見出し画像

短編小説 小人との対話 ~タマゴの黄身と白身④~

『今回は、ある少女のところへ小人さんが現れたお話しです。どうやらタイトルに①とついているので、もしかしたら②以降もあるのかしら…と想像してみるのですが、どうでしょうか。いや、いつの間にか『①』が消えていることも考えられなくもありませんが…小人さんのみ知ることかもしれません。』

更に④まで発展してまいりました。
やはりまだまだ続きそうです。あとでこの『タマゴの黄身と白身』は纏めて独立させたいと思います。
多分、有料で読まれる方はまずいらっしゃらないことと思いますが(笑)、万が一読みたいと思ってくださった方は、今は読まずに、纏まったときにお読みいただければと思います。

今回のお話しは、またまた危険なことがあったようですよ。皆成長してから久しぶりに小人さんが現れてくれました。ピンチに登場してくれる小人さんです。


短編8話分纏まった『小人との対話』は、こちらです。↓

最近の短編7本はこちら↓



では、タマゴの黄身と白身④のはじまりです。

✧˖°・.⁺✧˖°・.⁺✧˖°・.⁺✧˖°・.✧˖°・.⁺✧

タマゴの黄身と白身④


また来ると言っていたのに、おじさんはもうずっとあたしの前に現れてはくれなかった。
いつもおじさんのことを思い出していたわけではないけど、それでもかくさんがああいう人だし、子どもたちが成長すればそれなりに色々あって、時々、こんなときにおじさんが来てくれたらいいのにと思うことは多々あった。
それでも、そう、以前のようには憂うことは少なくなったような気がする。
きっと、それなりに私も強くなって、かくさんとの生活もそりゃあ15歳で出会ってから上の子が高校生になるってことはもう20年以上も一緒にいるわけだから、慣れもするし、怒るポイントもわかるってもんで、少しは怒られなくもなったような気がする。
とは言っても、相変わらず怒られるけど。急にわけわからないところで怒りだすから、防ぎようがない。そんな時、
「きっと、あたしぐらいしか、かくさんとは一緒に暮らせない」
と、自分を過大評価することにしている。
 
もう、かれこれ十年ぐらい前になるけれど、かくさんが大事故で入院したときに、病室にいたチェルシーの女性とは、結局その後何事も起こることなく、おじさんの言う通りになった。
あたしは、おじさんに助言されたにも関わらず、かくさんを問い質したことが何度かあったけれど、かくさんは無言を貫き通した。知らんぷりだ。天晴だった。
ある意味、凄いもんだと感心までする始末だった。あたしもまた、おめでたい人間だ。
そうしてあまりにもしつこくあたしが問い詰めると、
「しつけえ。お前は本当にしつけえな。」
と言って、切れ出すので、そこでやめることにするのだ。ポイントは抑えなくてはいけない。

ここから先は

6,349字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?