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2022.炉開き 亥の子の祝い

亥の月(旧暦10月、現在の11月頃)の最初の亥の日(今年は、本日11月6日です)は、お茶の世界では炉開きというおめでたい行事が行われます。

「茶人の正月」とも言われるこの行事は、夏の間にお湯を沸かしていた風炉を片付けて、冬の間にお湯を沸かす炉を使って、その年の新茶をみんなでいただく日。

この日を祝うようになったのは、古代中国の無病息災を祈る風習「亥子祝(いのこいわい)」が由来で、平安時代に日本に伝わり、庶民に収穫祭として広まったそうです。

また、古代中国発祥の陰陽五行説(万物は、「陰」「陽」と、「木」「火」「土」「金」「水」の五行の要素で成立しているという思想)によると、亥は「水」にあたるので火に強いとされているそうです。そのため「亥の月、亥の日から火を使い始めると安全」と言われ、昔は、この日にこたつを出したり囲炉裏(いろり)に火を入れたりする「こたつ開き」「炉開き」をすることになったとのこと。

今回の主役。高台寺蒔絵の炉縁と万代屋釜。

というわけで、わたしの通うお教室でも、炉開きが行われました。

朝早起きして、髪の毛をアップにして、着物にお着替え。今回は、同じ教室のお姉さまから譲り受けた紅葉のお着物と祖母がよく使っていたという帯にしました。

これらは、襦袢以外みんな誰かからいただいたものばかりで、わたしの人生で新しく購入した着物というものは、七五三のときだけだったんじゃないかな。とにもかくにも、親戚やお教室のみんなで、着まわしては「これ、昔はわたしが着ていたのよおう」と盛り上がる時間が、とっても好きです。

今回もわたしは初炭のお手前をさせていただいたんだけれども、このお着物をくれたお姉さまは、お薄を点ててくださいました。同じ席でお役目をもらうと分かってから「今回は紅葉を着るぞー!」とずうっと楽しみにしてきたので、この機会に着られたことも、お姉さまが喜んでくれたことも、嬉しい思い出になりました。

懐石のお料理も全部先生のお手製です。初夏に梅酒を仕込んで、秋のはじまりに栗をたくさんむいて、その全部がこの懐石料理になりました。どれも全部おいしかったです。

先生が用意してくださった御膳
もちもちの蓮根団子も先生お手製

これを全部、ぱぱっと作ってしまう先生、本当にすごい。お道具を出したり炉を出したりとお手伝いした気になっていたけれど、わたしが見ていたのはほんの一部で、懐石もお花もお菓子たちも、全部を用意してしまう先生、本当にすごい。

「いずれは、あなたもお茶名をとるのよ。お教室を開くのだって、夢じゃあないと思っているのよ。」

と先生は笑いながらおっしゃるけれど、お茶以外にも用意しないといけないことがいっぱいで、そんな未来はまだまだずうっと先なんだろうな。と、丁寧に用意されたお道具やお料理やお花をしっかりと目に焼き付けて、カメラで記録係をしてきました。

11時半にドラの合図で開会したお茶事は、定刻通り15時にはお開き。

待合には梅昆布茶を
お茶時のテーマは掛け軸にあり。
松竹梅のおめでたい棗
最後にお薄を。

「みんなで集合写真を撮りたいのよ。シャッター押しにきてちょうだい」

とお隣さんに電話をかけちゃう先生と、本当にそのためだけに来てくれたお隣のおじさんにびっくりしながら、みんなでわいわいしている集合写真も撮れました。

まだまだ大きな声で「みんな集合!」とは言えない世の中だけれども、大好きな人たちとこっそり集って季節の移り変わりをお祝いできるっていうのは、なんて幸せなんだろう。

肝心の初炭のお手前は、この冬の課題になりました。お稽古に行くたびに練習して、身体で覚えていかねば……と身の引き締まるお茶事デビューになりました。えへへ。

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