間と読みを要するプロ棋士の方が体力作りのためにマラソンや筋トレをしている理由がよくわかりました。
結果は勝てて良かったですが序盤の課題も見えた一局だったので改善して次に活かしたいと思います。それじゃあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?