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YouTube山桃庵チャンネル 質問回答 -風炉の切り柄杓・置き柄杓-

風炉の季節になると、YouTube山桃庵チャンネルの掲示板でよく頂く質問は柄杓の扱いです。
具体的には「切り柄杓」「置き柄杓」の順番。
教科書的に言えば「交互に行う」が正解です。

とは言え、ただ交互に繰り返せば良いのかと言うと、、、、、

風炉の点前の中で特徴的な柄杓の扱い。
お湯や水を汲んだ後、釜の上に柄杓を戻す際の手つきには基本的に二つの所作があります。

切り柄杓

「切り柄杓」は右手親指と人差し指でVの字を作り、その他の指は人差し指に沿わせるカタチ。
揃った指が美しく、凛とした雰囲気があります。

切り柄杓


置き柄杓

「置き柄杓」は以前は「止め柄杓」とも呼ばれていたように、親指と人差し指で柄杓の柄を軽く抑え、静かに止め置くカタチ。
動と静の対比から、点前にメリハリが生まれます。

置き柄杓

そしてこれらの「切り柄杓」と「置き柄杓」は、それぞれ「交互」に行うとされています。

柄杓を扱う場面

ここで、これらの柄杓の扱いが現れる場面を考えてみましょう。(唐物点前を除きます)

まず最初は、濃茶・薄茶に限らず、茶筅通しのためのお湯を汲んだ後、柄杓を釜に戻す時。
この場面は「切り柄杓」で共通です。
そして、茶碗にお茶を入れ、お湯を注いだ後。
この場面では「置き柄杓」で柄杓を釜に預けます。

その後、薄茶の場合はお茶を点ててお客様に提供します。
一方、濃茶の場合はお茶を練った後、さらに湯を注ぎ足しますので、二杓目は「切り柄杓」を行なって柄杓を釜に預けます。
そして濃茶を練り上げ、お客様に提供します。

この様に、濃茶では湯の注ぎ足しがありますので、薄茶に比べて柄杓を扱う回数が一回多くなります。
「置き柄杓」の後で茶を点て出す薄茶に対し、濃茶は「切り柄杓」の後に茶を点て出すことになるのです。

本題

問題はここから。

お客様から茶碗が戻った後です。

薄茶の場合は半杓の湯で、濃茶の場合は一杓たっぷりの湯で茶碗を濯ぐのですが、この湯を汲んだ柄杓を戻す所作が「切り柄杓」なのか「置き柄杓」なのか。

薄茶は順番とおり「切り柄杓」で良いですね。

濃茶は薄茶と比べて順番がずれていますので、教科書通りの「交互」とするのであれば「置き柄杓」です。

ここでよく頂く質問がこの記事の本題。
「動画では“切り柄杓”をしています。間違いではないですか?」

ご質問の通り、YouTube山桃庵チャンネルの動画では「切り柄杓」をしています。
そして、山桃庵の教えも動画の通り「切り柄杓」です。

交互だから「置き柄杓でしょ?」となりますよね。

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