見出し画像

アップルマティーニ

食事を終え、ケーキを食べる。
ふと、隣の席に目をやる。
カップルが、グラスにちょこんと入った、かわいいピンク色のお酒を飲んでいる。

かわいすぎる。めっちゃきになる。

いてもたってもいられなくなったわたしは、笑顔の素敵な店員さんが白湯をサーブしてくれたタイミングで、母から店員さんに隣のカップルのお酒の種類を尋ねてもらった。
母とひとしきり会話を終えた彼女が、わたしの方を振り向いた。
そして、わたしと目があったことを確認してから

「アップルマティーニですよ。」
とはっきりとした口型で教えてくれた。

「アップルマティーニ。。。かわいい。」
そう呟いたわたしに、彼女は
「かわいいですよね。それに、飲みやすいんです。わたし、お酒苦手なんですけどあれは好きです。」
と続けた。はっきりとした口型に身振りをつけて。

気になってるのがわたしって、バレてたのか。ちょっと恥ずかしい。
でも、通訳をした母ではなくお酒が気になってしょうがないわたしに対して伝わるように説明をしてくれた店員さんに、感動。


きこえる人たちは、お店でこんな会話を楽しむんだろうか。

ちょっと、羨ましい。

海外旅行では、外国語を日本語に
日本では、音声をわかりやすい口型や手話に
通訳をしてもらう機会は、きこえる人たちよりも圧倒的に多いと思う。
そんな中で、
わたしの会話したい相手が通訳と終始会話をすること
に慣れてしまっている自分がいた。

でも、知りたいのはわたしだ。
「言葉がわからないから」「ききとれないから」と通訳してくれる周りに頼ってばかりいないで、生のコミュニケーションを楽しむのも素敵な時間。
店員さんの粋な対応がとても嬉しかった。

また、あそこにご飯を食べに行こう。
そして、次は、アップルマティーニを頼むんだ。
るん。

#エッセイ #聴覚障害 #音の世界と音のない世界の狭間で #旅しゃぶ更新部 #毎日更新部 #カフェラボエム #cafelaboheme


見に来てくださりありがとうございます。サポート、とっても心の励みになります。みなさまからのサポートで、わたしの「ときめき」を探してまたnoteにつらつらと書いていきます。