短編小説 小人との対話 ~タマゴの黄身と白身③~
『今回は、ある少女のところへ小人さんが現れたお話しです。どうやらタイトルに①とついているので、もしかしたら②以降もあるのかしら…と想像してみるのですが、どうでしょうか。いや、いつの間にか『①』が消えていることも考えられなくもありませんが…小人さんのみ知ることかもしれません。』
①でこのように記しましたが、なんと③まで発展してまいりました。
この分だと、まだ続きそうなので、あとでこの『タマゴの黄身と白身』は纏めて独立させたいと思います。
多分、有料で読まれる方はまずいらっしゃらないことと思いますが(笑)、万が一読みたいと思ってくださった方は、今は読まずに、纏まったときにお読みいただければと思います。
今回のお話しは、家族が四人に増えてからのお話です。
ちょっと、危険なことがあったようですよ。そんな時、小人さんが現れてくれたようです。
短編8話分纏まった『小人との対話』は、こちらです。↓
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では、タマゴの黄身と白身③のはじまりです。
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タマゴの黄身と白身③
上の子が生まれて間がないときにおじさんが来てくれてから、おじさんは今日まで一度も来てくれなかった。下の子が生まれてから、早いものでもう3歳になる。あの時は上の子が0歳で今年6歳だから、6年も前のことになるんだ。上の子が生まれてから、毎日毎日オムツを洗うことで時間が取られ、そうしてる間に食事の支度をしなければいけないし、かくさんはかなりの綺麗好きだから掃除を完璧にしないと怒るしで、とにかく一日は24時間では足らないぐらいの日々だった。
オムツを早く離したかったから、上の子に急かして外すように促して、本当に誰に似たものか物分かりのよい子で、2歳になる頃にはオムツが離れてほっとしているうちに下の子を妊娠して、またオムツの世話が始まった。これまた下の子も上と同じように促すと、下の子は上の子よりもちょっと早く離れたから、振り返ってみればそれほど手を焼くこともなかったけれど、それでも子育ては大変なことに変わりはない。
でも、他人(ひと)様からよく子どもたちは褒められるから、きっと手がかからないのだろう。
下の子が生まれてからは、上の子がよぉく面倒を看てくれて、気が付くと狭い借家の3畳間の隅っこでふたりで静かに遊んでいる。
決してふたりともギャーギャーと騒ぐことがなく、本当に子どもかしらと不思議に思うことも多々あったぐらい手が掛からなかった。
もう、上が6歳、下が3歳ともなると、殆ど手をかけることもなくて、寧ろあたしの手伝いをしてくれるぐらいになった。
何をするにも三人で、外出するにもいつもあたしが真ん中で二人の手を繋いで出かけた。
そこに、殆どかくさんの姿はなかった。
かくさんが加わった四人家族の図は、時々、年に一度か二度ぐらい一緒に銭湯に行くぐらいのことだった。それ以外は、仕事から帰ったって、さっさとひとりで銭湯に行ってからすぐさま外に遊びに行ってしまって、グデングデンに酔って帰ってくるか、休日ずっと眠りこけているか、釣りに行っているか、相変わらず家のことは一切手伝おうとはしなかった。
それでも、あたしはこの子どもたちがいればそれでよかった。かくさんは働いてはくれるし、時々物凄い勢いで怒り出すこともあったけど、多分あたしの物忘れだったり、かくさんの嫌なことをしたりしてしまったときだから仕方がないことだし、そうは言っても、あたしも腹が立って、腹の中はグラグラと煮えくり返ったりしていたけれど、表面上は黙って耐える。かくさんに歯向かうなど、決してしない。
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