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その道筋を目に焼き付けたい。【香港・マカオ】

スターフェリーに乗りたい。
あと、願わくばリスボアカジノを見たい。

沢木耕太郎さんの深夜特急に魅せられたわたしは、このたった2つの目的のために香港へ飛んだ。

海外旅行は、3度目。
1度目は高校の修学旅行
2度目は大学院の修了旅行
そして今回。

1度目は高校の決めたスケジュール通りにツアーを辿り
2度目は現地で生活する好きな人を追いかけて。

そう。
過去2回の海外旅行において、わたしはスケジュールというものをたてたことがなかった。
なんなら、現地の地図もほぼ読まず物価も大して気にしたことがなかった。
それでも、誰かについていけば旅が滞りなく進んでいった。

そんなわたしは、「この香港旅も中国人の友人と行くから言葉はなんとかなるだろう」くらいの理由で特になんの準備もしなかった。
彼女も初香港だったらしいけれど、まぁ、言葉が同じなんだったらわたしが沖縄を旅するようなもんだろうとタカをくくっていた。
だから、スターフェリーに乗ることとリスボアカジノを見ること。それだけの計画で飛んだ。


機内で「リメンバーミー」を視聴しながら号泣し、隣に座っていたお兄さんにドン引きされながらも無事香港国際空港へ。
空港で待ち合わせていた友人と何事もなく再会し、そのままマカオへGO。
もちろん、深夜特急を追って上環からフェリーに乗船。
中国語に包まれ、やっと旅の始まりを実感する。

マカオに到着し、タクシーに乗ったはいいものの運転手がホテルの住所がわからないとか言いながら適当に走行を始める。
友人が運転手さんと中国語で言い争っているのを横目に、マカオの街並みを眺める。


なんとか無事にホテルに着き、荷物を置いていざマカオ散策。
ここでも、さらっとリスボアカジノを発見して大興奮。
でかい。
ぴかぴか。
ちょびちょびと無料の烏龍茶をすする。
臆病なのでいろんなゲームをただ眺めてまわる。
でもあの雰囲気に取り憑かれて、マカオ滞在中3度ほどリスボアカジノに入場したの。見事に、3度とも丁寧に年齢確認をしていただいた。

ホテルにて友人が全然違う部屋の鍵穴に鍵を指し、鍵が折れるという大ハプニングに見舞われつつも、マカオ旅を終えていざ香港へ。

スターフェリーを目前に、大興奮のわたし。
しかし、困ったことに上環でスタッフにスターフェリーの乗り場を尋ねるものの
「香港から九龍までは電車で行けば良い!」と一蹴される。
不安に包まれるわたしたち。

しょうがなく、深夜特急の描写を思い出し、電車で中環へ。
中環からは、フェリー乗り場の記号を追って歩く。

近いはずなのにもう30分も歩いている。
(体感では2時間くらいしたけど)

あれ。
見慣れた景色。。。

。。。


なぜかまた上環に戻ってきていた。
あまりの疲労感に、ちょっと泣きそうになる。近くのスタッフに乗り場を尋ねると
「九龍行きのフェリーなんて聞いたことない」
と冷たく返される。

流石に友人にも「ねぇ。フェリー探すのやめて電車で行こう」と言われる。

でも、でも。。。
わたしは、スターフェリーに乗るために香港に来たの!
譲れない!
友人に頼み、再度電車で中環に戻る。


2度目はなんとかスターフェリーの乗り場に辿り着き、憧れのスターフェリーに乗船。
(上環のスタッフの皆様!スターフェリー、ふつうに存在しているぞ!!)
目的のスターフェリーに乗れたのに、もう、疲労感でいっぱいいっぱい。
さらに、空には雲がかかる。
まるで、わたしの心の色のよう。

九龍に到着したものの、ホテルが見つからない。
彷徨う中、重慶大厦をみつける。
わたしは大興奮。
噂通りスパイスの香りと怪しい空気が漂う。
ちょっと歩いてみて、ちょっとエレベーターにも乗ってみて、こわくなって出てきた。

今まで守られた旅しかしてこなかったわたしに、重慶大厦の如何わしさしかない空気は刺激的すぎた。
友人と恐怖を分かち合い、ホテルへと向かった。


香港はフォトジェニック
なんて聞くけど、わたしのiPhoneにはほとんど香港の写真が残っていないし、なんか排気ガスで煙たかった印象しか残っていない。

その土地を見知っている人について行く海外と
友人とイチから道を探して行く海外は
見える世界が全然違かった。

初めて自分の足で歩く世界は
達成感で満ち溢れていると思っていた。
いっちょまえに目的まで決めて。
確かに、その目的は果たしてきた。

でも、何か違う。

実のところ、あの2時間くらい歩いたかのように感じた中環-上環の街並みを、わたしはほとんど覚えていない。
ただ、記憶の片隅にあるのは、排気ガスの匂いと煙たさだけ。

それが、悔しくてたまらない。
最終目的地しか見えなくなっていたわたしは、その道筋の一コマ一コマを目に焼き付ける作業を忘れてしまっていた。


この夏も友人と旅に出る。
目的地があることで、旅への楽しみは膨らむ。
でも、その道筋の一コマ一コマをも目に焼き付けたいのです。
だから、次の旅では
「周りを眺める心の余裕」
を持ち物リストに追加して出掛けよう。

そうしよう。

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