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これで安心!STX リーグウィークエンド観戦ガイド

みなさんこんにちは。(初めましての人は初めまして)。さねとみです。

世の中は緊急事態の真っただ中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今となってはもはや常識となっているMPL・MRL制度が敷かれてから早1年。各エキスパンション毎に2回行われてきたリーグウィークエンドも(ストリクスヘイブンだけ何故か3回)、最後のエキスパンション、残すところあと2回となりました。(多くのプロプレイヤーが配信でいかにこのリーグが過酷かを語っている為、とても長い間続いていたかのような心持でいましたが、まだ1年たってないとは・・・驚きです・・・)

そこで今回は、MPL・MRLリーグの現状をおさらいしつつ、5/15(土)・5/16(日)に行われるストリクスヘイブンリーグ#2(以下STX#2)のフォーマットであるスタンダードとヒストリックの「Now」を、お届けしようと思います。

また、今回のリーグウィークエンドも、公式のミラー配信があります!DAY1はブルナー実久さん、DAY2は海老江邦敬さんが担当!
贔屓の選手がおらず、誰の配信を見たらいいかわからないという方は、是非ミラー配信に集まりましょう!!


1.残すところあと2回!過酷なリーグの今を追え!!

まずは、MPL/MRLリーグの現状を簡単におさらいしましょう。
MPL 24人、及びMRL 46人は、2020年10月より、これまで5回にわたりリーグ戦を積み重ねてきました。このリーグ戦は、土日それぞれ6回戦ずつ、計12回戦を1単位としています。
つまり、これまでに各メンバー約60試合ほどが消化されているわけです。
この成績は1年間を通算して計算されるため、過去60試合の結果がつみ重なっているわけですが、前回のリーグからついに、この成績が実際に意味を持つようになってきました。

というのも、MRL・MRLリーグにおける最終順位によって、来季の待遇がこのように決まるわけです。

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どちらのリーグも上位4人はMPL確定。残りの人間はMPL、MRLいずれかのガントレットに進むか、チャンレンジャーに降格します。(MPL、MRLガントレットに進んだ人間は、最終的にMPLかMRLに振り分けられるので、MPL、MRLガントレットに進む=最低でもMRLだと理解してください)
なお、MPL/MRLのポイント状況は、下記のスプレッドシート内で、ハマさんの配信に集う者たち(通称ハマKids)により、オンタイムでどんどん更新されていきます。(この記事を書く上でも、かなり参考にしました)
リーグウィークエンドを観戦する際には、是非開いておくことをお勧めします!


1.1 MPLの現状!抜け出た2人と、デッドヒートの12人!

さて、ではこの順位表が現在どうなっているのかを見ていきましょう。
まずはMPLから。

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前回(STX #1)のリーグでは、上位1名、下位3名は順位が確定しています。(下位3名のプレイヤーにとっては、実質的な足切りとなります)
順位が確定したプレイヤーは、リーグから離脱することになり、それ以降順位は変動しません。つまり現状でいうと、22位から24位までのプレイヤーは来季ライバルズへの降格が決定している状態となります。

今回のリーグ(STX #2)では、上位1名と下位3名が順位確定となるため、下位3名はライバルズ降格が決定するということになるわけです。(残りのプレイヤーの順位確定は、7/4-5に開催される最後のリーグ、STX#3に持ち越されます)
それを踏まえ見どころをいくつかピックアップしていきましょう。

①MPL確定争い

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Gabriel NassifとPV(Paulo Vitor Damo da Rosa)の2位争いは、今回のリーグにおける見どころの一つと言えるでしょう。ナシフが41点なのに対し、PVは40点とその差わずか1点(1勝)分。その下のReid Dukeが35点と5点(5勝)差であることに鑑みると、実質MPLの2位はこの二人が争っているということができそうです。
今回のリーグは順位が近いもの同士がぶつかる為、当然ナシフ VS PVというマッチアップも行われます。1勝差の二人による直接対決が順位に大きな影響を与えることは、論を待たないでしょう。


②レイ サトウ選手の活躍

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MPLリーグは上位3人こそ40点台と独走状態ですが、4位以下は横並びと言ってもいい状態です。というのも4位、5位が35点なのに対し、6~11位は全員33点という、まさに超団子状態。誰か一人が大きく勝ち越した瞬間に、順位が大きく変動することは想像に難くありません。
そして、日本人であるレイ サトウ選手は現在7位(33点)の位置につけています。今回のリーグでレイ サトウ選手が優秀な成績を納めれば、一気に来季MPL(4位まで)有力選手に名を連ねてもおかしくありません。
レイ サトウ選手の活躍に、期待しましょう!

③ケン ユクヒロ選手の躍進

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先ほど4位から11位までは団子状態と言いましたが、実はその直下12位に位置しているのがケン ユクヒロ選手です。その点数32点オリジナリティ溢れるデッキを構築する名デッキビルダーとしても有名なケン ユクヒロ選手ですが、4位と3点差であれば、まだまだ逆転するチャンスは大いにあり。
今回のリーグでは、ユクヒロスペシャルの大爆発に期待しましょう!

④ショータ ヤソオカ選手の逆襲

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レイ サトウ、ケン ユクヒロに比べると、コントロールマスター ショータ  
ヤソオカ選手の置かれているポジションは少し厳しいものと言えるでしょう。
現状17位(29点)と、ギリギリライバルズ降格圏内にポジショニングされてしまっています。
しかしヤソは、世界選手権という世界のトッププレイヤーが集まる大会においてなお、「俺はコントロールは持ち込まないよ。だって、コントロールを持ち込むということは、ヤソとコントロールミラーをするってことなんだぜ」と言わしめた、世界が認める最強プレイヤーの一人です。このまま終わるということは考えられません。
今回のリーグで足切り(下位3人)に入らなければ、ストリクスヘイブンCSとSTX#3リーグへ望みを繋げられます。リーグ形式よりも、スイス15回戦からのシングルエリミネーションという形式の方が得意というのは、本人談。
となれば、ストリクスヘイブンCSで大きく勝つことで、4点(4勝差)を覆し、そのまま上位に食い込むことも十分にあり得ます。
今リーグはヤソ大逆転の狼煙となるか、今から楽しみですね!

1.2 MRLの現状!1点が重い世界の戦い!!

では次に、MRLの現状を確認していきましょう。

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MRLもMPL同様前回(STX #1)のリーグにて、上位1名、下位3名は順位が確定しています。
MPLと異なるのは、今回のリーグ(STX #2)で所謂「足切り」となる人数が大幅に多いこと。元の人数が多いこともありますが、今回は何と7人もの人間が対象となっています。
ともすれば、MPLよりも過酷な状況とも言えるMRLですが、今回の見どころをピックアップしていきましょう。

①ユータ タカハシ選手、リク クマガイ選手の躍進

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ユータ タカハシ選手とリク クマガイ選手は、共に32点で13位と14位のポジションにつけています。現状4位のプレイヤーが36点であることに鑑みると、MPL確定枠との差は4点(4勝)差。トッププレイヤーとの4勝差なので、今回のリーグでのみ逆転することは難しいかもしれませんが、お二人の順位であれば足切りラインにかかることはないと思われます。
となると、今回含めると後3回ある大会で、この4勝差を詰めればいいということになるわけで。MPL確定枠に食い込むことは現実的な可能性として見えてくるのではないでしょうか。

②「天才」シンタロー イシムラ選手のふんばり

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MRLのデッキリストを見るとき、rizerことシンタロー イシムラ選手のデッキを楽しみにしている人は多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人です。
赤黒ランプやスルタイローグなど、これまで環境に存在していなかったオリジナリティあふれるデッキでMRLに挑み続けているrizerですが、現在順位は20位(30点)と、ギリギリMPLガントレット進出圏内にいます。
MPLガントレットとライバルズガントレットの何が違うのかと言えば、MPLに上がれる人数です。ライバルズガントレットからMPLに上がる人間が24人中4人なのに対し、MPLガントレットは24人中8人と、その差2倍。
ですので、MPLを目指すのであれば、是が非でもMPLガントレットに出場したいところ。
一方で、rizerと同点(30点)のプレイヤーはトップのrizer(20位)から、23位まで4人います。つまり、MPLガントレット進出に対して予断を許さない状況ということ・・・。
rizerが今回のリーグで戦果を挙げ、MPLガントレット入りを着実なものとするのか、目が離せません。

③ケンタ ハラネ選手、ヨシヒコ イカワ選手の猛進

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ケンタ ハラネ選手は26位、ヨシヒコ イカワ選手は32位と二人には差があるように思えます。しかしその差はなんと1点!(ハラネ選手 28点、イカワ選手27点)
そう、30点以下は、同じ点数のプレイヤーが何人もいる超団子状態なのです。
先ほどrizerの項で、現状30点がギリギリMPLガントレット進出ラインとなっていると書きました。つまり、残り3回の大会でハラネ選手、イカワ選手が猛進し、MPLガントレット進出枠に食い込んでも何もおかしくはないということです!
しかし一方で、足切りラインが迫ってきているのも事実。なんと現状の27点は、ギリギリ足切りラインに引っかかってしまっています。(27点のうち、最下位のプレイヤーは35位!)
ハラネ選手、イカワ選手が足切りラインを回避しながら、猛進の狼煙をあげるか、今リーグに注目です!

④リューゾー フジエ選手のライバルズ残留

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リューゾー フジエ選手は苦境に立たされています。順位は39位で、24点。
24点は現状リーグに残っているプレイヤーの中では最も低い点数です。
現状の順位も、このままではチャレンジャー降格となってしまい、足切りラインから逃れるには順位を5つあげる必要があります。
しかし、先ほども書いた通り、20点・30点台は、1点に何人ものプレイヤーがいる超団子状態。
ライバルズ残留ラインまでは2点(2勝)差。足切り回避ラインまでは3点(3勝)差です。今回のリーグは点数が近いもの同士の直接対決ということもあり、大きな成果を残すことができれば、ライバルズ残留も不可能ではありません。
今回のリーグの成績が重要な意味を持つフジエ選手の活躍を、楽しみにしましょう!

2.ストリクスヘイブンへの入学!生まれ変わった(?)スタンダード!

それでは、次にSTX#2のフォーマットの一つである、スタンダードの今を追っていきましょう。
そもそも、前回のプロレベルで行われたスタンダードの大会は、4/10-11にて実施されたSTX#1(ストリクスヘイブン リーグウィークエンド #1)。

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この頃のスタンダードと言えば、ティムールアドベンチャー・ディミーアローグ・スルタイ根本原理・サイクリング・グルール・ナヤアドベンチャー(クラリオン)・赤単・白単・・・と数々のデッキがしのぎを削りあう、超戦国時代でした。
どのデッキにも長所と短所があり、抜きん出た一強デッキは存在しない、そんなプレイする側にとっては非常に悩ましい環境だったことは記憶に新しいですが、これもそれもストリクスヘイブンが発売される前の話です。

ストリクスヘイブンは、2色の組み合わせで構成される大学をフューチャーしたエキスパンション。

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複数のモードを持つ各大学の命令サイクルや。

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ド派手な効果を持つ、各大学の始祖ドラゴンサイクルなど。

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強力なカードが目白押し!これはスタンダードも環境大激変間違いなし!エルドレインからは、一足早く卒業です!
それでは早速、いつも通りPTQなどの競技大会の結果を通じて、生まれ変わったスタンダードを追っていきましょう!


2.1 おまえ(ストリクスヘイブン)、今何かしたか?やっぱりエルドレインには勝てなかったよ・・・

Arenaフォーマットの競技性が高い大会といえば、やはりSCGということで、今回の記事では、4/25と5/9に行われたSCG PTQの予選から本戦までの流れを追いかけながら、メタゲームの変化を追っていきます。

まずは4/25のSCGから。この週はストリクスヘイブンが発売されてから初めてのSCG。各大学をフューチャーした、所謂高学歴デッキが、さぞかしひしめき合っていることでしょう!!!

こちらは、予選~本戦における、デッキ使用率を上から順に並べたものです!

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なるほどですね!この結果を見るにストリクスヘイブン参入後のスタンダードは、
以前のティムールアドベンチャー・ディミーアローグ・スルタイ根本原理・サイクリング・グルール・ナヤアドベンチャー(クラリオン)・赤単・白単の戦国時代から、
ティムールアドベンチャー・ディミーアローグ・スルタイ根本原理・サイクリング・グルール・赤単・白単の戦国時代に突入したということができそうです!!!!

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こちらは、予選における各デッキの勝率

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ここから使用率においてだいたい上位3位までを占めているスルタイ根本原理、赤単、ティムールアドベンチャーの勝率を抜粋するとこんな感じです。

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大きく負けているという印象はありません。
ちなみこの時の本戦優勝は、新カード1枚のディミーアローグ。

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(参照:https://mtgmelee.com/Decklist/View/131455)

さらにちなむと準優勝は、新カード0枚のグルールです。

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(参照:https://mtgmelee.com/Decklist/View/131336)

トップ12まで見るとこんな感じ。

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歴戦のお方々が勢ぞろいしていることが分かるかと思います・・・
カルドハイムが発売されたときは、スルタイ根本原理という新たなデッキが爆誕したタイミングの大会であるはずなのに、今回の大会は、ゼンディガー時代のOBが1・2フィニッシュを決めるまさかまさかの結果に終わりました。

これは、つまり、ストリクスヘイブンというエキスパンションは・・・。

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む、無風エキスパンションだ~~~~~~~~!!!!!

様々なデッキにアップデートが入っている為、無風は流石に言い過ぎなのですが、ストリクスヘイブンは主要なアーキタイプとなるデッキを作るところまではいかない、いわば元からあるデッキを強化するエキスパンションだと言うことができそうです。

となると、スタンダードは前環境から引き続き、様々なデッキが跋扈する魑魅魍魎環境が続くことになると予測されるわけですが、かといって前環境と全く同じというわけではありません。4/25のSCG PTQの結果には、前環境からの変化の萌芽がしっかりと現れています。

そう、ナヤアドベンチャー(クラリオン)と、ラクドスサクリファイスです。

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2.2 スタンダードに新たな風?急上昇した2デッキ!

ナヤアドベンチャー(クラリオン)と、ラクドスサクリファイスの二つのデッキに切り込む前に、5/9に行われた二つ目のSCGの結果を見ていきましょう。

まずは、使用率の順位から。

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お次は勝率。

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前回のSCGと比較すると、次のような差異が見受けられると思います。

①スルタイ根本が不動のTopデッキに。
4/25週の頃はまだ赤単やティムールに水をあけられることのあったスルタイ根本原理ですが、5/9週のSCGにあっては基本的に使用率1位の座をキープしています。4/25週における、使用率トップデッキのメタゲーム占有率平均は17.9%に対し、5/9週は18.7%。先に挙げた二つのデッキ(ナヤアドベンチャー(クラリオン)と、ラクドスサクリファイス)分だけメタゲームに参加してるデッキが増えていることに鑑みれば、いかにスルタイ根本原理の存在感が大きくなっているかがわかるでしょう。
5/8週の本戦においては、使用率2位のディミーアローグ(11%)に大きく差をつけ、24%もの占有率を示すに至りました。

②ナヤアドベンチャー(クラリオン)・ラクドスサクリファイスの躍進
4/25週にはあまり見られなかったデッキである、ナヤアドベンチャー(クラリオン)とラクドスサクリファイスが存在感を発揮しているのも5/8週の特徴です。

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4/25週での好成績が評価されたのか、前環境では今一歩だったこれら二つのデッキが現環境では躍進。躍進の鍵はストリクスヘイブンにあるわけですが、これについてはデッキ個別紹介の項にて詳細を記します。
なお、両デッキ共に最後は失速気味ですが、これは本戦ではスルタイ根本原理が多いと予測されれる中、前環境通りであれば根本原理に不利な両デッキを避けた人間が多かったからだと考えられます。

③ティムールアドベンチャーの凋落。
4/25週では基本的に使用率トップ3には入っていたティムールアドベンチャーですが、この週は1度も入っておらずとかなりの凋落っぷりを見せています。
その理由を語るには、この勝率マトリクスを見るのが早いでしょう。

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(出典:https://twitter.com/rushhhhhh/status/1391920994038652928/photo/1)

大きな躍進を遂げたナヤアドベンチャーに対し、なんと勝率19%位とかなり不利であることが分かります。この表には載っていませんが、クリチャーベースのデッキには鬼のように強いラクドスサクリファイスに対しても有効に振る舞えないことは想像に難くなく、躍進してきた二つのデッキに対し不利であることが大きく影響したと思われます。

④ディミーアローグの進撃
スルタイ根本原理がメタゲームの頂点に居座り、ナヤアドベンチャーが存在感を大きく増したことにより、ポジションを上げたデッキがあります。
そう、ディミーアローグです。ローグは前環境から上記2デッキに対し有利とされており、それが影響してか、5/9週は基本的に占有率上位3位に入っています。
先週の4/25週の優勝デッキであることも関係があるのかもしれませんが、フィールドはローグにとって有利。ローグがスタンダードの覇者となる日も近いのかもしれません。
(ネタバレ:そんなことはないです)

ちなみにこの週の優勝はスルタイ根本原理

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/136947)

前の週に比べるとストリクスヘイブンのカードが多く採用されており、新環境に適応してきていますね。

Top12位まではこんな面々。

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2位の4C アドベンチャーはナヤアドベンチャーt青ですので、ナヤアドベンチャーが躍進していることが見て取れますね。

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/136907)

2.3 これがストリクスヘイブンの主役!進化したデッキ達!

メタゲームの流れを一通り追ったところで、スタンダードの主要デッキ達を紹介していきます。

2.3.1 スルタイ根本原理

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/136947)

何度目の紹介になるかわからない、スルタイ根本原理です。
除去で相手の攻勢をしのぎ、≪出現の根本原理≫を叩きつけることで14マナくらい踏み倒して相手を爆散させます。
ストリクスヘイブンからの主な新戦力は下記の4枚。

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緑黒の命令サイクルのカードです。個々の能力はあまり強力ではないものの、単色アグロの細かいカードを除去しながらライフをゲインしたり、触りずらかったサイクリングの≪型破りな協力≫に触れたりと、痒いところに手が届く性能のカードです。

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亀さん。場に出たときに壁になりながらランプしてくれるため、デッキとの相性は抜群です。場に出たときにランプするカードと言えば≪真面目な身代わり≫があったりもしますが、こちらはタフネスが2ということもあり、余った≪砕骨の巨人≫に踏みつけられがちと、壁としての信頼性にかけました。
その点亀さんなら、タフネスが4、おまけにパワーが3(≪巨人落とし≫に引っかからない)と、壁として機能してくれること間違いなしです。

らせn

でか螺旋こと≪ひらめきの瞬間≫。亀さんが壁となりながらランプするカードだとすれば、こちらはカードを引きながらランプするカード。同じ4マナということもあり、亀さんと≪ひらめきの瞬間≫のどちらかを採用する形が多く見えますが、どちらを採用するかはメタゲーム次第といったところでしょう。
アグロデッキが多ければ亀さんのほうがよさそうですし、逆にスルタイ根本原理ミラーが増えると思うのであれば、≪ひらめきの瞬間≫のほうが良さそうに思えます。

オニキス

オニキス教授・・・一体何アナなんだ。(5000兆回言われたこと)
ということで新リリアナ。基本的に≪出現の根本原理≫から持ってくる新たな選択肢ですが、≪出現の根本原理≫の選択肢が増えるということは大きな意味を持ちます。
というのも、これまで≪出現の根本原理≫を打った時のアドバンテージを取りたいパターン(≪キオーラ海神を打ち倒す≫が簡単に対処されうるため、持ってきたくないパターンともいう)の持ってきかたは、下記の2パターンでした。
①≪星界の騙し屋、ティボルト≫+≪海門修復≫+≪アールンドの天啓≫
②≪≪星界の騙し屋、ティボルト≫+≪巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス≫+≪アールンドの天啓≫

①は海門修復でカードをあまり引けないパターンや、②は≪巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス≫+≪アールンドの天啓≫を選ばれ、アドバンテージは取れないなど裏目があったのですが、ここに≪オニキス教授(いったい何アナなんだ・・・≫が加わることで、
≪≪星界の騙し屋、ティボルト≫+≪オニキス教授≫+≪巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス≫
の即奥義 or PW2体の選択や、
≪≪星界の騙し屋、ティボルト≫+≪オニキス教授≫+≪アールンドの天啓≫
のPW2体 or PWからのタイムワープといった、
相手が自ら進んで爆発したくなる択を突きつけられます。

2.3.2 ナヤアドベンチャー

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/137037)

ナヤアドベンチャー、あるいはナヤクラリオン。≪クラリオンのスピリット≫と低いマナ域のクリーチャーを組み合わせ爆発的な展開を見せた後、展開したクリーチャーを≪秘密を知る者、トスキ≫でアドバンテージに変えたり、≪スカルドの決戦≫と合わせて打点に変えたりします。

このデッキの新戦力は、なんといってもこのカード。

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PVこと、≪精鋭呪文縛り≫です。
ナヤアドベンチャーは従来、スルタイ根本原理にプレイされる≪影の評決≫や≪絶滅の契機≫等のラス系がつらく、打たれてしまうと基本的に盤面は壊滅。立て直しているうちに、≪発生の根本原理≫をプレイされてしまいGGというありさまでした。
そこに来ると、この≪精鋭呪文縛り≫は相手のラスを2ターンも遅らせることができ、勝利へ大きく近づくことができるでしょう。
また、≪精鋭呪文縛り≫がメインから4枚投入されることにより、≪ドラニスの判事≫を無理なく採用できるようになったことも多きな加点です。

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アドベンチャー系クリーチャーへの対策としてサイドボードから投入されることの多かったこのカードですが、≪精鋭呪文縛り≫が追放したカードも相手はプレイできなくなる為、メインから投入されるに至りました。
ティムールアドベンチャーに対し大きく有利をつけているのは、こういったメインからナヤ側だけサイドボードしているというのも関係しているのかもしれません。

2.3.3 ラクドスサクリファイス

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/136835)

ストリクスヘイブンの発売により、従来から最も進化したのがこのラクドスサクリファイス。これまでは≪ぬかるみのトリトン≫や≪ティマレット、死者を呼び出す≫等の墓地肥やし系カードから≪死の飢えのタイタン、クロクサ≫の早期着地を目指しつつ、≪初子さらい≫と≪村の儀式≫のコンボでアドバンテージを得るミッドレンジでしたが、ストリクスヘイブン以降では、上記の墓地シナジー要素を排し、よりサクリファイスシナジーに寄せたデッキとなっています。

このデッキ誕生のきっかけになったと思われるのはストリクスヘイブンのこのカード。(と思われる)

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唱える際に、追加コストとしてクリーチャーを好きな数生贄に捧げ、捧げられた分だけこの呪文をコピーするというカードです。デッキに軽いクリーチャーが多く、この呪文自体も2マナと軽いため、構えようと思えば構えながら動くことが用意なこのカード。
従来のラクドスサクリファイスはスルタイ根本原理に全く勝てなかったのですが、それは≪影の評決≫を打たれると、盤面が壊滅するだけでなく、墓地の≪死の飢えのタイタン、クロクサ≫まで追放されてしまい、何も残らず立て直しが不可能というのが大きな理由でした。
そうでなくとも、クロックがあまり早くはなかったため、普通にカードをプレイした結果、≪発生の根本原理≫に間に合わず負けということも多く、当たれば必敗ぐらいの勢いだったのですが、
デッキを低マナ域のクリーチャーで固め、かつラスを大量ドローでかわせるようになった結果、相性が逆転とまではいかないものの、かなり戦えるようになった印象です。

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≪想起の拠点≫が場にあるときがこのデッキの本領発揮で、クロックが格段に速くなるのみならず、ライフドレインにより粘り強く戦えるようになります。≪禁忌の調査≫や≪村の儀式≫でカードを引き増しやすいデッキもあるため≪想起の拠点≫にたどり着きやすく、見た目以上に強力なデッキとなっています。
まだできて間もないデッキですので、今回のリーグの台風の目になる可能性があるでしょう。

2.4 勝ち組デッキを大予想!環境理解の鍵は引き算!?

さて、ではこれまでの情報を整理しながら、今回の「勝ち組」デッキを予想していきましょう。

SCGで起こったことは、既存デッキの大混戦から、スルタイがメタゲームの王座へ。
そしてナヤアドベンチャーとラクドスサクリファイスの躍進でした。
結果を踏まえて、今のスタンダードのTierを纏めると、次のように整理することができると思います。

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基本的にはどのデッキもスルタイ根本原理を意識しつつ、他のデッキにいかに勝てるかという観点で鎬を削りあうという様相を呈していそうです。
但し、ここに上がっているいくつかのデッキには問題があります。

まず問題になるのは、ローグです。
5/8週 SCGのメタゲームと勝率を振り返ってみましょう。

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メタゲームは、得意とするスルタイ根本原理とナヤアドベンチャーが占有率1位と3位。2位はローグ自信と、ローグにとってはこの上ないフィールドだったはずなのに、蓋を開けてみれば勝率は38%と燦燦たる結果です。
何故でしょうか。

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この勝率マトリクスを見れば一目瞭然なのですが、ローグは得意なデッキこそメタの上位なれど、あくまでそれは微有利程度。一方で、苦手なデッキに対しては著しく勝てないというデッキなのです。
つまり、得意なはずのデッキにもそこそこ負け、苦手なデッキには基本的に勝てない。38%の成績も、あながち不運で片付けられるものではないですよね。

ローグのように、得意なデッキには微有利程度、苦手なデッキはとことん勝てないというデッキに対し、ここでは「地力が低い」という表現を使いたいと思います。

他に「地力が低い」デッキを探してみると、赤単や、ティムールアドベンチャーが候補として挙がってきますね。
よって、先ほどのTierリストをこのように更新します。

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そして、残った6デッキの相性差を、最新の勝率マトリクス。

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にそってまとめると、このようになります。

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な、ナヤがフルボッコにあってる~~~~~~。

なんと、ナヤアドベンチャーがフルボッコにあい、終了という結果に終わりました。
こうなると、ナヤが相対的に数を減らし、つられてラクドスサクリファイスも数を減らし、結果として勝ち組は・・・勝ち組は・・・

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と、ここで終わらないのがMPL/MRLリーグです。
というのも、リーグウィークエンド、及びCSで、これまで言われていた相性が逆転するというのはよくある話。
上記の図から、逆転可能性が高そうなところを書くとこんな感じ。
つまり、スルタイは勝率マトリクス上は不利なナヤアドベンチャーを攻略しうるということでしょう。

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ナヤアドベンチャーは、強力なデッキではあるのですが、アドベンチャーデッキの宿命として固定パーツが多く、相手に合わせた臨機応変なカード変更が行いにくいデッキでもあります。
その点、やはりスルタイはミッドレンジベースのコンボデッキということもあり、除去の枚数やドローソースの枚数で調節ができたりと、デッキの深みを活かして環境に適応し続けることができます。
「スルタイ根本原理に有利なデッキは?」という問いに対し、イゼットテンポや単色アグロ、ローグなど様々なデッキが名乗りを上げてきましたが、その全てが、そもそもそんなに有利じゃないか、有利だけどスルタイにしか勝てないという結論に終わってきました。
もしラクドスサクリファイスが、今の形を大きく崩さずスルタイ根本原理とある程度互角に戦えるのであれば、あまりマークされていないデッキとして、ダークホースとなる可能性はありますが、やはり今回の大会の大本命はスルタイ根本原理ということができそうです。

一方で、スルタイ根本原理のミラーが増えるのは、スルタイ根本原理にとっても悩ましいところ。
というのも、スルタイ根本原理のゲームレンジでゲームをするデッキが環境にスルタイ根本原理しかない為、構築をミラー用に寄せると、その分他のデッキに対するガードが下がっていきます。

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5/8週にSCGを優勝したスルタイなどは、2マナ除去を枚数を減らし、その分打ち消しをメインから採用するなど明確にミラーを意識しています。
スルタイのミラー寄せを間隙を、アグロデッキがつくという展開も、もしかしたらあるのかもしれません。

このような状態で、リーグウィークエンドの勝ち組を選ぶとなった時、さねとみの結論はこうです。

本命:スルタイ根本原理
対抗:ラクドスサクリファイス
穴:サイクリング
大穴:ナヤアドベンチャー

やはりここまで幾度となく挑戦者を退けてきた実績に鑑みて、今回はスルタイに軍配が上がるのかなと。しかし、スルタイが強いなんていうのは皆が知っていること。プロであればスルタイに勝てるラクドスサクリファイスを整えてくるのではという、淡い期待もあったりします。

【簡単まとめ】

≪メタゲーム≫
・スルタイ根本原理が依然としてトップメタ
・ナヤアドベンチャー、ラクドスサクリファイスが躍進
・ティムールアドベンチャーが凋落

≪さねとみ予想≫
本命:スルタイ根本原理
対抗:ラクドスサクリファイス
穴:サイクリング
大穴:ナヤアドベンチャー



3.激変ヒストリック!これが本当のヒストリックアンソロジーだ!!

ストリクスヘイブン参入も、新しいアーキタイプが生まれなかったスタンダードに対し、ヒストリックは大きく様相が変わっています。
というのも、ヒストリックではミスティカルアーカイブという、ストリクスヘイブンに特別再録された過去の強力カードの一部を使用することができる為です。

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モダンでも禁止されている≪渦巻く知識≫や≪信仰なき物あさり≫などの強力なドローソースや、≪思考囲い≫に次ぐ性能を持つとされている≪コジレックの審問≫、EDHで≪タッサの信託者≫とよく使われている≪汚れた契約≫や、縛りの薄い万能カウンター≪記憶の欠落≫、軽く再利用可能な≪時間のねじれ≫などなど、あげていけばキリがありません。

これらの強力カードがヒストリックにどのような影響を与えていったのか、さっそく大会をベースにして、メタゲームの変遷を追っていきましょう。

3.1 盛者必衰!おごれるデッキ久しからず!!

さて、そもそもヒストリックがどういう環境だったかをさっさとおさらいしていきましょう。従来のヒストリックは3種類のデッキにより支配されている環境でした。

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このうち、スルタイが最も支配的なデッキである期間が長期間続いたため、スルタイを弱体化すべくとあるカードがヒストリックで禁止されましたね。

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(二度と脱出するんじゃないぞ)

結果として、スルタイはアーキタイプが消滅し、残されたのはゴブリンとジャンドサクリファイス。
ジャンドサクリファイスは、≪集合した中隊≫からクリーチャーを素早く展開し、アグロ気味に立ち回るジャンドカンパニーと、≪パン屑の道標≫と≪フェイに呪われた王、コルヴォルド≫でがっつりアドバンテージゲームをするジャンドフードの二種類あるのですが、ゴブリンはジャンドカンパニーには不利、ジャンドフードにはちょっとだけ有利というデッキでした。

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環境がこの3種のデッキによって支配された結果、まず苦手なデッキには勝てず、得意なデッキにもイマイチ負けるゴブリンが姿を消し、そうなると直接対決で勝てないジャンドカンパニーが姿を消していきました。

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結果として、ヒストリックの1強デッキとして、ジャンドフードが王座に座ることになりました。(ここまでが、2020年3月。カルドハイムCS・STX#1前までの話です)

ジャンドフード1強という下馬評のもと開催されたカルドハイムCSですが、「俺はジャンドフードに強い!」と名乗りを上げるデッキがいくつかありました。マジックいつもの流れですね。

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その結果は・・・

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STX#1でCFBが仕上げてきた対ジャンドフード最終兵器、60枚根本原理と、アブザンミッドレンジがジャンドフードを妥当するに至りました。

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しかし、このうちアブザンミッドレンジには一つ大きな欠点がありました。
そう、ジャンド以外には勝てないのです。その為、アブザンミッドレンジは徐々に数を減らし、スルタイ根本原理がジャンドキラーとしての役割を背負うこととなりました。
こうして、環境1強デッキのジャンドと、ジャンドに対するキラーカードであるスルタイが誕生したところで、ストリクスヘイブン(というか、ミスティカルアーカイブ)が発売されます・・・

3.2 環境崩壊!まっさらなヒストリック!!

ストリクスヘイブン発売後の4/19に今環境で一番最初の大会が開催されました。真っ先に名乗りを上げたのは、意外なことにローグでした。

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(参照:https://mtgmelee.com/Decklist/View/128207)

早速ミスティカルアーカイブから3種類のカードがデッキに採用されています。≪渦巻く知識≫でデッキの安定性を増し、≪記憶の欠落≫という、相手のライブラリを削れるローグにとっては事実上の≪対抗呪文≫を手に入れたことでゲームプランが補強されたローグは、Insight Esportsが主催したこの環境初の大規模大会を優勝します。

この大会では、準優勝のセレズニアカンパニーや。

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/128402)

3位のジェスカイコントロール。

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/128355)

≪信仰なき物漁り≫と≪渦巻く知識≫で「最強」になると噂だったイゼットフェニックスのたたき台。

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/128368)

などなどのデッキが現れました。
優勝したローグの天下がしばらく続く・・・かと思いきや、翌週以降の大会では、全く異なった結果が現れます。
こちらは、4/25以降の大会における、デッキ使用率の順位をまとめたものです。

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初回こそ、4/19に優秀な成績を納めたデッキが人気でしたが、4/30のSCGが始まってから状況が一変します。
使用率のトップはひたすらにグルール。
グルールは、ローグとイゼットにこそ強いものの、セレズニアカンパニーとジェスカイコントロールには不利とされています。
IEの結果を受けてなのか、それともSCGはSCG独自のメタゲームが形成されいるからなのかはわかりませんが、しばらくはグルール・セレズニアカンパニー・ジェスカイコントロールがメタの中核をなす状況が続きました。

一方で、SCGの予選期間中に注目され始めたのが、EDHで猛威を振るっている≪汚れた契約≫と≪タッサの信託者≫、通称「寿司コンボ」でした。

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/134212)

MTGの歴史において、ハイランダーデッキが強かったことは筆者が知る限りなく、一見ネタにしか思えないこのデッキですが、合計4マナとコンボが軽いことや、ベースがコントロールデッキであること、コンボパーツのサーチ手段がそこそこあることなどがかみ合い意外な強さを発揮します。

SCGの予選が進むにつれて、徐々に「寿司コンボ」が本物であるという認識が広がり、#7の回においては使用率Topに躍り出ます。
結果的に、本戦のメタゲームはセレズニアカンパニーがトップ、その下にグルール、オルゾフオーラ、ジェスカイコントロールと続き、グルール包囲網が敷かれる形となりました。

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なお、この大会を優勝したのはジャンドフード。

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/134185)

ジャンドフードは従来イゼットフェニックスを苦手としていましたが、実質イゼットフェニックス専用サイドボードである≪虚空の力戦≫を4枚採用することで、苦手なフェニックスを無理やり克服。
その分グルールとのマッチアップで投入できるサイドカード減ってしまい、ガードが下がってしまっていますが、SCGの本戦ではグルールを狩りにきたデッキを狩ることで、見事優勝の座を射止めました。

また、同じようにグルールを狩りにきたデッキを狩ることで、Top12に4人もプレイヤーを送りこんだのが「寿司コンボ」です。
グルールやジェスカイコントロールにこそ弱いものの、そのほかの主要デッキに対し有利に立ち回れる「寿司コンボ」は、今後も有力なデッキの一つとして意識する必要がありそうですね。

3.3 シーズン切替え!ヒストリックの新たな主役達!

それでは、新しいデッキが増えたヒストリックの主役達を紹介していきましょう。

3.3.1 イゼットフェニックス

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/134401)

≪信仰なき物漁り≫、≪渦巻く知識≫を手に入れ超人となったイゼットフェニックスです。様々なディスカード手段で≪孤高のフェニックス≫を墓地に落とし、3回スペルを唱えることで墓地から≪孤高のフェニックス≫を墓地から返すことで攻めや守りの起点を作ります。

もともとは≪弾けるドレイク≫が入っている、少し重い形がメジャーでしたが、最近は軽いアクションを打点に変えられる≪スプライトのドラゴン≫が採用される形が多くなってきました。

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≪信仰なき物漁り≫によりどんどんデッキを掘り進められるようになった結果、≪孤高のフェニックス≫が墓地から帰ってくる頻度・速度がともに上がり、以前よりも格段にデッキの安定性が増した印象です。

デッキに大量のキャントリップが採用されている為、スペルをプレイすることで手札が減らないだけでなく、引きすぎた土地は≪信仰なき物漁り≫でリソースに変換したり、≪渦巻く知識≫でデッキに戻せたりと、とにかくパワフルなデッキです。
スペルをプレイするだけで攻めが継続する為、コントロール系・ミッドレンジ系デッキには鬼のように強いのが特徴でしょう。

弱点は、タフネス3以上のクリーチャーを除去しにくいという点。除去となる火力が、軽さを意識して≪ショック≫や≪火柱≫など2点に寄っている為、それ以上のサイズを持つクリーチャーを対処する際は損してしまいます。(グルールなどは、この点をついているとも言えます)

またサイド後、墓地対策を食らうと攻め手がなくなりやすいのも弱点に挙げられるでしょう。≪墓堀の檻≫は≪削剥≫で対処できる分まだましですが、≪安らかなる眠り≫や≪漁る柔泥≫は天敵です。

3.3.2 信託者コンボ

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/134212)

オラクルコンボとも、寿司コンボともいわれるデッキです。
≪汚れた契約≫というカードは、デッキのトップをめくって、それを手札に加えるか、加えないかを選択します。加えないを選んだ場合、上記の手順を、1度めくったカードと同じカードが出るまで繰り返すことができる為、デッキに入っているカードが全て異なる場合は、デッキの枚数を0枚にすることができるというわけです。
デッキを0枚にしたうえで、≪タッサの信託者≫をプレイして勝つというわけです。

60枚のハイランダーというと、デッキの動きがちぐはぐになってしまうのではないかという意見もあるかと思いますが、そこはヨーリオンデッキの動きがちぐはぐにならないのと同じで、似た役割のカードを採用することで、普通に青黒カラーのコントロールとして立ち回れるようになっています。

ちなみにですが、≪アズカンタの探索≫は現在Arena上でバグっており、今週末のリーグウィークエンドでは使用することができません。
なんでも、裏面になった後でも、表面分の信心がカウントされてしますとか。
≪アズカンタの探索≫はこのデッキに非常にマッチしている一枚ですので、影響がないとは思えませんね・・・

また、もう一つちなむと、寿司コンボと呼ばれることがある理由は、≪タッサの信託者≫が寿司を握っているように見えるからだそうです。

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(言われれば見えないことも、ない?)

3.3.3 グルール

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/134028)

新しいカードが採用されているわけではないのですが、相対的にポジションを上げているグルールです。クリチャーを出して、殴る。シンプルな戦略ですが、≪炎樹族の使者≫による爆発的な展開力に≪エンバレスの宝剣≫の一撃必殺が加わり、かなり受けづらいデッキとなっています。

1月のカルドハイムリーグウィークエンドでPVが使用して以来、≪集合した中隊≫1枚、≪アン一門の壊し屋≫3枚のリストが一般的になりましたね。

3.3.4 オルゾフオーラ

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/134207)

こちらも前環境からあるデッキ。≪コーの精霊の踊りて≫や≪上級建設官、スラム≫にエンチャントを貼りまくることで、強化しまくりドローしまくりのご機嫌なデッキです。
というと除去に弱そうというイメージを持つかと思いますが、≪ケイヤ式幽体化≫と≪悪魔的活力≫で除去耐性もバッチしです。

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≪悪魔的活力≫はあまり見慣れないカードかと思いますが、役割は大体≪ケイヤ式幽体化≫と同じ除去耐性です。
どこに差異があるかというと、一番は≪初子さらい≫への耐性です。

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≪ケイヤ式幽体化≫はエンチャントの対象が「あなたがコントロールしているクリーチャー」なので、≪初子さらい≫でコントロール相手に行ってしまうと対象不適正で外れてしまうんですね。
その点≪悪魔的活力≫であれば安心というわけです。(なお、≪悪魔的活力≫は追放に無力という差異もあります)

3.3.5 ジャンドフード

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/134185)

スタンダードの時代からお馴染み、猫竈悪魔と食物のデッキです。前環境の覇者だったのですが、イゼットフェニックスという天敵に向けサイドボードに≪虚空の力戦≫等墓地対策を採用せざるを得なくなった結果、もともと十分に負け得る相手だったグルールアグロへのガードが足りなくなってしまいました。

デッキのコンセプトはパイオニアでも通用するくらいに強力なので、操作が煩わしいという理由で≪大釜の使い魔≫が禁止されるようなことがなければ、今後もヒストリックに居座り続けるデッキと予想されます。

3.3.6 ジェスカイコントロール

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/134139)

ミスティカルアーカイブで≪稲妻の螺旋≫と≪渦巻く知識≫、≪記憶の欠落≫を(あと≪ミジウムの熟達≫を)、ストリクスヘイブンから≪マグマ・オパス≫と≪プリズマリの命令≫を手に入れたジェスカイコントロールです。
ラスという略称のもととなった≪神の怒り≫6枚体制に加え、≪稲妻の螺旋≫を手に入れたことで、いよいよアグロキラーとしての立場を盤石にしました。

また、ストリクスヘイブンの新カード≪マグマ・オパス≫を捨て、≪奔流の機会巨人≫でプレイするプチコンボも強力であり、かなりパワフルなデッキに仕上がっています。

惜しむらくは、ディミーアローグ、イゼットフェニックス、ジャンドフードと、環境に天敵が多すぎたことでしょうか。アグロ主導のメタゲームになるのであれば、活躍間違いなしなデッキです。

3.3.7 セレズニアカンパニー

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(出典:https://mtgmelee.com/Decklist/View/134215)

緑白カラーの≪集合した中隊≫デッキです。≪スカイクレイブの亡霊≫、≪精鋭呪文縛り≫、≪エメリアのアルコン≫、≪傑士の神、レーデイン≫など相手の盤面に触ったり、相手の動きを妨害する3マナ域のクリーチャーが多数採用されていることが特徴で、一種のヘイトベアーデッキと言えるかもしれません。

中でも強力なのが≪エメリアのアルコン≫です。

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ミスティカルアーカイブで軽く強い呪文が増えたため、1ターン当たりのアクション数に制限をかける効果が想像以上に効果的です。
特にイゼットフェニックスなんかは、≪エメリアのアルコン≫がいる限り≪孤高のフェニックス≫が墓地から帰ってきませんし、信託者コンボも1ターンに2回スペルをプレイして決めるコンボですので、即座にコンボが決まることがなくなります。
スタンダードでは見向きもされなかったカードがこのような形で活躍するのは面白いですね。

3.4 未開のヒストリック、王座に座るのは誰だ!

ヒストリックは環境の登場人物ががらっと変わり、まだまだメタゲームが定まっていない印象を受けます。
SCGこそグルールを中心としてメタゲームが組まれていましたが、プロ達がデッキを適切に評価した結果、同じくグルールがメタの中心になるでしょうか。

こちらは、4/25~5/9までの大会における各デッキの勝率をまとめたものです。

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この中で、基本的に勝率50%以上を納めているデッキがありますね。
そう、イゼットフェニックスです。

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こちらの勝率マトリクスを見てもわかる通り、イゼットフェニックスは苦手なデッキに対しても戦うことができる一方で、得意なデッキにはかなり勝ちやすいデッキとなっています。

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(出典:https://twitter.com/mtg_data/status/1389207066640883714/photo/1)

スタンダードの項で、「得意なデッキもたまに落とすし、苦手なデッキには基本的に勝てない」デッキを「地力が低い」と表現しましたが、そうなるとイゼットフェニックスは「地力が高い」デッキだと言えるでしょう。

イゼットフェニックスを中心に据えた場合のメタゲームはどうなるでしょうか。
まずは、イゼットフェニックスに有利とされているデッキ達が、イゼット倒すぞ同盟を組成します。

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しかし、この4人のうち、二人は問題を抱えています。信託者コンボ君とジャンドフード君です。
信託者コンボは、先述した通り、ルールスを相棒に据えた青黒コントールを基調としたコンボデッキです。なので≪アズカンタの探索≫は非常に心強いアドバンテージソースになるのですが、今回のリーグではArenaのバグに伴い≪アズカンタの探索≫を使用することができせん。
つまり、フルパワーのデッキを使用することができないのです。たかが1枚と思うかもしれませんが、信託者コンボはハイランダーデッキです。1スロットが重要な意味を持つ為、果たしてフルパワーでないデッキであってもなお使用するほど魅力的なデッキかどうかは疑問です。

また、ジャンドフードも個人的には怪しいと感じています。というのも、SCGの時点ではジャンドフードがイゼットフェニックスを対策する側に回っていましたが、現時点では構図は逆です。イゼットフェニックス側は≪虚空の力戦≫をかわすプランを用意すればよいだけですので、ここの相性差は簡単に覆るというのが持論です。

上記を加味して、先ほどの絵を書き換えます。

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さて、こうなると、今度はオルゾフオーラの立ち位置が良すぎます。
オルゾフオーラに強いデッキとしては、青白系コントロールやディミーアローグなどが挙げられますが、これらはイゼットフェニックスに弱いデッキ。
イゼットフェニックスに強いオルゾフオーラを倒すために、イゼットフェニックスに弱いデッキを使うようでは本末転倒です。
イゼットフェニックスにもそこそこ戦えて、オルゾフオーラ強いデッキはないものでしょうか。

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そんな都合のいいデッキは。

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ないものでしょうか!

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お前らかーー!!!!!!!!!!

仕方がないので、先ほどの絵に除名コンビを復活させます。
ちなみにグルールは除名コンビに対して強いので、それも加味するとこんな感じ。

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イゼット倒すぞ同盟で見事な円環が完成してしまいました。
ちなみに信託者コンボとジャンドフードは信託者コンボが有利です。
こうなると、信託者コンボの立ち位置が非常によさそうに見えますが、信託者コンボはフルパワーが発揮できないデッキという点が非常に悩ましいですね・・・

それでも、ヒストリックの勝ち組デッキを予想するのであればこんな感じ。

本命:信託者コンボ
対抗:オルゾフオーラ
穴:ジャンドフード
大穴:イゼットフェニックス

プロならば、≪アズカンタの探索≫抜きでも十全な信託者コンボをくみ上げてくるだろうということで、本命は信託者コンボです。

【簡単まとめ】

≪メタゲーム≫
・ミスティカルアーカイブの参入により環境が激変。
・SCGはグルール中心のメタゲームだったが、全体を通してみると勝率が最も高かったのはイゼットフェニックス
・イゼットフェニックスがメタの中心となるのであれば、オルゾフオーラがよさそう
・オルゾフオーラ・イゼットフェニックスを打倒しうるデッキとして信託者コンボとジャンドフードが挙げられるが、信託者コンボはバグによりフルパワーが発揮できない点が懸念

≪さねとみ予想≫
本命:信託者コンボ
対抗:オルゾフオーラ
穴:ジャンドフード
大穴:イゼットフェニックス

4.〆

今回の観戦ガイドはここまでです。
スタンダードは既存メタゲームの延長感がぬぐえませんが、ヒストリックはメタゲームが1から構築されそうな気配があり楽しみですね。

さて、ここからは宣伝です。
筆者のさねとみは実は細々と配信活動をしております。
MPL/MRLが始まったちょうど1年前は視聴者0人の廃墟のような配信でしたが、お陰様で最近は見てくださる方が増えてきており、小屋くらいにはなってきました!
そのおかげもあってか、5/30(日)に開催予定の第三会セカコロ2次予選にも招待頂きました!

セカコロ2次予選はもちろんのこと、毎週月・火・金あたりに配信を行っておりますので、見に来てくれると嬉しいです!

では、今回の記事はここまでということで。
ご精読ありがとうございました!!
(ご意見・ご要望はTwitterまでお願いします!)




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