記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

『泣いてみろ、乞うてもいい』原作読んで思ったこと・気付いたこと殴り書き

※激しくネタバレしてますので
原作未読の人は絶対読まないでください!

※ほとんど自分のメモ用に書いてたので
文章時系列ぐちゃぐちゃですご容赦ください。




①”18歳”という共通点

マティアスがレイラに心を奪われた(惚れた)のはレイラ・18歳
自転車に乗っているレイラと再会するシーン

そしてレイラがマティアスに一目ぼれしたのであろう時はレイラ・12歳
マティアス・18歳(木の上でマティに銃を向けられるシーンね)

お互いがお互いを完全に男・女として
心に留めたのが18歳、という共通点があるんですね

普通に読んでたら分からない伏線というか表現ですが
こういうポイントで2人がいかに運命の相手だったかというのが
分かる気がします

②『お前みたいな奴が、あえて、私の女に』


レイラを女中として扱うことで侮辱したクローディンに対するマティアスのセリフ

表面上はマティアスがメイドに思いっきり叱責するシーンに見えますが
実は全てクローディンに向けての言葉だったという巧みな文章表現…。

これをこんな風に伝えるマティアスは、やっぱりヘルハルトという最高の貴族だなぁと。この貴族的な表現方法が優雅でマティらしくて最高です。大好きです。

③マティアス・カイル事件『私が彼を愛してるの』


レイラがマティアスの娼婦の役割をしてるということがクローディンの計略によってカイルにばれてしまった時の話。

マティアスとカイルが殴り合いするようになった時
レイラは状況を整理するために嘘をつくんです。

『私が、彼を愛してるから』

ただその場の状況を整理するため(カイルに関係を誤解されないため)
に言った嘘だと最初は軽く流してたんだけど…

ここでレイラの学校での講演会での演劇シーンを思い出してください。
あまりにもひどすぎるルウェリン先生の演技
観客みんなに衝撃と笑いを与えたというあのシーンです。

そこでレイラは『絶対に嘘がつけない人』ということがわかります。

そうなんですよ。レイラは嘘をつけない人なんです。
だからカイルに言ったこの言葉はね、嘘じゃなくて実はレイラの本心なんです。

『公爵から逃げ出したい』
『嫌い』
『憎い』

作中でレイラのマティアスに対する感情はこんな風にしか表現されてませんでした。
なのでね、私は文章そのままの意味で解釈して『ただひどいことをする公爵を憎んでいるだけ』なのかと思ってたんですよ。

でも実はそうじゃなくて。

憎くても、嫌いでも、それでも公爵に惹かれる自分を隠したい
公爵が本当に自分を好きなようにふるまう度に戸惑う。
もしかしたら…?もしかしたら公爵は本当に自分のことが好きなのかもしれない。
でも期待したらその分裏切りがあった今までの人生。
もうレイラは傷つきたくなかった。

だからこそ、文章でレイラの感情描写は公爵への恨みの言葉で溢れてて。
でも、嘘がつけないレイラはカイルに『愛している』といったことで、実はそれがレイラの本心だったということに読者が気付くという流れ。

これをね、直接的に表現させずに悟らせてくる
ソルチェ作家様の文章がただただすごすぎる。

鳥肌立ちます。

④『もうお酒は飲めないね。りんごジュース』


ここで泣かない人いるの?
嗚咽がでるくらい号泣しました。

にぶちんなビルおじさんだけど、レイラの妊娠には気付いてたんよ…。
それをお互いに話そうとした日にああなってしまったけれど(涙)

『愛してる、娘よ』
『お父さん』

ここ何回も読み直してるけど読み直す度に泣いてる…。
書いてるだけでも思い出して泣ける・・・。
ビルおじさんのレイラへの愛情がひしひしと伝わってくる文章

映画の回想シーンのように浮かぶ、レイラが初めてビルの元にやってきたある夏の日。

この時のコメ欄の数尋常じゃなかったすね…
あぁ、書いてるだけでも思い出して泣けるわ・・・。

⑤原作147話『鳥が帰ってきた』について


連載小説なので、タイトルだけは先に目に入ってくることあるじゃないですか。
ほんで最初に147話のタイトル『鳥が帰ってきた』を見たとき、誰もがこう思っただろう↓↓

『あ~、おそらくレイラがマティから逃げるんだろうな。ほんで、マティが後悔懺悔して結局レイラが帰ってくるって流れやろな』

ところがどっこいよ。

誰が想像できるんよ。

この”鳥”がレイラではなく、実はマティアスのことだったなんて。

作中で『鳥』はレイラを表現してるけど
この話を読んでマティアス自身もまた羽を切られた鳥だったんだろうと感じました。

『ヘルハルト公爵』という人生の鳥かごの中で
ただ自分の役割だけをこなしていく日々
愛も感情も知らずに育っていったマティアス。

そんなマティアスの単調な人生を根こそぎ揺るがして、ついには鳥かごを壊したのがレイラ。

そんなマティアスの『空』がレイラだった。

え…もう…この気持ちを伝える言葉が見つからない…(語彙力不足すぎ辛い)

はあああほんとなんなんだこの小説・・・・すごすぎる。



---------------------------------------------------------------------

個人的に印象に残ったことまとめでした。
マティアスの後悔話『112話 もし』についてもまた色々書きたい
この話大好きですぎてほんと一生繰り返し読んでる…

ウルビルはやっぱ最高です。
おわり。