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10年後の銭湯とそれから


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先日ツイートしたこちら。反応が多かったので、どういうことか明らかに公開しようと思いました。弊社の社員らにはよく語っていることですが、この危機感や銭湯の難しさを広く知ってもらいたいなと。

この10年間で何が起こるのか

京都の銭湯は、年7軒ペースで廃業しているので、10年後、20軒台になる可能性が十分にあります。

自分の見立てでは、10年後、28〜48軒くらいになっていると考えています。

三重県、滋賀県、静岡県など、現在で20軒、10軒以下になっている地域に関しては片手で数える程度か消滅していることでしょう…。

10年後に、湊の予想は外れたと笑い話になればいいのですが、そこまで楽観視はできないと危機感をもってこの10年を見据えています。

10年後、残るべくして残った銭湯だけが在るとすれば、継業する機会は今よりは減ることでしょう。継業する役目はその頃には終えることになります。

そこからは、継業ではなく、継業した銭湯をこの先にいかに存続させられるかが、さらに大きな課題として嫌でも立ち塞がってきます。今もその課題に取り組んでいる最中ではありますが、向こう見ずに突っ走る段階なので、立ち塞がるほどの実感はまだないです。ですが、いづれ立ち塞がることになります。

この課題が最難関で、継業よりも100倍難しい。それ故、ゆとなみ社は銭湯と共に消滅することになるだろうとも冷静に見据えています。それは何故か?


①建物の老朽化
②保有物件がない(賃貸契約)

この2つの大きな課題があるのです。

①建物の老朽化

風呂を沸かし営業する設備の老朽化ではなく、建物の老朽化で新築を余儀なくされるタイミングがいつか来ます。また震災被害のリスクもありますね。

銭湯の新築で2〜4億円と言われています。

この額をどう捻出するかが課題です。

つまり、この額の投資ができたり、または融資が受けられるような売上及び財務状況を作る必要があります。

それなりの利益を生み出せる銭湯にならなければ、新築費用の捻出なんてお話にならないわけです。

文化財で〜国が〜とかの提案されることもありますが、正直、エクストリームな荒業としか思えません。それができる方はぜひコンサルしてほしいくらいです!

二つ目の課題でもある保有物件がないことも、借入の担保にいれるものがないという点で大きく関係してきます。

②保有物件がない(賃貸契約)

賃貸契約で銭湯の物件を借りているので、更新ができない場合、退去を求められる可能性が多いにあります。むしろ、いづれは…という感じでもあります。

例えば、建物の老朽化によりオーナーから断られる場合、相続になり賃貸継続が不可能になる場合などです。

となると、保有する必要性が強まります。つまり、銭湯の物件を買い上げるという課題です。

また、賃貸契約である以上、契約内容にもよりますが、巨額な設備投資が現実的ではなく、回収できずに借金背負うだけになる可能性があるので、ここでも保有する必要性が増します。

銭湯は、坪数があって、立地もそこそこなので、不動産運用としては売却してしまったり、マンション経営する方が得策となりがちです。

賃貸はオーナーに銭湯を残したいという強い意志がなければ、成立しません(地方においてはその限りではないですが、都会になればなるほど)。

継業に至る難しさは、オーナーの理解と不動産運用をどう考えているのかという点にもあります。ただ、この点はお互いの熱意と少しばかりの金銭面が一致すれば解決できます。しかし、土地を買う買わないの大きなお金の問題についてはそうもいきません。

この2つの課題をクリアするには

カネです。何億円ものカネが必要です。

まず、賃貸を断念された時に、銭湯を買い上げる資金力がなければいけない。次に、新築にできる資金力もなければいけない。

土地購入と新築セットでいくらになるのでしょうか。一軒につき、少なくとも3億円コースです。場合によっては5億円以上にもなるこのハードルは継業以上に難しい。

なんとかこの2つを達成できたとしても、その後、銭湯という商売で返済し、銭湯の営みを続けていく、長いマラソンが再び始まります…。

これには押忍。だから、押忍なんです。苦笑

では、どうするのか。銭湯とともに滅びゆくのか。それともこの難関ハードルを突破するのか。

「銭湯を日本から消さない!」を掲げるゆとなみ社は絶対にやりとげたい。銭湯活動家としても、この難関を乗り越えて、その先の銭湯を見たいし、見せたい。

少なくとも梅湯をはじめとする弊社銭湯で、廃業寸前だったところから蘇られせた先の景色を今見れています。でも、まだその先が見たいし、銭湯を信じたい。

具体的で現実的な道すじは?

数億円コースのハードルについて、大資本が介入する道筋しかないと考えています。

現状、弊社で1番の売上と利益を誇る梅湯ですら、土地と新築セットの数億コースは自社のパワーと金融機関の借入だけでは厳しそうです。大手企業や投資家から投資を受けるか、傘下入りするかの必要はあるなと考えています。

色んな方法が考えられます。例えば、オーナーのバトンタッチ。資本のある会社が銭湯を購入し保有する。引き続き、賃貸契約を結んで継続する方法であれば、オーナー側の相続絡みでの問題は一旦解決できます。

さらにもう一踏ん張りということで、新築の出資をしてもらうケースもありえるでしょう。

その後の運営と商売として成立させられるかは、ゆとなみ社の腕の見せ所なわけです。

これらを考えるのであれば、理想のパートナーは、大手不動産会社かなと。もしくは、銭湯好きの奇特な大金持ち(そんな人いたら早よ名乗り出て下さい!)かなとも考えています。

そんなわけで、10年後、ゆとなみ社が何軒の銭湯をかかえているかわかりませんが、一軒一軒にこのハードルがあるわけです。

もちろん、土地と新築のセット以外の道もありえますが、最終的にはここに落ち着くのが、「銭湯を日本から消さない」の実現につながるだろうと考えつきました。

10年先を見据える

これから、ゆとなみ社銭湯の中でも断念しなければいけない銭湯が出てくるだろうなとも覚悟しています。

まずは、この10年間で消え去るだろう銭湯を死守して、なんとか蘇らせることが、目下の課題です。その先については、やりながら考え、自力をつけて、チャンスを掴むしかないです。

銭湯は文化とはいえ、建物抜きには成立しません。商売が成立する云々以前の問題です。技術や知識でもないのです。不動産や建物の維持管理というのは難しい問題です。

我々とは違い、銭湯を保有して銭湯をされている方はぜひその優位性を知ってほしいです。選ばれし者なんですよ!ほんと一緒に頑張りましょう!!笑

そして、我々と同じような条件で銭湯をしている方々、個人から会社まで存じ上げておりますが、諦めずにこのハードル突破しましょう!

業界として取り組む必要がほんとにあります。組合だのしがらみだの言ってる場合ではなくなります。その点については、今秋くらいに打ち出したいことを計画しています。


さて、長くなりましたが、そんなミッションがこの10年とその先10年後に控えているよ〜ってお話でしたッ⭐︎










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