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決戦は来週の日曜日(仮)

明日は検診だ。

臨月に入ってから検診のペースが月一から二週に一回、毎週になった。臨月に入ればもう出てくるだけというわけではないらしい。細かく病院に行かなければな無いのは少し面倒だ。しかも、その検診が毎度時間がかかってしょうがないのである。

3時間位病院に缶詰なので、待合室の『たまごクラブ』を眺める。『たまごクラブ』はタメになるのでいいのだが、一冊読み終えてもまだ番が回ってこない。2.3冊ほど『たまごクラブ』を読んだあたりで、やっとのことで診察室に呼ばれるのだ。毎回そんな調子なので、待ちくたびれてうんざりだ。

診察の前に、病院に着いたらまず、自ら体重・血圧を測り、お小水をとり、それからNSTという検査を受ける。NSTは、いわば赤ちゃんの心電図検査だ。リクライニングチェアが並ぶ部屋にお腹の膨らんだママ達がズラッと横たわり、装置に繋がれている。その光景はちょっと異様な感じもするが、その中に私もいる。

赤ちゃんの脈が「バッコンバッコン」と鳴り響き、同時にグラフになって印刷される。他ではなかなか聞くことのできない赤ちゃんの脈の大合唱は、特に美しい音というわけではないが、これがこれから生まれる命の音だと思うと感動的ではある。

以前、その神秘的な音に耳を傾けていたら、突然「ピーピーピーピー!」と、私の装置が警告音を発しはじめた。何事だ。何か問題でもあるのだろうか・・・

不安な私の元へ看護師さんがやってきた。機械の様子を見て「あらあら、元気がよすぎるみたいね」と、うちわの代わりになりそうなものを渡してくれた。「コレであおいでください」言われるがまま、その冊子で私は私をあおいだ。

しかし、警告音はまたも発せられた。ポコは元気が良すぎるらしい。その音が結構うるさいので、周りのママたちに申し訳なかった。「すいません、うちの子が・・・」きっと将来何回かは言うことになるであろうセリフを、心の中でとはいえ、今の時点で言う事になるとは思わなかった。

それから、採血があったりする。私は鉄分不足を補うために鉄剤を処方され飲んでいるので、度々血液検査をしなければならない。もともと貧血気味の体質のくせに血をポコにやるわけなので、当然血は足らないのである。

あとはエコーでお腹の中を見るのだが、今やすっかり大きくなり、せまいお腹の中で窮屈そうにしているポコは、いつも子宮の壁に顔が押しつぶされて、ぐちゃっとなっているので、はっきり言ってかわいくない。

それでも、帰りにエコーをプリントして持たせてくれるのだが、顔はもちろん姿もよくわからない、そこには何か肉っぽい物体が写っているだけなのである。こんなのもらっても・・・

お小水検査に関しては、この10ヶ月、毎月行っているが、未だにコツをつかめていない。それどころかどんどん下手くそになっていくので困っている。

自分のお腹でココという位置がわからないので、なんとなくでカップをあてがわないといけないのだが、毎回うまい位置を当てられず手がびっしゃびしゃになってしまうのだ。我ながら汚い。

「あーあーもうもう!」と、慌てて手を拭いたりカップを綺麗にしたりしていると、今度は手をすべらせて、ソレをこぼしてしまったこともあった。私はとことんお小水検査に向いてないらしい。

さて、予定日は4/30である。予定通りに行けば、あと一週間後には陣痛を乗り越えて出産していることになるので、明日の検診が出産前の最後の検診になる。かもしれない。

混みあう待合室で『たまごクラブ』を読むのも、お小水検査に手間取るのも、3時間位病院に拘束されるのも、明日で最後だと思うと寂しい気もするが、そうも言っていられない。

一週間後、私の人生における最大の出来事が訪れるのだから・・・

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