諦めましょう。たばこはどう美化しても美化しきれません。彼の吸っていたたばこ、忘れられないたばこの匂い。エモーショナルなラヴソングに乗せて歌われるたばこ、それは本当に美しいものなのでしょうか。

　いいえ、全く美しくありません。たばこの煙が苦手な彼女に気を遣い、いつもベランダでタバコを吸っていた彼。とても優しい彼に見えるでしょうが、そこが5階建ての2階のベランダだったらどうでしょう。彼女に気は遣えても、周囲の住人の洗濯物には全く気を遣えてません。喫煙者はたばこを吸引し続けることによって自己中心的になり、周りが見えなくなるのです。

　「喫煙マナー」という言葉にそれが如実に現れています。我々非喫煙者にとっては喫煙にマナーもくそもありません。可能な限りなるべくできれば全然一切合切吸わないでいただくことが最高の喫煙マナーですが、煙もくもくジャンキーモンキー達にそれはできないでしょう。あなたの好きな彼も路上喫煙スポットからはみ出して吸っているかもしれませんし、歩きたばこで煙を撒き散らしているかもしれません。たばこはそれほど人を脳スカにしてしまうのです。

　我ら非喫煙者には理性があるので、わざわざ高い金を払って自分の身体、ましてや他者の身体に害を与えようなんて考えになりません。自分の吐いた煙で未来あるスポーツ少年たちの身体に有害物攻撃なんてしたくないと思うのが普通です。しかし喫煙者達はおかまいなし。歩きながら、自転車こぎながら絶妙に抜かせない速度で我らに煙を吐き続ける至福の一本吸い終わるまでお前も受動喫煙で味わえよジェントルメンまでいる始末。

　さらに腹たつのが、電子たばこの登場によって紙たばこマウントをする輩を見かけるようになったことです。どっちも変わらんよ。大人しく一人で家で換気扇回さず吸っていてくれ。喫煙者はみんな。みんな。光の声が空高く聞こえる、君も星だよ。みんな。みんな。

　エモいという言葉が流行ったことにより、なんでもかんでもエモく感じてしまうエモーショナルチルドレン達。たばこは全くエモくないし、タバコ吸ってるというステータスはデメリットでしかない。環境にもお財布にも優しくないたばこにエモさを感じてしまうその感性、かなり未完成。けれど、それをひっくるめてたばこの煙の匂いすらも愛おしくさせてしまうその恋愛、非常にエモーショナルでとても美しい。恋は盲目、煙もくもく、たばこ吸うぼく。