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-尾州産地遠征レポート-

<ベンベルグ>ラボ第6講は、国内最大の毛織物産地として知られる尾州(愛知県西部から岐阜県西濃地域)の工場見学を行いました。尾州産地は木曽川の豊かな水を利用し織物産業が発展。地域分業で高級毛織物を生産し、日本にとどまらず海外でも高いブランド力を持っています。今回は、世界トップレベルの技術力を誇る愛知県一宮市の工場を見学し、ウールを中心とした短繊維の生産工程を学びます。

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最初に訪れたのは昭和39年に丸編み機を導入し、尾州で「丸編みニット」の先駆けとなった宮田毛織工業株式会社。編地のしくみをはじめ、編機の分類、針と針床の関係性など、ニットの基礎を説明していただきました。

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丸編み機で重要な役割を果たすメリヤス針の話では、針先の小さな”くぼみ”に込められた日本の匠の技術に一同唸らずにはいられませんでした。丸編み機の高速化を可能にしたこの編み針の説明には驚きました。

その後、2班に分かれ工場内を見学させていただきました。「丸編機」の名前の通り、円を描くように並んだコーンから、糸が一本ずつ編み込まれ筒状に生機を編み上げま す。メリヤス針も目で追えないほどの速さでしっかり働いていました。

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次の見学は尾州毛織業の最大手であり、積極的な海外展開でも知られる中伝毛織株式会社を訪れました。中島社長の挨拶から、尾州の歴史や生産工程の説明。さらに職人の高齢化や後継者不足などの現状にも話が及び、産地が抱える課題の 一端をうかがい知ることができました。

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工場内には整経機をはじめ、ワインダーや横編み機など様々な整理機器が置かれています。とくに織機の種類の豊富さには驚かされます。ここでつくれない生地はないのでは、と思うほどの充実ぶりでした。

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グループ会社の藤井整絨では、毛織物の整理工程を見学。毛焼、縮絨、洗絨、煮絨、起毛など、織り上がりの風合いを整える多くの重要な工程を見ることができました。ショールームでこれまでに製作した生地サンプルを拝見し第6講は終了です。

今回の遠征では、毛織物が製品になるまでに至る多くの工程を知るとともに、尾州の高い技術力の奥深さを実際に体感することができました。また、産地の抱える課題についても改めて考えさせられるいい機会となりました。見学させていただきました皆さま、ありがとうございました!

次回は、桐生遠征です!

事務局

※ベンベルグ®は旭化成の再生セルロース繊維・キュプラのブランドです

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