エビデンス、データは強い根拠 19/9/4

ダルビッシュ選手に初めてリツイートしていただいた内容に関してです。(https://twitter.com/faridyu/status/1167195589538394113?s=20)長文になりますが、お付き合いいただければ幸いです。

エビデンスを示せばなんでもOKと思う風潮があります。エビデンスやデータは強い根拠になりますが、使い方によっては、誤解をまねきます。あくまで、エビデンスは意思決定の材料にしかなりません。
(エビデンスは万能なのか?https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66820)

というのも、エビデンスが、意思決定にあわない場合や最終的な結果に結びつかない場合も往々としてあります。エビデンスを利用するのは、間違いなくいいことですが、エビデンスの多くは、あくまである集団の平均値などで論理を組み立てて結論を導いています。

なので、エビデンスを活用する際は、①現状分析②メカニズムや構造の理解③優先度の把握の3点を実施する必要があります。

具体例

”140kmの球速”と”胸椎の回旋タイミング(いわゆる開くタイミング)”に関係があるというエビデンスを活用した成功例と失敗例を用いて説明します。

その論文の結果をみた指導者が、140km投げれない高校生の投手に対して、骨盤を速く回せというコーチングをしました。具体的な対策としては、①開くのを我慢するためのグラブを横に出す。②軸足股関節のタメを意識する。③体幹捻転のストレッチを行う。などでしょうか。そして、2人の投手は、胸椎回旋タイミングが変化しました。しかし、A投手は球速が向上しましたが、B投手は、球速が下がることがあるでしょう。

要因分析

これは、現象とメカニズムを理解できずに指導したことが要因です。A投手は、今まで筋力トレーニングばかりやっていたが、対策③により柔軟性が増し、胸椎の回旋速度が高まりました。

逆にB投手は軸足の使い方がうまかったですが、対策②により体重が残りすぎたまま投げるフォームを習得し、開くのがおそくなったものの、球速が低下しました。球速が低下したので、球速をもどそうとより高強度の投球練習を行い、怪我につながることもあり得ります。

繰り返しになりますが、エビデンス(140キロと胸椎回旋タイミング)を利用してコーチングするのは、素晴らしいことですがあくまで論文は平均値で結果をだしているので、エビデンスを活用する際は、①現状分析(平均の現象や事例か、逸脱しているのか)②メカニズムや構造の理解(その論理は原理原則に基づいているのか、筋がとおっているのか)③優先度の把握(いまやるべきことなのか)の3点に注意していれば、このような事例は防げる、再現性の高い指導ができると考えます。

一番言いたいこと

なので、トレーニングやフォームに関してはあうあわないがあると言われていますが、本来そうでないはず、原理原則からコーチングすれば、そうならない結果が導けると強く思います。

私は指導を行う前に、必ずフォームを撮影・分析します。そのフォームのメカニズムがわかることで、特徴や弱点が見えてきます。なので、指導していい部分や変えてはいけない部分がわかりますし、指導していく中で気づいていく部分があります。フォームのメカニズムを把握できていないと、アドバイス程度はできるかもしれませんが、指導はできません。
私なら、B投手への胸椎の回旋タイミングを遅らす必要があるとすれば、軸足の使い方は変えずに、グラブ側の動きやトレーニングに注力します。選手や指導者の理解力の程度により、なぜこの指導をこの時期にするのかというのを説明した上で、指導します。

そのため、指導していく中であわないと原理原則から判断すれば、その判断の意図を説明できますし、逆に説明できなければ、プロの指導でないとも思います。短絡的に、あうあわないなどの説明を感覚でいわないようにしています。また、この辺は今度。

まとまめすと、


⑴エビデンスは強い武器です。しかし、それに振り回されてはいけないですし、望む結果にならない場合もあります。

⑵プロの立場でエビデンスを利用して意思決定するならば、3点を実行する。①現状分析②メカニズムや構造の理解③優先度の把握

⑶技術指導をする際は、フォームの撮影と分析を適宜ヒアリングを行なった上で、指導をし、原理原則に基づいて意思決定を行う。

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