見出し画像

短編小説 小人との対話 ~タマゴの黄身と白身⑤~

『今回は、ある少女のところへ小人さんが現れたお話しです。どうやらタイトルに①とついているので、もしかしたら②以降もあるのかしら…と想像してみるのですが、どうでしょうか。いや、いつの間にか『①』が消えていることも考えられなくもありませんが…小人さんのみ知ることかもしれません。』

いよいよ⑤まで発展してまいりました。もうちょい、小人さんは準備があるみたいですので、長い物語になってまいりました。短編じゃないじゃん、小説です。
あとでこの『タマゴの黄身と白身』は纏めて独立させたいと思います。
多分、有料で読まれる方はまずいらっしゃらないことと思いますが(笑)、万が一読みたいと思ってくださった方は、今は読まずに、纏まったときにお読みいただければと思います。

短編8話分纏まった『小人との対話』は、こちらです。↓

最近の短編8本はこちら↓



では、タマゴの黄身と白身⑤のはじまりです。

✧˖°・.⁺✧˖°・.⁺✧˖°・.⁺✧˖°・.✧˖°・.⁺✧

タマゴの黄身と白身⑤


かくさんにとっても、あたしにとっても人生の危機のようなものはそれなりにあったけど、その中でもあの大事故と大事件は二大危機だったように思う。
それ以外にだって、数えようと思えばいくらでもあったけど、まあ、なんとなく振り返ってみたら過ぎていたんだなぁ…ってことだったと言うか。
そんなこと言ったら、あの二大危機だって過ぎていたんだけど、それでも大きな出来事であることに変わりはない。
大事故の時は、流石にこの先ふたりは、というよりも、この家族はどうなってしまうのかと思わないこともなかったけど、あの時におじさんが言ったように、結局かくさんはずっとあたしや子どもたちと一緒にいてくれたから今がある。おじさんは、先を見通せる人なんだろうか。いつもおじさんが言ったようになってきた。あの大事件の時だって、実際は不安で仕方なかったけど、かくさんが全て自分で片づけて、過ぎてみればかくさんが痛い目を見た以外は何事もなかったけど、とてもそんな状況になることができるなんて思えなかった、あの時は。まあ、きっとそこそこのお金も出て行ったのかもしれないけどね。
 
でも…
何だろう。
やっぱり、神様っているんだろうなって思った。
あの時、おじさんは、神様は『ある』んだって言った。その意味は、未だにわかっていないけど、でも、あたしは普通に、『いる』んだろうって思ってしまう。
それは、あの大事件の張本人の男。まあ、あの時捕まることはなかったわけだけど、その後別件で捕まった挙句に、最後は刑務所で亡くなったらしい。

ここから先は

7,305字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?