見出し画像

平凡な街の鬱陶しい出来事③かまってちゃん考


私の知人のKさんは、かまってちゃんを撃退した。だが、話を聞いた限りでは特別な事をした訳では無い。面と向かって考えを述べてただけだ。
感情を押えて我慢していたら相手の思い通りであり、いつまで経っても状況は変わらなかっただろう。
衝突を避けるのを他の人達は選んでいたのかどうかは分からないが、相手が飽きるのを待っていた形だった。
次々違う人が不快な遊び相手をしていた。
kさんは本人に付き合いきれないと宣言したのだった。

話は変わるが、ある頃からその知人の勤めるスーパーに男が現れるようになった。
始めは勿論他の買い物客と同じだった。
しかし一人の女性店員に執着する事となった。
男は40代と見える、太り気味で顔色は浅黒く、柄は良くない感じの人物だった。
私は何となく店の中で異様に思っていたのか、その男を見て憶えていた。
なんと云うか、ぶらついている印象があった。他の顔見知りのお客が店員と言葉を交わしているのと何だか違っていた。
男は買い物をしている風でもなく、通路の真ん中にいて店のスタッフたちに大きな声で一方的に馴れ馴れしい感じで挨拶をしていた。
よう、元気?みたいな…、そんな感じだ。そして業務で行き来するスタッフに何だかんだと大きめの声でまた一方的に話していた。

何度かその男に遭遇しているうちに(変なの、気持ち悪いな…)と思うようになっていったが、ある時、我が家からそう遠くない道で男とすれ違ったのだ。
(あっ、アイツだよね?)
正直、あまり気分は良くなかった。

そのうちに、すれ違った所から直ぐの小さな家に住んでいるのが分かった。
平屋の借家が並んでいた。その一つの窓から男は顔を出していた。
男に向かって大家さんが何かを言っていた。明らかに平和な会話ではなかった。
男は腹を立てた様子で無言のままピシャッと大きな音を立てて窓を閉めた。まだ大家さんがそこにいるのにだ。私は柄が悪い奴だと思った。

そして後日、知人のKさんが私が歩いていると通り掛かった。私達はその場で立ち話をした。
世間話をしていたが、Kさんは最近職場で困っている事があるのだと話し始めた。
『パートさんが目を付けられてさ、変な奴に。店で用も無いのに待ち構えてるんだよ。』と。勿論、普通にそのパートさんはお客に親切にする範囲でしか接していなかったのだが、気を良くした男がその人に会いに来るのだそうだ。
私は話を聞いただけでも気味悪く思ったのだから本当に同情した。

私はどんな奴だろうと聞いていたが、Kさんが、小さな声で向かい合う私の背後を見て突然、『来た、コイツだよ、コイツ。』
私達の横を通り過ぎたのはあの男だった。

コイツかーーー!
第一印象を裏切らない人物だった。

また続きます。(´・ェ・`)




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?