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児童のより良い学校生活と環境改善、校外の安全安心を守るために ~都筑区におけるPTA活動の基本的な考え方~

2023年度 都筑区PTA連絡協議会 会長談話
横浜市都筑区PTA連絡協議会(区P連)2023年度 会長 小泉周


ポイント

  • 都筑区の小中学校におけるPTAは、保護者一人一人ではできないことを皆さんで協力して実践する保護者と教員の協働の場です。

  • 「できるひとが、できるときに、できることを」がPTA活動の基本です。

  • PTAの在り方について、保護者に強制的に仕事を強要するのではなく、時代に即した改革がすすめられていくことを推奨しています。

  • 区P連は、各学校の課題を区内の小中学校で共有し、行政とともに、区内全体で、児童のより良い学校生活と環境改善、校外の安全安心を守るためにできることを考え、活動しています。

保護者一人一人ではできないことを、皆さんで協力して行う、保護者と教員の協働の場

 昨今、PTAというと、メディア等からは、「保護者に強制労働を強いる」悪い印象を与えることが多くなっています。しかし、そもそも、PTAは、どういう組織なのでしょうか?
 PTAは、第二次世界大戦後、GHQの指導のもと、小中学校等、学校単位で生まれた保護者と教員の任意組織であり、子どもたちのより良い学校生活と環境改善、校外の安全安心を考え、保護者と教員が一緒になって協働する、そのための組織です。
 たとえば、児童の登下校など、ひとたび学校の敷地を出てしまえば、校外における児童の安全安心を守ることは、学校の責任や教員の仕事ではなく、保護者の責任です(参考:文部科学省2023年8月教育委員会への通知)。教員の過剰労働を抑制し、働き方改革をすすめる上でも、何もかもを学校や教員だけに任せきりにするのではなく、そうした教員の役割と保護者の責任を明確に区別し役割分担することはとても大切なことです。
 ただ、そうしたときに、実際には、一人一人の保護者が、児童に毎日付き添い、常に登下校の安全安心を見守ることは不可能でしょう。また、より良い学校生活のために、学校の環境改善など、一人の保護者だけでできることには限界があり、多くの保護者と教員が協働して、児童のためにできることを一緒に考えて行動することが必要です(1)。そのための組織をPTAが担っています。単純にPTAがなくなれば問題が解決するわけではありません。
 このように、PTAは、保護者一人一人ではできないことを皆さんで協力して実践する保護者と教員の協働の場であると言えます。

保護者の在り方もPTAの組織の在り方も多様であり、時代に即したPTAの変革が必要

 もちろん、PTAが組織された戦後間もない時期と今では、社会の構造も大きく変わっており、保護者の在り方や考え方も多様です。都筑区内のたくさんのご家庭が共働きであるとも思います。一方で、これまでPTAが、そうした時代の変化に対応できず、強制的に保護者を動員して仕事を分担させるような形で行われてきたことも事実でしょう。それでは各家庭に無理を強いることになってしまいます。
 しかし、時代は変わっています、PTAもかわらないといけません。
 「できるひとが、できるときに、できることを」がPTA活動の基本です。保護者の働き方やあり方も様々で、一人一人の児童の家庭生活も多様です。そうした中、「平等」という建前のもとに全員に何か仕事や労働を強制させることは、時代にそぐわないものとなっています。(※Equality(平等)よりもEquity(公平)という考え方で、多様性を受容することが必要でしょう)。
 都筑区内のいくつかの学校では、すでに、PTAの委員会活動をボランティア制度に移行するなどの改革がすすめられています(2)。それぞれの小中学校の保護者の皆さんが、快く協働できるよう、PTAの在り方について、強制的に仕事を強要するのではなく、時代に即した改革がすすめられていくことを推奨しています
 もちろん、同じ都筑区内とはいえ、学校や地域によっても色々な考え方がありますので、一概に何が正解かは言えません。保護者の考え方やあり方も多様なように、PTAの在り方自体も多様であり、いろいろな形があってよいと思います。

都筑区の小中学校の仲間として協働し、行政とともに、児童のために活動する

 都筑区では、都筑区役所(こども家庭支援課)と連携し、都筑区PTA連絡協議会という各小中学校のPTAの会長と校長先生らによる連絡会を開催しています。
 各小中学校やPTAで起きていることは、実はその学校特有のことでばかりではなく、他の小中学校にも共通するような課題も含まれています。協働することで、解決策を見出すこともあります。また、行政との密接な関係もとても大切であり、区P連では都筑区とも密接に連携しています。このように、各学校の課題を区内の小中学校で共有することで、行政とともに、区内全体で、児童のより良い学校生活と環境改善、校外の安全安心を守るためにできることを考え、活動することができます。
 たとえば、スクールゾーン協議会など、校外の安全安心を守る活動は、一つ一つの小中学校だけでなく、区の行政や警察とともに考える活動を行っています(3)。
 このように、PTAは、児童のより良い学校生活と環境改善、校外の安全安心を守るために、保護者と教員、さらには、区の行政が協働し、保護者一人一人ではできないことを皆さんで協力して活動しています。皆様のご協力があっての活動です。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

事例

(1) 都筑区のPTAでは、区P連が中心となり、横浜市の他区に先がけて、区内の小中学校のすべての教室にエアコンを入れることを提言し、実施されました。

(2) 北山田小学校のPTA組織は、PTAとは呼ばず、「ふれあいの会」という保護者の会となっており、既存の委員会を廃止するなどし、ボランティア活動を中心にすえた活動を行っています。

(3) 「こども110番の家」は各小中学校PTAの活動ですが、そのプレートを共同購入するなど区P連で実施しています。

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