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ユーザーが増え続けても、サービスを安定供給するために。Bill Oneの請求書データ化技術への覚悟

直近一年間で、契約企業数が倍になったBill One。契約企業数の増加に伴い、処理をする請求書の数も爆発的に増えました。

今回のnoteでは、急増し続ける顧客に対応し、請求書を早く安定的にデータ化し続けるためにBill Oneが行っている取り組みについて、技術本部 Digitization部 部長の永井にインタビューしました。

Bill Oneの生命線ともいえる請求書の代理受領・データ化。
その裏側を支えるメンバーの想いとは。

永井 晋平(ながい しんぺい)
技術本部 Digitization部 部長
大学卒業後、SI企業でエンジニアとしてキャリアをスタート。2007年に創業間もないSansan株式会社に第一号社員として入社し、Sansanのプロダクト開発に従事。現在はSansanの競争優位としてアナログ情報をデジタル化する技術と仕組みを実現するDigitization部にて部門長を担う。

データ化に10年以上向き合い続ける、Sansanの一人目社員

ーまずは、入社してからこれまで取り組んできたことを教えてください。

Sansanが創業してすぐ、2007年10月に社員第一号として入社しました。入社後は5年ほど営業DXサービス「Sansan」のプロダクト開発に携わった後、データ化基盤を大きく改革するタイミングで、開発リーダーとしてデータ化に携わる部署に異動しました。そこから12年間ほど、名刺や請求書などのデータ化に向き合い続けています。

ー「プロダクト開発」と「データ化」では、業務への向き合い方にどのような違いがあるのでしょうか。

プロダクト開発は「広さ」データ化は「深さ」を追求するイメージでしょうか。
プロダクト開発は、新しい機能の実装など「できることを増やす」ための方法を考えます。データ化は、品質・コスト・速度を最適化できるよう「極限まで突き詰めていく」感覚です。

ー当社のデータ化の強みはどのようなところだと思いますか。

Sansanでは創業時から15年以上名刺のデータ化に取り組んできたので、そこで培ったノウハウは大きな財産だと考えています。技術開発やオペレーションの構築などもBill Oneに横展開することができています。

また、技術開発力も強みの一つです。処理すべき書類の量が増え続ける中で、この処理をし続けるためには、絶えず効率化し続けることが重要です。研究開発部門と密に連携しながら、データ化のための技術開発に向き合っています。ここで開発される技術は当社だから作れるものであり、大きな強みだと考えています。

請求書のデータ化は、難しくて面白い

ー名刺のデータ化ノウハウはあったものの、請求書のデータ化でも最初は苦労したと思います。特にどんなところに苦労したのでしょうか。

わかりやすい違いは情報量です。請求書は書類のサイズも名刺より大きく、複数ページにまたがるケースもよくあります。また、たとえば「請求金額」は、前回請求からの繰り越し分があるなどイレギュラーも多く、「この場合はこう処理する」というルールを作るのに最初は苦労しました。

また、Bill Oneは紙の請求書を代理受領し、スキャンしてデータ化するのが強みです。ということは、Bill Oneセンターに毎月大量の紙の請求書が届くわけです。
Bill Oneセンターで受け取った請求書の封筒を開封して、中身を取り出して、スキャンする。顧客間での請求書の取り違えやスキャンミスがあってはいけないので、この一連のオペレーションを構築するのはとても苦労しました。

ーインボイス制度に向けて実装した「適格請求書判定機能」も、実はデータ化が深く関わっていると聞きました。

そうですね。インボイス制度に対応していると謳っているサービスは色々ありますが、実はその中身は各サービスごとに結構違いがあります。
Bill Oneでは登録番号の確認だけでなく、受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしているかまでを自動で判定するようにしたんですが、これが難しくて。

【Bill Oneの画面】受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしていれば「適格」、満たしていなければ「要確認」の表示が出る

適格請求書の要件を満たしているかどうか判定するためには、いくつもある適格請求書の必要項目をすべてデータ化しなければなりません。各項目について、プロダクト開発メンバーと相談しながら処理ルールを決めていきました。

この機能実装はかなり苦労しましたが、皆で協力しながら一つひとつの壁を乗り越えていくのは楽しさもありました。この機能はとても評判が良く、ユーザーの皆さんからも「インボイス制度が開始しても意外と業務は増えなかった」「これを機にBill Oneを導入して、むしろ生産性が上がった」というコメントをいただいて嬉しかったです。

また、直近で特に注力したのは、事業成長に伴って増え続ける請求書の代理受領、データ化をどのように効率化していくかというところです。今後もユーザーが増加し続けても、サービスを安定供給し続けられるように、大幅な作業工程の見直しを行いました。

爆発的な事業成長でも安定供給を実現する、オペレーションの大幅刷新

ーBill Oneの契約企業数は一年間でおよそ2倍に増えました。これにより、オペレーションの状況はどのように変化しましたか。

請求書の量はかなり膨大になってきています。
特に月末月初は、一日に段ボール数十箱分ほどの請求書がBill Oneセンターに届き、これを数時間で処理しなければなりません。

僕らは請求書受領サービスのデータ化に必要な5つの要素を「QCDSS」と定義しています。どれも大切な要素ですが、利用企業が増える中で特に重要性が増してきたのが「拡張性」の担保です。顧客数が爆発的に伸び続ける中で、膨大な量の請求書をどうすれば期限内に処理できるかという新たなミッションに向き合っています。

請求書受領サービスのデータ化に必要な5つの要素「QCDSS」


-具体的にはどのような施策に取り組んできたのでしょうか。

人員や設備の拡充はもちろんですが、さらなる生産性向上に向けて、紙の請求書をスキャン・データ化するまでのオペレーションの大幅刷新を行いました。

まずは、請求書の開封からスキャンまでの工程をとにかくシンプル化し、ミスが起こりにくい仕組みを設計しました。
またBill Oneでは高いデータ化精度を担保するために、オペレーターがWeb上で請求書データの目視確認を行っています。このWebでのオペレーション業務についても、当社の技術を活用して効率化を図りました。オペレーターによる目視確認で正確性を担保しつつ、技術による効率化で生産性を向上させました。

オペレーションを刷新する前は、​​果たして新しいフローで上手く運用できるのか、正直不安もありました。でも「この変化によってBill Oneはもっと良くなる」と信じて、メンバー一丸となって覚悟をもって取り組みました

その結果、大きな混乱もなく、スキャン・データ化の生産性が大幅に上がりました。今後さらに事業が成長しても安定してサービスを提供し続けられる体制ができたと自負しています。

Bill Oneを、毎日当たり前に使い続けてもらうために

-最後に、永井さんの今後の展望を教えてください。

僕はこれまでデータ化に10年以上向き合ってきましたが、自分たちの仕事の価値を手触りもって感じられるデータ化の仕事が好きなんです。

データ化を極めれば大きな価値を生み出せるけれど、それを実現するのは本当に難しい。長く携わっていてもまだまだ底が見えない、面白い仕事です。

長年この仕事をしていると、水道や電気などのインフラの裏側にいる人々の偉大さに気づかされます。僕らは普段当たり前に使っていますが、それを作った人って本当にすごい、よく作ったなと思うんです。僕らが向き合っているのはそういう仕事だなと思っていて。

Bill Oneもユーザーの皆さんにとっては、請求書が自動でデータ化されることがすでに当たり前になっています。
今後ユーザーが増え続けても、毎日当たり前にBill Oneを使える。そして「当たり前」の期待レベルをさらに高めてもらえるように、データ化技術をより高い次元へと押し上げていきたいと思っています。

【もっと「Bill One」を知りたい方へ】
他にもBill Oneに関わるメンバーのnote記事を公開しています。ぜひご覧ください。

「経理が、経営管理に集中できる世界を作りたい」 元経理担当が挑戦したBill One正式リリースまでの道のり

カスタマーサクセスとプロダクトマネジャーの二刀流で、ユーザーの声を開発に生かす。〜Bill Oneのプロダクト開発の裏側〜


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