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産業ストレス学会発表:外部EAPの内面化が企業の問題対応能力向上に寄与

 当社中部支社のカウンセラー、夏目こころが、2023年12月の第31回日本産業ストレス学会(資料1)にて「企業における外部EAPの内面化のプロセス検討」と題して一般演題発表を行いました。

▼研究の目的、方法

 ある企業において、通常のEAPサービス(電話・メール・面接相談)とカウンセラーによる企業訪問(派遣相談)を組み合わせた形式での休職復職支援を約7年間にわたり実施し、従業員だけでなく、上司、人事及び産業保健スタッフを総合的に支援しました。現在は、通常のEAPサービスと企業内の人員のみで充実した休職復職支援を実現されていますが、その背景にはEAPの内面化(外部のものを取り入れ自分のものとすること)がなされたとの仮説のもと、当該企業の企業担当者へのインタビュー調査から得られた言語データの質的分析を行いました。

▼結果と考察

 分析の結果、対象者に関わる周囲の機能も重要という「トータルサポートの視点」、本人の課題解決を(肩代わりではなく)支援する「カウンセラーの基本的姿勢」、事例性・疾病性をはじめとした「クライエント理解の視点」が企業担当者に内面化されたことが明らかになりました。また、企業側の「EAPを有効活用したい」という主体性や動機づけ、関係者とカウンセラーが時間と空間を 共にする「場の共有」、共に行った施策の「成功体験」等も内面化を促進する要素として抽出されました。
 企業担当者自身も、カウンセラーからのコンサルテーションを通じてカウンセリングを受けているような被サポート感、安心や信頼を感じられたことが、EAPの関わりや対応を多面的に理解し、それらを取り入れることに繋がったと考えられます。
 本結果は、問題を抱えた従業員だけでなく、周囲の方々も支援の対象とする当社のサービスが、企業の問題対応能力の向上に寄与しうることを示す一つの事例となりました。

 健康管理体制が整っていない企業、メンタルヘルス問題への対策を目指す企業がEAPを導入する際は、導入初期~中期にEAPの派遣相談も併用することで、企業にメリットとなる効果を出せるのではないかと思われる調査結果と言えます。

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