見出し画像

自分で船作って航海しようとしたら後悔した話

こんにちは。
実家が全焼したサノと申します。

僕は大学生の頃に、
自分で船を作って 淀川から大阪湾まで
航海しようと考えたことがあります。

理由は、当時僕の好きだった女性が
ワンピースにハマっていて、
ルフィが好きだと言っていたからです。

恋で頭がおかしくなってしまった僕は、
友人と協力し、船を作ることに決めました。

早速僕と友人は淀川へ向かい、
船を作る作業を始めました。

船の材料はペットボトルです。
淀川にペットボトルが落ちていたので、
すぐにある程度の数のペットボトルを
集めることができました。

材料を集めている姿は他人から見ると
川の清掃に見えるようで、
近隣の方からとても
優しく接していただきました。
中にはペットボトルをくれる方もいました。

ただし、その誤解によって
生まれた悲劇もありました。

僕たちが集めたペットボトルを、
親切心で近所のおじさんが
「ぺっちゃんこ」にし始めたのです。
流石に泣き出しそうになり、
おじさんにきちんと事情を説明したら、

「海賊王?おっちゃん、ようわからんわ。」

と言われました。
確かにその通りだと思いました。

あっという間に昼過ぎになったものの、
意外と淀川にはペットボトルが
多く落ちておらず、
僕たちは深刻なペットボトル不足に
陥ってしまいしました。

そこで近所のコンビニから
ペットボトルを貰い受ける、
という作戦に出ました。

そのお陰でなんとか夕方頃には
必要な分のペットボトルを
集めることができました。

次に、船作りです。

船作りはペットボトルに
残っている水分をしっかりと切り、
ペットボトルの蓋を強く締め、
ビニールテープで 固定するだけの
シンプルな作りです。

おおよそ完成
したものがこちらです。

これと同じものをもう1つ作り、
2段に重ね合わせて縛り、
遂に船は完成しました。

厳密にいうとイカダなのですが、
小さいことを気にしないのがルフィです。

いよいよ、大航海に挑戦です。

しかしいざ、航海しようと
決意したまさにその瞬間、
僕たちの元に1匹の野良猫がやってきました。

僕は純粋に「可愛いな」と
思っていたのですが、
なぜか友人はこの野良猫を見て、

「この猫、 死神やと思う。」

と言いました。

僕は霊感が無いし、
霊などの存在を意識したこともありません。
しかし友人が真っ直ぐな目で
野良猫に対し、

「おい、死神。正体をあらわせ。」

と言っているのを見て、
もうその猫が死神にしか
見えなくなってしまいました。

そこで、死神の機嫌を損ねずに、
どうにか穏便に帰っていただくために、
猫の餌を買いに行きました。

しかし餌を買いに行ったせいで、
淀川に戻る頃には夜になってしまい、
結果的に自分たち自身で死亡率を
引き上げてしまいました。

しかも、戻ると猫はいませんでした。

あまりの情け無さに
泣きだしそうになりましたが、
どうにか出発を決意し、
ペットボトルの船を水面に浮かべました。

船はきちんと浮きました。

僕たちは歓喜しながら、
まずは僕が船に乗りました。

多少不安定でしたが
難なく乗れました。
次に、友人の番です。

2人で乗ると船が少し沈み、
グラグラと揺れました。

しかしなんとか船は 耐えてくれました。

いける!これはいける!

僕たちにはもう
大阪湾しか見えませんでした。

この相棒と長い
航海の旅がはじまるんだ。
高鳴る鼓動を抑えて、
自作のオールで漕ぎ始めました。

すると岸から1m、2mと
離れていきます。
僕たちに安堵感が芽生えました。

しかし3mに達した頃、 突然船体が

ブジュジュジュ!

と音をたて、沈み始めました。

パニックでした。

友人は冷静に船から脱出し、
近くにあった岩にしがみつきました。

しかし僕の側には岩がなく、
1人で「アプシッアプシッ」と、
言いながら溺れていました。

淀川の水をガブガブと飲んでしまい、
死ぬかと思いましたが
僕もなんとか岸まで辿り着きました。

製作時間に10時間かけましたが
船は10秒で崩壊しました。

航海は出来ませんでしたが
後悔は出来ました。

いただいたお金は、切ないことに使います。